戸島のリザーブズ移動に思う

戸島章選手 登録変更について(ジェフ公式サイト)


 トップチームに所属していた戸島のジェフリザーブへの移動が発表になりました。
 16日に臨海で行われたホンダロック戦ではいきなりスタメンフル出場を果たしますが、試合は0-3で大敗となっています。
 高卒2年目の戸島ですが、公式戦の出場はこれまでなかったわけで、出場機会を与えるための移籍…というのはわからなくもないかなとは思います。


 とはいえ、「公式戦の出場がすべて」というような単純なものでもないのではないかな?とも思いますけどね。
 トップチームからの移籍となれば、ドワイト監督からの指導からは離れることになるはずですし、練習などのレベルの問題や、本人のモチベーションへの影響もあるかもしれません。
 トップチームにいても練習試合などは組まれているわけですし、相手チームの環境というのも大きいでしょう。
 最終的には状況次第であり、どちらが正しいかは言いきれない部分があるんじゃないでしょうか。
 このあたりは一般的な話として、ですが。



 気になることは、いくつか。
 まずは現在のジェフリザの状況に関して。
 移籍しても移籍先の状況が良くなければ、本人のためになりづらい…というは、一般的なレンタル移籍などにも言えるはずで。
 現在のジェフリザは0勝2分11敗。
 にもかかわらず、先日は金沢、山口が退団し、今のところ夏の補強は戸島だけといった状況で、今後どういった巻き返し策を取るのかは見えてきていないというのが、実際のところではないでしょうか。


 正直、そんなチームに選手を移籍(移動)させるというのは、不安を感じる部分があります。
 戸島の移動も、お金をかけない金沢の穴埋めなのでは?と疑ってしまいます。
 現在のジェフの経営は”火の車”で、もっともコストを減らしやすいリザから削減(規模縮小)していこうという発想があるのでは?とも思ってしまいます。
 そして、コストをかけずに補強をするためには、トップから選手を移動させるのが一番…とフロントが安易に考えても、驚きはないのではないかと私は思います。



 次に気になるは09年末のサポーターズカンファレンスで、三木社長が「トップ登録の選手はリザに移動させない」と明言していていること。
 ちなみに、三木社長はその後の説明で、とりあえず新人選手をとってリザに移動させることをスカウトの「甘え」と言っています(これに近い話は09年初旬のサポコミでもしています)。
 その時、例として名前を上げていたのがその時点で入団の決まっていた戸島、佐藤だったわけで、今これを読むとどうしても疑問に感じる部分が出てしまいます。
 一時期はトップとリザ間で選手が何度も移動し、傍から見ても選手にとって落ち着いた状況を作れていない印象を受けました。
(もっともイビチャ監督の頃はうまくいっていたはずで、それも状況次第だとは思うのですが。)
 無論、臨機応変に対応することもあっていいとは思うのですが、一度明言したことをこうもあっさりと覆してしまっては、クラブ内外に不信感が出ても不思議ではないように思います。



 そして、最後にそれらに対しての説明が一切なく、今回の発表でも決定事項しか告げられていないこと。
 今回の移動はどういった意味のあるものなのか、本人はどのように感じているのか、一度明言したことに反することをしているにも関わらず、何の説明もないというのはどういうことなのか。
 もちろん今回の移動がいい方向に行く可能性は否定しませんが、今回のように簡単に約束を破られてしまい、何の説明のないのであれば、他でも同じように約束を破られるのではないか、嘘をつかれるのではないかとつい疑ってしまうのが、人間の心理というモノではないでしょうか。
 あまり言いたくはありませんけど、三木社長は昼田さん退団の一件でも虚偽報告をしているだけに…。



 リザの件に関しても、結局フロントがどう将来を考えているのかは不透明なままで。
 開幕前にはコーチングスタッフ決定に関してもバタバタした流れがありましたし、現在のリザに何を求めているのかも説明不足で不透明なままです。
 そこに来て、今回の金沢退団、戸島移動というニュースが出てくると…。



 久保を獲得した際も、ユースに詳しい人は「戸島は育てないの?」という意見をお持ちの方もいたそうです。
 来季は大卒CBを補強しようとしているようですが、個人的には益山をどうするつもりなのかな?とも感じてしまいました。
 大卒FWの補強も考えているようですし、今期入団組も久保と藤本の大卒ですし、もしかしてジェフは高卒選手の育成は諦めるつもりなんでしょうか?


 確かに今はリーグ全体がそういった傾向にあり、ジェフにも久保、伊藤という成功例があります(古くは巻や羽生なども)。
 完成度の高い大学生選手を取ればリスクも少なく、育成に掛かるコストも少ないのかもしれません。
 しかし、かといって高卒選手の育成をないがしろにしては周りからの信頼にも影響が出てくるかもしれませんし、大卒選手の補強ばかりに偏っては幅も狭まるはずで…。
 本当に良い選手というのは高卒からでも活躍する場合もありますし、クラブ規模を考えればやはりトップでの若手の育成喪重要になってくるはずではないかと思うのですが。


 このあたりは憶測でしかありませんけど、ジェフリザも本来は20歳前後の選手の育成を期待されていたはずですし、クラブとしてそのあたりをどう考えていくのか、気になるところです。
 いくらU-18年代以下の下部組織が充実したとしても、それをどう活用していくのか…という問題が出てしまっては、宝の持ち腐れになりかねないと思いますしね。



 まぁ、それよりもやはりクラブからの説明の問題、一度説明があったことを覆した問題の方が気になります。
 ようするに「信用」の問題ですね。
 電車だって何のアナウンスもなく朝、駅に着いたら急に時刻が代わっていたら、大問題なはずで、なんでこうなってしまうのかなぁ…と考えてしまいます(笑)
 説明しにくい”何か”でもあるのでしょうか。