江尻監督が目指す攻撃のパターンとは

 今さらということになってしまいますが、犬の生活を取り上げさせていただきたいと思います。

 江尻篤彦監督が意図しているフィニッシュの手前までの手順は次のようなものだ。
(1)ショートパスをつなぐ(これはOK)
(2)ボールサイドでディフェンスラインの裏へFWが飛び出す
(3)FWの飛び出しによって広がるディフェンスラインの手前のスペースへつなぐ
(4)ラインの手前で起点を作ることで食いつかせ、裏を攻略する

 西部さんは江尻監督が目指している攻撃パターンのメインは、中盤でボールを持ったときにFWが裏に飛び出し、それでできたスペースを使う形と見ているようです。
 これはこの間、江尻監督が話していたパターンでもあり、大分戦で巻がやったプレーですね。
 確かに江尻監督も会見で取り上げてはいるし、私が観に行った練習でもこの形はこまめにやっていました。
 けれども実際の試合にはなかなか出来ていないし、それをするなら巻や孝太のように前線で動き回れるFWの方が向いているようにも思うし、外から見ているとちょっとピンと来ない気がしますね。
 西部さんは直接江尻監督と話して聞いたのかもしれませんし、その印象で書かれているのかもしれませんが。


 狙いの1つではあるのは確かでしょうけど、それがメインなのかどうか。
 ネットの一発も捨てがたい…ということなのでしょうか?
 それを完全に否定するつもりはないですけど、結局チームの方向性としてどっちをやりたいのか中途半端な気もしますね。
 結果的にそれがチームビルディングの足かせになっているような気もしなくもないのですが…。



 ちなみに、東京V戦後、江尻監督はこのように話しています。

ネットに動き出しがなくつまってしまっていたようですが、それは意図的ですか。
江尻監督「そういうわけではない。彼には斜めに出ていけという話を試合前やトレーニングでもしていましたが、彼がそういう表現ができなかった、というのが前半のひとつのつまったポイントでもあります。後半、青木孝太を投入する際にはそういう指示を出して、実際にそういうところで起点になったり逆にいくことによってスペースが空いてきて三角形がうまく動く要因にもなりました。」(ジェフ公式サイト

 「そういうわけではない。そういう表現が出来なかった。」
 …うーん?
 まぁちょっと突っ込まれて焦ってしまったのかもしれませんが、これを読むとどうなんでしょう?
 本当にFWの斜めに出る動きを、そこまで重視しているんでしょうか。
 実際、孝太が斜めに出て行けたことで、うまくいった。
 それは確かですけどチーム作りのことを考えると、それをどう評価しどう伸ばしていくのかが重要ですね。



 個人的には、やっぱり江尻監督は最後の崩しの部分は個人に任せている部分が大きいような気がします。
 組織的な崩しに関してはまだ出来ていない…というよりは練習などはしているけれど、そこまで強く重視していないのかなぁと。
 それはそれで1つの考え方なのかもしれませんが、それでどこまでチームが伸びるのか、将来的に考えるとJ1でも戦えるようになるのか…ですね。

江尻監督は安全を優先しての横パスや後方へのパスを「逃げのパス」と表現していて、なるべくプレッシャーにひるまずに勇気を持って前方へつなぐパスを奨励している。つないでいくことで相手のプレッシャーは強まるが、それが最後のフィニッシュへの局面を優位に持っていくことにつながるからだ。
ところが、対戦相手にジェフのスタイルが分かってきて、ショートパスを封じ込めるようになってきた。
(中略)
具体的には、ディフェンスラインでのビルドアップである。監督が嫌いな「逃げのパス」かもしれないが、後方でつなぐことで相手を引き出し、中盤の人数を減らしてスペースを広げることができる。現状では、中盤のパスワークに依存しすぎている気がするのだ。

 このあたりは昨日も話した通りかなと思います。
 以前にもブログでも言いましたけど、前へのパスばかりを意識した結果、無理なサッカーになっているのではないかと思います。


 縦パスを意識づけることも重要なのかもしれませんけど(若い日本人監督のトレンドの1つになってるんでしょうか?でもそこに依存しすぎてはいけない気がします)、使い方によってはバックパス、横パスだって攻撃の第一歩になるはずです。
 個人的な意見ではありますけど、縦パスを意識するよりも、パススピードの速さやサイドチェンジの意識を高めた方が、よっぽど攻撃的になる場合だってあるんじゃないかと思います。