ジェフ経営情報'10その2 「特別損失」とユナパの費用
その1はこちら。
『営業利益』、『経常利益』で約3億5千万円の赤字、『当期純利益』で約6億4000万円の赤字となりました。
3億円近くもの「特別損失」が発生していることも問題ではありますが、「特別損失」での損失と通常の経営活動における赤字では、通常であれば後者の方がより大きな問題となるはずです。
ただし、ジェフの場合、毎年のように大きな額の「特別損失」が発生しています。
そうなってくると、特別な損失ではなくなってしまいますから、「特別損失」の方も心配になってきますね。
このあたりの数字をまとめた表がこちらです。
では、いったい「特別損失」の中身は何なのか…ということが重要になってくるのですが、これに関して今年のサポコミで質問された方がいまして、選手や監督の違約金が多く含まれるのではないかということがわかってきました。
09年度の違約金を考えると、まずミラー監督。
それとクロアチアサッカーニュースさんの以前の記事によると、08年途中で解雇された段階でクゼ監督はまだ「1年半のつながりがある」とおっしゃっていましたので、その間は違約金を支払い続ける契約になっていたようです。
これに関しては三木社長もサポコミで話しています。
しかし、クゼ監督は「新たなクラブを決めたら収入の大部分を拒否しなければならない」とも話しており、09年5月にアルバニア代表監督に就任されたそうで、クゼ監督への違約金はそれまでの金額になるのではないでしょうか。
ミラー監督の場合は何年契約かはわかりませんが、一部では1年半契約と言われていたようですし、クラブもわざわざ続投を発表していますから、もしかしたら09年は1年間のオプション契約だったのかもしれませんね。
もし長期契約であってた場合でも、ミラー監督は今年6月にAIKソルナの監督に就任したため、それまでの違約金を支払うということになるのではないでしょうか。
確かに違約金の問題は決して良いものではありませんが、本来は簡単に発生するモノではないと思います。
これを反省材料として、今後の判断をしてほしいですね。
ただ、監督や選手の違約金にしては、額が少し大きいような気もするのですが…。
その他にも何らかの費用が出ているのでしょうか。
もう1つ、09年度の決算で気になるのが、新練習場ユナイテッドパークのコストですね。
ユナイテッドパークは「固定資産」になるはずですから、初期コストは「減価償却」で計算されることになります(でないと、税制上などで問題が発生するはずです)。
「減価償却」に関してはWikipediaなどで読んでほしいと思うのですが、簡単に説明すると初期にかかった費用を耐用年数で割って、毎年少しずつ決算書に計上していくという計算方法です。
これにより初年度にかかる大幅なコストを、決算の上で分割していく…ということになります。
「減価償却費」は『一般管理費』などに含まれることが多いはずで、09年度の『一般管理費』を見ると08年度よりも若干増えています。
(あるいは、『一般管理費』はユナイテッドパークへの移転や使用により「管理運営費」などが増えただけで、『事業費』に含まれる可能性もあるかもしれません)。
「減価償却」に関しては、三木社長も09年度のサポコミで説明されています。
ユナイテッドパークのオープンは昨年の10月でしたから、10年度の決算からは年間を通しての「減価償却費」や「管理運営費」などが発生し、よりコストがかさむことになるのではないかと思います。
もちろんグッズショップ「12JEF」等々による収入の増加も見込めるかもしれませんが、本来は環境整備のための投資であって大きな収入を見込んだものではないはずですから、どうしても費用の方が大きくなってしまのは仕方のないことではないでしょうか。
全体的な費用の増加が予想される分、ユナイテッドパークの管理・運営方法も含めて、より経営面での努力が必要になってくるのではないかと思います。