劇的なレースとなった韓国GP
さて、ネット上で無駄に盛り上がってしまった韓国GP。
ただ、その見方は2種類に大きくわかれてたんじゃないかなぁと思います。
大方のF1ファンはモータースポーツ最高峰とも言われているドライバーとチームが、この荒れたコースをどう攻略していくのか。
もう一方の人達は、どれだけ工事不足のサーキットで大きな問題が発生するのか。
後者の方々にとっては残念かもしれませんが、実際には「前代未聞の大ハプニング!」みたいなことはなかったですね。
もちろん問題があったのは事実でしょうけど、致命的なものはなかったはずで、「こんな状況でも素晴らしいレースを見せてくれた!」という印象の方が個人的には強いです。
小さな問題をあえて大きく取り上げているところは、多数あったようですけどね。
まぁ、おかげで「このサイトはアクセス数稼ぐために必死に煽ってばかりだな」とか、「ここはスポーツとしてスポーツを見てはいないんだな」とか、自分の中ではっきりした部分はありましたけど(笑)
エンターテイメントの1つとしては見ているのかもしれませんが。
言ってしまえば、サッカー日本代表を無駄に煽るマスコミのような感じで。
前にも言いましたが、そもそも観客席やら周りの環境はチーム関係者やF1ファンにとっては、そこまで大きな関心ごとではないはずです。
そのあたりに問題が発生すれば、将来的な部分も含めてチケット収入などの影響は出るかもしれませんが、それで一番の被害を被るのは主催者本人だけなわけで。
みすぼらしい工事現場を曝け出して世界的な恥をかくのも自分達の問題ですし、そこに関してはさほど大きな問題ではないはと思います。
もちろんファンにとっては残念なことですし、宿泊地などの問題は行かれる関係者の人達にとっては大変なところもあるでしょうが。
大切なのは何よりもコース。
サッカーで言えばピッチに当たるのかもしれませんが、それ以上に重要性の高い要素と言えるのかもしれません。
コースに大きな問題があれば即ドライバーの生死にかかわるわけですし、レースが面白くなるかどうか、チャンピオンシップがどう動いて行くのかも含めて、大きくここに左右されるわけですから。
言わばドライバーやチームはライバルだけでなく、コースとも戦うということですね。
…で、そのコースの方は、思ったよりも悪くなかったかなと。
ヘビが出ただの話題になっていますけど、過去にはウッドチャックというビーバーに似た小動物が決勝のレース中にコースに出てマシンと接触してしまったこともあったし、twitterによると先日のMotoGPでレース中にカンガルーが出没したそうだし、サーキットに動物が出てくるということは決して珍しいことではないですしね。
それよりも、レイアウトがすごく面白い。
長い直線があるだけでなく、大きく回り込む11コーナーから先のコーナーも非常にテクニカルなレイアウトになっています。
そちらの方がインパクトとしては強かったはずです。
その中で問題が起こってしまったのが、16コーナーと最終コーナー。
最終コーナーは少しでもはみ出すと土が出てきてしまうようで、16コーナーは縁石とその周辺がかなり沈んでおり縁石を使うとマシンが大きく揺れてしまう。
しかし、川井さんもちらっと言っていたように、16コーナーに関してはアップライトの調整で対応するレベルなのかな?と思っていました。
最終コーナーに関しては、金曜の夜の臨時改修がまずまずの効果を発揮したのではないでしょうか(ちなみに臨時改修自体も別に珍しいことではなく)。
一方、16コーナーに関しては臨時改修が逆にうまくいかずコースを汚す結果にもなってしまいましたが、結局ドライバーはそこをなるべく走らない方向に切り替えたようですし、これなら改修しなくてもよかったのでは?と思ったりして。
もう1つ危険だと言われていたのが、ピット入り口。
ピットに入るマシンとそうでないマシンの速度差が危険で、その前にウォールもあることで入口がブラインドになっており、ますます不安視されていました。
