アムカルの課題はメンタル面?
先週末行われたロコモティフ・モスクワ戦。
残念ながら巻は2試合連続のスタメン出場ならず。
ゼニト戦でスタメン出場できたのは、ピエフが出場停止(?)だったからでしょうか。
ここ数試合リスティッチと2トップを組んでおり、この試合でもスタメンだったヴォルコフもゼニト戦ではなぜだかベンチにもいなかったようですが。
ともかくまずまずのプレーを見せて、現地でも決して評判は悪くなかっただけに、残念なスタメン落ちでした。
■ヴォルコフのドリブルでアムカル先制
ロコモティフ・モスクワは典型的なロシアのチームといった印象でした。
ビルドアップで、1人1人が個人で前に展開しようという意識が強い。
その結果、日本のサッカーのようにワンタッチでポンポンと繋いでいく展開が少なく、タッチ数が多い。
そこからFWを目掛けた速い展開や、ワイドに張ったウイングへ裏を狙うボールをける。
タッチ数が多いのでこちらからすると野暮ったくも見えてしまいますが、ロングボールの精度に関してはあちらの方が高いようにも感じます。
このあたりはやはり筋力の問題などもあるんでしょうか。
それと個人でのビルドアップが多いのは、積極的なプレスをしかけてくるチームが多くないのも大きいのでしょうね。
Jリーグであんなにのんびりとパスの出し手を探していたら、その間にボールを奪われてしまいそうです(笑)
その分DFラインで跳ね返せる自信があるのかもしれませんし、このあたりは選手の違いに応じたサッカーのスタイルの差なのかもしれません。
一方のアムカルはブルガリア代表ピエフが返ってきたこともあって、中盤でつないで最後は右サイドからクロスという形がはっきりしていたように思います。
前半5分にはコロメイチェフがボールを拾って、中盤右寄りからリスティッチにクロス。
頭をひねって放ったヘディングシュートはゴールかにも思えましたが、オフサイド。
リプレイを見るとかなりDFラインから前に出ていました(笑)
ただ、ピエフへのマークはやはり厳しいようですね。
周りのフォローが遅い部分もありますが、相手選手3人に囲まれるようなこともあり、なかなか高い位置でボールを持てず、簡単にはピエフの右足を使ってチャンスメイク…とはいきませんでした。
しかし、前半21分。
それまでにも前線から右サイドに流れてスピードあるドリブルでチャンスを作っていたヴォルコフが、PA前の右サイドから中に入っていくドリブルから、10番トプチュにスルーパス。
これがぴたりとはまってGKと1対1になりゴール。
アムカルが先制します。
ヴォルコフは巻に変わってスタメン復帰したFWですから、巻を応援する者としてはちょっと複雑なゴールでもありました(笑)
ただ、まったくタイプが違う選手なだけに、比べようがない部分でもありますが。
■巻は後半25分から出場
1-0の迎えたまま後半へ。
前半同様、基本的にはロコモティフ・モスクワのボールポゼッションの方が長く、アムカルはカウンターを狙う展開。
しかし、前半はそのカウンターの時にしっかりと人数をかけ押し上げも出来ていたのですが、後半10分あたりから徐々に全体の足が止まっていき、攻撃参加の勢いもなくなり守備時のラインも下がっていきます。
そんな中、後半25分に巻が投入されます。
いつものように全力で走り回る巻。
ただ、途中投入だと難しいですよね。
元々プレスへの意識が低いチームなだけに、選手達が疲れた状況では、巻が頑張ってチェイスに行っても周りが付いてこない。
巻は相手DFラインからボランチの広いエリアを走り回って、2人、3人を追いかけなければいけない…(笑)
投入5分後には巻の頑張りでサイドでボールを奪うなど明らかに守備では貢献しているのですが、1人で頑張っているだけにチーム全体でみると効果的にボールを奪うとはいかないわけですね。
後半31分、相手DFラインからのなんでもないボールにズルズルと下がるアムカルの守備陣。
バウンドしたボールを受ける際にアムカルDFチェレンチコフが相手選手と接触し、ファールを受けPKを取られてしまいます。
チェレンチコフが動いた方向とは逆方向に相手選手が倒れているので「誤審か?」と思ったのですが、リプレイを見ると外の足がかかっていたと判断したのかもしれません。
ここまで何とか守っていたアムカルですが、これで1-1になってしまいます。
同点になって、前に出るアムカル。
正直、この元気があるのなら、なぜ退いた状況でもう少し頑張れないのか…と思ってしまいました(笑)
それほどまでに、全体的に前に行けていたのですが、なかなか打開策は見出せず。
すると後半41分。
さきほどPKを与えイエローを受けていたチェレンチコフが、アムカル右サイドで相手を後ろから削りイエロー。
まったく必要のないところでスライディングをし、退場となってしまいます。
そのフリーキックの流れから失点し1-2に。
このまま試合は終了してしまいます。
■もっと頑張れたはずでは…
まぁ、なんと勝負弱いことか(笑)
前半の戦い方を見ても後半1点を取られてからの押し上げを見ても、内容は一時期に比べて明らかに良くなっているのに勝点を増やしていけない。
これはちょっと重症かもしれませんね。
気になるのは、やはり後半途中からの落ち込みではないでしょうか。
確かに疲労が体に来る時間帯ではあるのかもしれませんが、そこでしっかりと守ろうと集中できるか、あるいはもう1点を取りに行こうと頑張れるか。
そのあたりの選択はチームの方向性にもよると思うので部外者としては口を挟みにくいところではありますが、そのあたりの方針がはっきりしてこないような気がします。
巻が加入してから見た限りでは基本的に堅守のチームだと思うのですが、その割には粘りがなさすぎるし、運動量が落ち集中力を欠く時間がどうしても出てきてしまう印象ですね。
このあたりがアムカルの弱点というか、現在この順位にいる所以なのかもしれませんね。
1点取られて同点にした後にもう一度チームの運動量は上がったのを見ると、なおのこともっと頑張れたはずではないかと思ってしまったのですが…。
いろいろな要因はあると思うのですが、1つはメンタルの問題もあるのかなぁと。
ようするに、厳しい状況になると頑張れる。
リードしている状況だと、運動量も落ち受け身になってしまう。
前節のゼニト戦は大敗でしたが、前々節のディナモ・モスクワ戦でも終了間際に点を取られて負けていますし、その前の試合でも先に点を取って2-1のところから同点にされてしまいましたしね。
だから巻を獲得たというところもあるのでしょうか。
そういえば巻獲得の際に、アムカルの監督は巻がジェフでどういった立場だったのかも評価した上で判断してくれたと、巻自身が話していました。
あくまでも想像の範囲内ではありますが、その頃からこのチームの課題は、メンタルであると考えていたところもあるのかなぁと。
運動量もメンタル面もこのチームの課題なのかもしれませんし、そういう意味では巻の存在が重要になってくることもあるかもしれません。
今はまだ巻の頑張りが効果的に作用しているとは言い難いですが、最後まで頑張ってほしいと思います。
今シーズンは残り5試合。
現在アムカルは15位の降格圏内で、14位との勝点差は2となっているそうです。