ドワイト監督「我々はビルドアップをしたかった」

ドワイト監督「まず村井と林に関して、彼らは先週、とても良いゲームをしてくれたので、そのままをキープした状態で臨んだんですが、後半は何か違った形が必要だと思いました。サンダーは経験のある選手。中盤でもっとコントロールする必要があると思いました。また、賢さが必要だと思ったので、サンダー(ファン ゲッセル選手)を使いました。」(J'sGOAL

 横浜FC戦での村井は、課題も感じましたね。
 あの失点のシーンでも「奪えなくてもシュートコースは消す」守備が出来ていなかったのは、アンカーとしてはやってはいけない守り方だったのではないかなと。
 中盤のスペースを消すポジショニングも、もう少しだったように感じましたし。


 攻撃でも効果的な動きはできず。
 札幌戦でも感じたのですが、ボールの持ち方がサイドの選手なんですよね。
 中盤の選手はフリーでボールを受けたらなるべく体を開いて、ゴールに対して正面を向くことで、視野を広げ、そこからのパス出しも素早く行う動作をできる限りすることが多いと思います。
 しかし、村井は正面を向くまでが慎重で、どうしても左タッチライン際の方向を向く癖を感じました。
 サイドの選手の場合、タッチライン向きにボールを持ち、自分の身体とタッチラインの間にボールを置けば、相手の守備が来てもスローインに持ち込める可能性が高まるわけですね。
 長年、サイドでのプレーをしてきた村井だからこそ、自然とそうなってしまうのではないでしょうか。 
 このあたりは見ていて面白く感じましたが。



 ただ、このあたりの不慣れな部分は、村井にとっては仕方のないことであって。
 経験を積んで修正していけば、改善される可能性も…と、31歳の選手に言っていいものなのかどうか…。
 

 一方のゲッセルに関しては、やはり監督からの信頼も厚いのかなぁとは思います。
 スピードに関してはともかく、空中戦に関してはDFラインを助けている部分も大きいと思いますしね。
 ただ、やはり素早いパス回しや大きな展開は期待できないし、今回も致命的なパスミスがありましたね(失点につながらなくて良かったと思いますが)。
 確実にパスを回す点に関しては計算できる選手で、自分の能力をわかっているという意味でも、クレバーなのかもしれませんが。


 けれど、やはり出来れば守備もできてパスも回せてある程度動けるアンカーがほしいところですねぇ。
 贅沢なのかもしれないけど、勇人が走り回ってバランスを取るタイプなだけに、アンカーからパスが出てほしいところなのですけど…。
(それこそ、シーズン開幕前はそのあたりを期待して、松田の獲得を希望するエントリーをブログに書いたりもしたのですが…。)

プレスに対しうまつなげなかったという話でしたが、その要因を1つ挙げるとしたら、テクニックなのか、メンタルなのか、ポジショニングなのか。何なのでしょうか?
「結局はその全てだと思うんですが、我々はビルドアップをしたかった。竹内とミリガンのところからポジショニングを作っていって、全体のポジショニングをした中でフリーマンを探すというプレーですね。
ただ、その中で彼らはプレスをかけてきました。もちろん、それに対しては準備していたので知っていました。彼らがミリガンと竹内に対してプレスをかけてくるのであれば、プレスをかけてくる相手の後ろのスペースをうまく使う。そういうことが重要だと思います。そこの部分がうまくできなかった。」

 ビルドアップは選手個々の能力や、パスを出す側と受ける側だけの関係ではないはずで。
 チーム全体としてどうデザインするのかが、重要だと思います。
 遠藤や澤のような選手がいれば、1人である程度ゲームを作れてしまう場合もあるかもしれませんけど、そういった選手を期待する方が難しいでしょう。


 例えばオシム監督の頃は一方のサイドに選手を集中させて相手をひきつけておいて、ボランチを使って素早く逆サイドに展開して、サイドのドリブラーが縦に仕掛ける…なんて形を作っていました。
 あるいは、去年の柏は中央のレアンドロ・ドミンゲスを中心にタメを作って、SBを走らせる展開が効果的に出来ていたと思います。
 監督がまずどんなボールの流れをデザインするかが重要で、それをベースとして選手が実行できるかどうかが次の問題になってくるのではないでしょうか。



 ドワイト監督も上記のコメントを見ると、そのあたりの意識はあるのだと思うのですが、少なくと試合の中では見えてこないかなぁと。
 パスを繋ぐ意識は感じますけど、チーム全体としてどう工夫してパスを繋いで、相手をこじ開けるのか…というところまでは見えてこない。
 中盤の圧力勝負に勝った後は、相手を揺さぶる必要もないので、そんな工夫も必要なくなっては来ると思いますが…。


 強いて言えば「プレスをかけてくる相手の後ろのスペースをうまく使う」という点で、これはロングボールを使うということになるとは思います。
 ただ、実際にはプレスが掛かっている時は、相手もラインを上げている場合が多く、FW(オーロイ)周囲のスペースも少ない場合が多いですから、上手くいっているとは言い難い印象ですが。
 だからこそ、横浜FC戦終盤の青木孝太の積極的な裏への飛び出しは、DFラインの裏を狙うという意味で(いつもはMFラインの裏を狙うことが多い印象ですが)、面白かったと思うのですが。  


 ともかく、チームとしてどう細かなビルドアップを作っていくかどうか。
 プレスをかけられるとショートパスを上手く使えないからと言って、見え見えのロングボール一辺倒になっては相手の思う壺だと思いますし、やはりビルドアップの質の向上は必要不可欠なんじゃないでしょうか。