素晴らしいゴールと若い選手達への可能性
残り試合は、何よりも結果が重要。
そして、勝利によって生まれる勢いがほしい。
けれど、自分は欲張りだから内容もほしい(笑)
残り11戦全勝を達成するには、結果重視だけでも無理だろうし、勢いだけでは続かないと思います。
それは前節強かった首位柏を見ても感じることですし。
だから、結果も出しながら内容も良くしていきたい。
そして、ライバルチームが崩れるのを待つ…と。
それがジェフの現状ではないかと思います。
ということで、栃木戦を振り返りたいと思います。
■綺麗に崩して2ゴール
得点が動いたのは前半8分。
ジェフ右サイドでボールを受けた谷澤が青木良太に戻し、良太が素晴らしいアーリークロスを放ちます。
これに対してゴール前では、工藤が少し下がった位置から円を書くように一度膨らんでニアへ走り込みます。
この動きで、トップ下伊藤の前のスペースも開き、青木孝太へのマークも緩くなります。
そして、その孝太が足を伸ばしてゴール。
あとで見直したところ、孝太の前に工藤も触っていたんですね。
工藤の質の高いオフザボールの動き動きと、良太の質の高いクロスでジェフが先制します。
谷澤をトップ下から右サイドにまわして、伊藤をトップ下で起用した今回の中盤。
前節の感想でも言ったように伊藤のプレーには凄く期待しているのですが、伊藤をトップ下で使う分、誰がゴール前に飛び出すのか…という点で、心配な部分もありました。
その不安を払拭してくれたキャプテン工藤の素晴らしい動き出しでした。
続いて前半17分。
今度は工藤が左サイドタッチライン際で相手のマークに対して体を入れて前を向き、SBアレックスにスルーパス。
走り込んできたアレックスがワンタッチでグラウンダーのクロス。
それを孝太が左足でうまく押し込んで、早くも2得点目を奪います。
アレックスは止まって足元でボールを受ける状況より、裏に向かって走りながらボールを受けた方が、良いラストパスやシュートが出せる印象があります。
後方でのビルドアップも無難にこなせる選手ですが、タッチ数が多く状況判断に時間がかかるなど周りより若干リズムが遅い場合もあり、パス回しのスピードが遅れてしまう印象があります。
意外とパスを出す選手よりもパスを受ける選手としての方が、優秀なのかもしれませんね。
そして、裏に飛び出させるためには後ろ向きでボールを受けてしまうウイングよりも、意外とSBの方があっているのかもしれません。
特に前半はこのシーン以外でも、積極的に前に出ていましたね。
栃木はキックオフ直後こそ飛ばしてきましたが、中2日にでの試合と言うこともあってか、前半は序盤以降苦しんでいた気がします。
逆にジェフの方は試合序盤プレッシングを積極的に欠けることはなく、相手のDFラインに自由にビルドアップさせていた印象でした。
あまり良い流れではないように感じていただけに、速い時間に得点出来たことは大きかったですね。
2発とも素晴らしいゴールでジェフがリードし、前半を折り返します。
■後半から動きが重くなるジェフ
後半から栃木は再びギアを入れ直してきました。
ロボ、崔根植、パウリーニョを中心に前線から圧力をかけていき、リズムを作っていきます。
それに対して、ジェフのボランチやDFラインは、オロオロしてしまった印象でした。
特に勇人は前半からイージーなミスも多く、プレーの出来がもう少しだったかなぁと。
当然本来ならもっと出来る選手だと思いますし、ここ数試合いまいち調子が良くないように見えるので、かなり消耗しているのかもしれませんね。
少し休ませてあげたいとも思うのですが、勇人に変わる選手もいないというのが実情なのかもしれません。
逆に山口や茶野は、特に守備面で効いていた印象ですね。
だからこそ、茶野の状況が少し心配ではありますが。
ジェフにとって苦しい時間帯だったと思うのですが後半11分。
パウリーニョがプレーが切れた後に、山口を蹴って退場。
初めは何が起こったか分かりませんでしたが、映像を見る限り審判が良く見ていたと思います。
しかし、相手が1人減っても、なかなか動きが活性化していかないジェフ。
退場者が出た直後の後半16分。
中盤でボールが奪われたところからジェフ左サイドを中心に高木、崔根植、ロボとつなげられゴール。
誰が悪いというわけではなく、相手選手1人1人に対してタイトに行けていなかった印象でした。
その得点直後、松田監督が執拗に審判に抗議を続け退席。
なんだかよくわかりませんでしたけど、ジェフにとってはすごく悪い流れでしたし、選手達が一呼吸おけたという点においても凄く助かりましたね(笑)
この退席が影響したのかはわかりませんが、その後栃木の前からのプレッシャーは少なくなった印象でした。
