アムカルでの巻のチェイシング
先週末ジェフが岐阜に0-1で敗れ、ここはスカッと巻が所属するアムカル・ペルミに勝利ほしかったのですが、こちらもなんと0-1で敗戦…となってしまいました。
アウェイとはいえ、相手は最下位のシビル・ノボシビルスク。
残留ラインぎりぎりの14位にいるアムカルとしては、なんとしてでも勝ちたい相手だったはずなのですが…。
しかも巻はスタメンを外されベンチスタート。
前節、巻と交代していきなり直接FKをねじ込んだヴォルコフが、スタメンということになってしまいました。
■中盤でのせめぎ合い
序盤から試合はシビルペースだったと思います。
シビルの方がDFラインから中盤まで1人1人がしっかりボールを持てて、中盤でパスを散らすことができる。
加えて中盤のプレスもしっかりと組織立って行えていました。
対するアムカルは中盤で1人1人がボールを持ちすぎて、そこで奪われるシーンが目立っていました。
守備に関しても中盤で厳しく行けておらず、攻守において中盤の圧力で相手に負けていた印象でした。
ただ、前半の中頃に中盤でポンポンポンと素早くパスがつながり、相手のプレスをかいくぐることが出来たあたりから、徐々にアムカルの選手達の動きも良くなって行き、中盤での球離れも守備も向上されて行ったように思います。
こういった形が増やせればいいのでしょうけどね…。
しかし、この試合の行われたスパルタクスタジアム(ノボシビルスク)も人工芝で温水も流れるシステムになっているようですが、プレーする選手達は大変そうですね。
踏ん張れずに転ぶ選手も多かったですし、ボールが止まってしまう。
スライディングなどのプレーでも痛がる選手が多かったのですが、このあたりも人工芝の影響があるのでしょうか。
慣れれば平気なのかなぁとも思いますが、シビルの選手も途中でスパイクを変えていたくらいですし(笑)
まぁ、それだけこの日は、いつも以上に酷いピッチ状況だったのかもしれませんが。
しかも、試合中にシビルのマスコットがゴールの真後ろでフラッグ振ってるって、どういうことなの…(いや、それは試合には関係ないけど)。
■FWの動きとラインの高さと
気になる前線の動きは、クシェフが下がり気味で受けることが多かったのですが、基本的にはヴォルコフと交互にポストプレーをしていたと思います。
しかし、基本的にはやはりヴォルコフはポストプレーで体を張るのは得意ではないようですね。
ポストプレーに関してはひいき目を除いても巻の方が上でしょう。
そこに目をつぶっても、前を向いたときのプレーには期待が持てるので今回はスタメンで…ということなのかなぁと。
ただ、チームとしては、くさびのパスへの意識が高いサッカーをしていると思うのですが…。
クシェフが下がりがちなのは、ラインの高さの問題もあるのかもしれませんね。
くさびのパスを受けてポストプレーをするには、なるべく近くに落とす先の選手がいてほしいわけですが、このチームは基本的にフラットなシステムでSHが中に入って落としたボールを受けるようなことは少なく、センターハーフ(ボランチ)が受けることが多い。
そうなってくると出来るだけコンパクトな形が理想となるはずだと思うのですが、このチームあまり全体を押し上げる意識は感じられず…。
逆に言えばFWの1枚が受けるときに1列下がることが、このチームのシステムであるとも言えるのでしょう。
そして、そのためには前回も言いましたけど、FWのもう1人は1トップもこなせるようなFWが理想となると。
そこで巻ということなのかな…と思ったのですけど、わりとあっさりとスタメンから外されてしまいましたねぇ…うーん。
それと3試合見てチーム全体の問題もなんとなくわかってきたのですが、チーム全体の押し上げが少ない分、攻撃に絡む選手も非常に少ない印象がありますね。
今のところ18試合経過して、得点はたったの11ゴール。
これはFWだけの問題ではないでしょう。
…ちなみに、アムカルに勝利して最下位を脱したシビルですが、こちらは18試合で24ゴールも上げているのですが、失点がなんと39。
アムカルは20失点ですから、これはこれで凄いチームですね(笑)
■後半途中から巻が出場
前半途中から後半までは一進一退といった印象だったのですが、後半10分からシビルが裏を狙ってシンプルに長いボールを蹴り始めてきて(特に左サイドを狙われていました)、スピードに欠けるように見えるアムカルのDFは押され気味になっていきました。
