北朝鮮の守備と日本のパスワーク

 先週行われたブラジルW杯アジア3次予選初戦、日本代表対北朝鮮代表戦は、0-1で日本代表の勝利となりましたね。
 日本の方に課題も感じましたが、北朝鮮の守備も思ったより良かった印象でした。


 日本がボールを持ったら、4-4-2でしっかりと中央のスペースを消す。
 それによって、日本代表のボール回しがサイドに行くような守り方をしていましたね。
 日本のサイドの選手がボールを持ったら素早くチェックにいって、大外のタッチライン際に追いやる。
 これによってボールホルダーは選択肢が狭まり、クロスのコースも消され、FWからの距離も遠ざけられるということになりますね。
 北朝鮮のSBがこういった対応をして、結果的に外に釣りだされ、SBとCBの間にスペースが出来たら、素早く前のSHがそのスペースを消すなど、組織的な守り方が形成されていた印象でした。


 また、現日本代表が狙っているボランチからの縦パスも研究。
 FWへのくさびのパスへは体を当てて、前を向かせない守備をする。
 MFラインとDFラインの間を狙うトップ下へのパスが出た場合は、CBとボランチで囲んで奪いに行く。
 CBとボランチにはフィジカルのある選手が並んでいた印象で、それによって外からのパスを中に入れない守備が出来ていたんじゃないかと思います。



 日本代表は前半、選手間の距離が広すぎたこともあって、ボランチからの縦パスでボールをロストすることが非常に多かったですね。
 このあたりは本田の影響もあるんでしょうか。
 本田ならあの狭い場所でも体を使ってある程度受けて前を向けることが出来てしまうだろうし、前回の韓国戦では広範囲に動き回ってボールを触ることで、相手の守備を混乱させ日本のリズムを作っていたところがあると思います。



 前半は苦しんだ日本代表ですが、後半は流れが改善されて行った印象です。
 ボランチの長谷部あたりがどんどん前線に顔を出すようになっていきましたし、何よりサイドチェンジが増え、相手を揺さぶる攻撃が増えていきました。
 前半は見え見えの縦パスを奪われ、縦に出せないからしかたなくサイドに…と、ボールをもってはいるものの受動的なボール回しに見えましたが、後半からは自発的にボールを左右に振ってから中央にパスを出すなど、相手の守備ボロックを崩そうという意識が強く感じられました。


 北朝鮮の守備のようにサイドのタッチライン際に押し込むを守備をするためには、守備陣が素早くサイドにスライドしなければならない。
 しかし、それ以上の速さで質の高いサイドチェンジが出来れば、相手は追い付けず守備体形に穴が出来ていく…と。
 後半の日本はボランチの遠藤だけでなくサイドの選手から直接逆サイドに振ったり、右から左だけでなく逆方向だったり、一度だけでなく2度3度と相手を振り回したりと、工夫のあるボール運びが出来ていたと思います。
 そして、試合終盤は完全に相手を押し込んで、チャンスを何度も作り最後は吉田がゴールを決めてくれました。



 サッカーとして見るのなら、守備を固める北朝鮮に対し、パスを回す日本代表の構図ということで、面白い内容だったのではないかと思います。
 それも北朝鮮の守備がしっかりとしていたからこそ、だと思うのですが。
 ただ、日本代表に関しては決め手を欠くシーンも目立っていましたし、良い試合とまではいかなかったのかなぁと。
 その中でも試合を打開してみせたのは、さすがだと思いますが。 


 本日は23時からウズベキスタン戦。
 北朝鮮戦を経て、前半からどういった試合をするのか注目ですね。
 結局のところポイントは、本田がいない時の戦い方になってしまうのかなぁと思います。
 本田の怪我も長引きそうな報道ですしね。