ヨーロッパGP 小林可夢偉、7位フィニッシュ

 前戦がカナダだったということこもあって、ヨーロッパはバレンシアに戻り各チーム大型バージョンアップ。
 レッドブルなどが本格的にFダクトを使用したり、ルノーメルセデスGPフェラーリなどはレッドブルが開幕前から使用しているブロウンディフューザ―を投入したり(エキゾーストからの気流をディフューザーに輩出しダウンフォースを変化させるというもの)。
 

 これらのアップデートがどう戦力図に変化していくのか注目が集まりましたが、予選結果はベッテル、ウェバー、ハミルトンと上位はいつもの顔ぶれ。
 フェラーリルノーあたりはマシンが改善されアロンソ4番手、マッサ5番手、クビサ6番手、ペトロフ10番手でしたが、逆にメルセデスGPロズベルグ12番手、シューマッハー15番手と苦戦。
 マクラーレンが大きなアップデートをしなかったのにもかかわらず、上位に入ったことと比較して、明暗が分かれてしまいました。



 パッシングポイントの少ないバレンシアということもあって、決勝は動きの少ない展開になるのかな…と思ったのですが、アクシデントもあって波乱含みの展開でした。
 スタートを失敗したウェバーが早期にタイヤを交換し、下位に交代。
 すると10周目に、同一周回のコヴァラインネンの後ろから乗り上げる形で接触。
 ウェバーのマシンが一回転する大きなクラッシュになってしまい、セーフティカーが入ります。
 ウェバーの安否が心配されましたが、すぐに自力で歩行しており大きなけがはなかったようで一安心。


 このセーフティーカーで多くのマシンがピットに入る中、予選18位と低迷していた小林可夢偉だけ残る展開に。
 3位まで浮上し、ここから終盤まで粘ることになります。
 この粘りの走りが素晴らしかったですね。
 今週末はタイヤのたれが少ないということもあって、終盤までタイムを上げていきます(重要なのは単に上位で抜かれないよう粘っていただけでなく、ラップタイムが良かったことですね)。
 3位をキープし57周中53周まで粘っていましたが、タイヤの使用義務を果たさなければならない可夢偉は、実質8位ブエミ、9位アロンソとのバトルということに。
 そして、53週目にピットに入ると、若干足りず9位に落ちてしまいます。
 タイムはまだ伸びていたので、もう少し粘れば良かったのではないか…と思っていたのですが、そこからアロンソを追い抜き、ラストラップの最終コーナーで見事ブエミも抜き去りました。
 タイヤの差もあったでしょうけど、この抜きにくいサーキットで一気に2台をパスするとは。
 ロングランでのタイムといい、最後の追い抜きといい、本当に素晴らしい走りを見せてくれました。
 チームオーナーのペーター・ザウバーやイギリスのBBCも大絶賛していたそうです。
 下位チームのマシンでアロンソを抜いたということで、スーパーアグリ時代の佐藤琢磨のカナダでの走りを思い出してしまいました(笑)

 


 さらに、セーフティカー中、指定以上に速く走ったということで、レース終盤にバトン、バリチェロクビサスーティルなどへ審議警告が。
 タイミング的にレース後の加算ペナルティが予想されたのですが、CSの解説陣は20秒の加算ペナルティ、海外の一部メディアでは25秒のペナルティになるのではないかと言われ、20秒なら可夢偉は4位、25秒なら日本人最高位タイの3位となる見込みとなっていました。
 しかし、加算されたのはなんとたったの5秒。
 ドライブスルーペナルティでも15秒はかかるはずですから、ちょっとよくわからない数字ですね(レギュレーションでどう書かれているかはわかりませんが)。
 しかも、その発表がレース3時間後だったとか…。
 W杯のドイツ対イングランド戦でも見ていたんでしょうか?


 なお、レース中にはハミルトンがセーフティカーを出てきたタイミングで追い抜いたとしてドライブスルーペナルティを受けていますが、このペナルティが科されたタイミングが遅く隊列が広がった状況で消化したためアロンソなどは意味のないペナルティだったと怒っています(実際、ハミルトンは2位の順位が変わらず)。
 先ほどの審議警告も非常に遅かったですし、ドイツ対イングランド戦でも誤審が発生してしまいましたが、こちらの判定もいろいろと良く分からない部分が多かったといった印象です。



 最終リザルトをまとめると、優勝がベッテル、2位ハミルトン、3位バトン、4位バリチェロ、5位クビサ、6位スーティル、7位可夢偉、8位アロンソ、9位ブエミ、10位ロズベルグとなったそうです。
 ここでもドイツ人ドライバーがイギリス人ドライバーに勝利。
 F1もサッカーも応援しているイングランド人の方にとっては、悔しくて眠れない夜になったのではないでしょうか…(笑)


 逆に日本人としては純粋に小林可夢偉の走りを喜びたいと思います。
 ペナルティによっての順位昇格はなりませんでしたが、それでも素晴らしい走りを見せてくれたことに関しては変わりないですからね。