それでも完全にジェフの流れにならなかったのは、単純にビルドアップ時のミスが多かったことに問題があるのではないかと思います。
それとともに、徐々に前の選手の動き出しも減っていってしまいましたね。
前線が飛び出してターゲットになる…あるいは動き出すことでスペースを作りそこに中盤の選手が入っていくことが、最近のジェフの攻撃のスタートになってきましたので、その動きがなくなるとボールを出す方も難しくなってしまうのかもしれません。
選手達の動きが重くなり試合終盤まで手に汗握る状況ではありましたが、次第に栃木の選手達も動きも落ちていきなんとか2-0で勝利ということになりました。
■若い選手が起爆剤になれば…
前半は動きが良く得点も奪えたものの、後半は相手に退場者が出たにもかかわらず1点奪われ2-1で終了。
試合終盤、冷静に試合をクローズしたのは正しい判断だと思うのですが、そこまでの戦い方には課題があったように思います。
大きく目立ちはしませんでしたが、やはりこの試合も徐々にジェフは息切れしていたような気がします。
厳しい言い方をすれば燃費が悪いサッカーになっているのかもしれませんが、今さら大きく軌道修正するわけにはいきませんし、コンディション調整をしっかりやっていくしかないのかなと思います。
それとスタミナ切れの不安もあるので試合序盤から激しいプレスはかていかない…という策には納得なのですが、疲労でプレスを掛けられない場合も含めて、前からプレスをかけない状況でどう守るのか…という点で、はっきりしていない部分があるような気がします。
前半も相手SHの中央への飛び出しに対してどう守るのか、中盤の守備が緩かったところがあったと思いますし、守備への考え方をもう一度整理すべきなのかなと感じました。
それと相手が前線から激しいプレッシャーをかけてきたときに、どう対処するのかも課題ですね。
シーズン前半からプレッシャーをかけられるとオロオロしてしまうところがありましたが、この試合の後半では選手達が動けていないこともあってビックチャンスを作られてしまいました。
松田監督としてはジェフが後半から失速することと前からのプレスに弱いところを理解した上で、あの時間帯に勝負を仕掛けてきたのかもしれませんね。
このあたりも修正ポイントの1つではないでしょうか。
ただ、課題もありましたが、収穫も多い試合だったんじゃないかと思います。
まず、前半のうちに自分達の動きで相手を崩し2点が取れたこと。
Jリーグサッカーキングのインタビューを読んでも、江尻監督はこういったゴールより相手のミスを誘ったリアクション的なゴールの方が好みなようなのですが(シーズン序盤にもそんなことを言っていますし)、こうやって相手のミスがなくても自発的に得点を奪えるようになれば、よりコンスタントに点が取れるようになっていくのではないかと思います
2つともとても良い形でのゴールでしたし、シーズン前半には使えなかったSBを有効に使えているという点においても、どちらか一方ではなく左右からゴールが生まれたという点においても、(特に1点目は)ラストパスのターゲットが複数作れているという点においても、非常に価値の大きい2得点だったのではないでしょうか。
また、孝太や伊藤大介など若い選手達が活躍したということに関しても、可能性を感じましたね。
2試合連続のスタメンとなった孝太は2ゴールという結果だけでなく、硬さも取れましたし、前を向いた時のプレーが安定してきましたね。
単純に技術やキレなどだけでなく体の強さや落ち着きも見られるようになりましたし、ボールがないところでの動き出しも効果的だったと思います。
後半33分のあの惜しいシーンも決めていれば、言うことはなかったですが(笑)
伊藤はそこまで効果的な動きは多くなかったと思うのですが、視野の広さは感じましたし孝太との距離感もすごく良かったですね。
ただ単純に近づくだけでなく、適度な距離を保って前へパスを出そうとしていた印象でした。
技術だけでなく状況判断や視野なども含めて、パスを出すことに関してすごくセンスを感じる選手ですね。
ただ、孝太はゴールに背を向けた状況でボールを受けた時にもう少し粘ってほしいと感じるのと、伊藤は守備面でしっかりとついて行くことが課題なのかなと思います。
もちろん課題があるのは誰でも当り前のことですが、このあたりが改善されればスタメンでもより安心して見ていけるのではないでしょうか。
シーズン終盤にチームが実力を付けていくためにも、こういった若い選手達が乗っていってくれれば…と思います。
彼らの活躍が、チーム全体の起爆剤になる可能性も十分にあるのではないかと思いますし。
この可能性を最後まで引き延ばして、J1昇格という結果に変えていきたいですね。