なかなかパスもつなげない状況になり流れを変えたかったのか、後半26分一枚目のカードとして巻を切ります。
意外にもかわって交代したのはクシェフでした。
ベテランということもあって、疲労の問題もあったのでしょうか。
選手達も水分をとっていましたし(巻も相手選手からドリンクを受け取ってましたが)、気温も高かったのかもしれませんね。
後半29分には後方からのロングボールをうまくキープして、中央にパスを出します。
その一分後には右から巻をめがけたクロス。
しかし、相手CB二人にマークされて、跳ね返されてしまいます。
この時ゴール前には巻1人。
やはりクロスからの形は多くても、それに反応する選手が少なすぎる…。
なかなかビックチャンスが作れない展開が続くと、後半35分アムカルのCKからカウンターを受け、最後はシェフチェンコがゴール(あのシェフチェンコではない)。
この試合において、大きな1点が決まってしまいました…。
後半ロスタイム。
アムカルが得た後方からのFKをGKが蹴り、巻が相手に競り勝ち、中央に折り返し、アムカル選手がシュートを放つも惜しくも枠外。
巻の良いおぜん立てからの展開で、画質の粗いネット上の動画では一瞬決まったかとも思ってしまいました。
試合の方はそのまま0-1でアムカルの敗戦となってしまいました。
■巻の前線での守備力
この試合に関しての巻は、チェイシングで良さを出せていたと思います。
投入直後から前へ前へとチェイスに行くことで、相手のビルドアップを抑制する動きが出来てました。
先ほど言ったように、後半途中からシビルは長いボールも蹴り始めていたので、巻のチェイシング効果は大きかったのではないかと思います。
後半42分、後半44分にはGKへのバックパスを追いかけ、相手のキックミスを誘いボールを奪ったシーンもありました。
スタメンのクシェフもヴォルコフも守備を全くしないわけではないですが、運動量は多くはなく、前へ追いかける守備はほとんどありませんでした。
攻撃から守備に関しての切り替えにしても、パスコースを消す追い方にしても、スピードのしても巻のチェイシングはロシアでも通用するということが分かった試合だったと思います。
ただ、巻の前線での守備能力をどう監督が評価するかですね。
個人的にはこのチームにとって全体のラインを押し上げることは非常に重要な課題であり、そのためにはFWの守備力と運動量というのは大切な要素だと思います。
しかし、もうラインを上げることはあまり考えない、リスクは抑えて前線の少ない人数で点をとるサッカーをするというのであれば、巻にとっては厳しい部分もあるのかもしれません。
もちろん攻撃に関しては言うまでもなく、少しでも早く点が取れればと思いますし、そのために周りと連携も深めていきたいところですが、そもそもなかなかいい形でFWにボールが入る形が作れていないとなると、それ以前の問題になってしまいます。
巻の守備力は運動量はチーム全体を助けることにもつながると思うのですが…。
今回スタメンを外されたことに関しては、元々レギュラーでたぶん怪我明けだったのだろうヴォルコフが前節途中出場でいきなりゴールを決めたことを考えれば、仕方がないのかなとも思います。
また、キャプテンであるクシェフと交代して出場できたことにより、ヴォルコフ−巻という新しい可能性も見えてきたのかなと思います。
短い時間だけだったのでなんとも言えませんが、前に強そうなヴォルコフ−巻も(クシェフは若干スピード感に欠ける部分がある気がしますし)チームの新たな形を引き出すという点においては、面白い組み合わせなのではないでしょうか。
チェイシングでも巻の良さを出せましたし、そうやって考えていくと巻にとって決してマイナス要素ばかりの試合でもなかったのかなと思います。
ただ、ジェフではないですけど、アムカルもチームとしては待ったなしの状況になってしまいました。
15,16位が自動降格となるロシアプレミアリーグ。
この試合でシビルが勝点12に伸ばし、得失点差で上回って15位に。
16位はクリリア・ソベトフでこちらも勝点12位なのですが、アムカルは14位で勝ち点15で、ついに降格圏内のチームと勝点差3の状況になってしまいました。
チームとして早くベストな形を見つけて、ここから巻き返していきたいところなのではないでしょうか。
巻としてはともかく攻守において走り回って体を張って頑張るしかないわけですから、練習からしっかりと取り組んで監督の判断を待つしかないね。
そして、チームの残留に貢献してほしいところです。