ただ、これに関しては韓国の問題というよりも、設計者ティルケの責任になるのではないかと私は思うのですけど。
さて、そうこうして始まった予選ですが、さして大きなアクシデントも起こらず。
1-2を奪ったのがレッドブルの2台でした。
一発アタックでタイムを出したベッテルがポール、2週連続アタックで挑んだウェバーが2番手となりました。
3番手にはアロンソでベッテルとのギャップは0.2秒以内と、思ったよりも僅差でした。
テクニカルなエリアだけでなく長い直線があるレイアウトの素晴らしさ影響もあるのかもしれませんが、速さではレッドブルの独壇場という状況ではなくなったのかなと思います。
4位にハミルトン、5位ロズベルグ、6位マッサを挟んで、7位にバトンと言う順位でした。
小林可夢偉は僅差でハイドフェルドを抑え、12位。
山本左近は23位でブルーノ・セナに予選で初勝利となりました。
決勝でも僅差の戦いを期待したのですが、日曜日はあいにくの大雨。
悪天候のためスタートが遅れセーフティーカー先導でスタートするも赤旗という状況。
1時間後ようやくレースが始まり、18週目にセーフティカーが外れると、その直後にウェバーが単独スピン。
チャンピオンシップでリードし、2位を確保すれば十分と思われていたウェバーの痛恨のミスでした。
スピンしたウェバーのマシンが、ロズベルグに接触し両者リタイアとなったところでSC。
続く34週目にもブエミとグロックが接触して、再びSCと波乱の展開。
しかし、上位は大きく変わらず、ベッテルがトップを走行していました。
このままいけばベッテル優勝、チャンピオンシップでも首位に躍り出るか?と思われた残り9周のところで、なんとベッテルのエンジンがブロー。
衝撃的なシーンでした。
このままアロンソが勝利。
チャンピオンシップでも逆転でトップに躍り出ました。
チャンピオンシップ2位はウェバーで、3位にはこの日2位フィニッシュを果たしたタミルトンが。
これで本当に分からなくなりましたね。
中位争いでは可夢偉が快走し、8位フィニッシュ。
9位にはハイドフェルドが付けます。
バトンは途中からモチベーションが下がったのか、その後ろの12位。
雨に強いと分析する解説者もいますけど、本当でしょうか?
確かに荒れた天候でも安定した走りを見せるところはありますが、こういったウェットで大きく降雨量が変わらない状況では、さして早くないようにも思うのですが。
ちなみに、マッサが3位表彰台。
4位にはシューマッハーが付けました。
鈴鹿以降、調子を上げているんでしょうか?
最後は照明機器の問題もあり(というよりも欧州時間に合わせてスタートが遅すぎた問題もあり?)暗闇の中での表彰式になってしまいましたが、個人的には面白いレースだったと思います。
来年になれば問題個所もなくなるでしょうし、また1つF1に面白いサーキットが出来たな…というのが素直な感想です。
最近のティルケデザインは、なかなか良いレイアウトを作ってくれますね。
個人的には松本カメラマンがインディの「凄いサーキットを見るとたいした問題じゃない」とおっしゃっているのと同じ感想です(笑)
佐藤琢磨のおかげで久々にIRLを見るようになりましたが(昔よく見ていたのはCARTの方ですが)、それに比べれば路面の汚れも含めて全く気にならないレベルでした。
松本さんはレース後に「無責任な誹謗中傷や噂が横行してしまった」ことも話されています。
非常に残念なことですね。
はたして、今回そういったことに加わった人達の中で、どれだけ本気で関係者やF1のことを思って指摘した人がいるのか。
加えてこれまでにどれだけのレースを見て(判断基準として)、そしてこれからF1を見ていくつもりがあるのかどうか…。
今回だけしか見ない人も多いんじゃないかなと思ったりもしました。
全てが純粋なスポーツであるべきだとは思わないですし、韓国GPに問題がなかったかと言えばそうでもないですが、それにしてもあまりにも極端すぎると感じたのが正直なところです。
これがネット時代の怖さなのでしょうか。
ジェフに関しても以前そんなことを感じたことが、ありましたけどね。