スタミナで相手を上回れず惨敗

 生と死、理想と現実、人間と動物のあり方、自分の無力さ…。
 そんなことを今回のテーマに…はしないです(笑)



 個人的な用件で、今週末は正直サッカーどころではなかったです。
 やはり気持ち良くサッカーを見るためにも、私生活の充実がそれなりに必要になんだな…なんて思ったりもしました。


 一方で、そういった暗い時こそ、明るく希望の持てる何かが必要なのではないかとも思います。
 その可能性を秘めている1つがスポーツなのではないかと思うのですが、不景気もあって世間の流れは逆方向。
 五輪強化費も減少傾向にあり、千葉市蘇我スポーツ公園の開発も事実上凍結され…。
 お金がない、リスクをかけたくないというのもわかるのですが、ネガティブな要素を最小限に抑える努力だけではなく、明るく前向きになれる部分を伸ばしていくことも少しは考えてほしいなぁと思ったりします。
 例えば高齢化社会となり福祉・医療にはお金が流れがちですけど、スポーツ観戦など夢中になる趣味を作る、あるいは少しでも体を動かすということは、認知症の予防などにも繋がるわけですし。
 自らの魅力をアピールできていない側にも問題もあるのでしょうけど、なんだか残念な方向だなぁなんて考えていたりします。



 しかし、肝心の徳島戦はジェフサポにとって、明るい材料にはなりませんでした…。
 今年のジェフの目標はJ1昇格と決めてしまったわけですから、周りの目線も厳しい。
 だから、それに応じた結果を出さなければ、当然皆が笑えるような状況にはならないということですね。


■“スタミナ頼り”のサッカー不発
 結論から先に言うと、以前から不安に感じていた部分が明確に出てしまった試合だったと思います。
 これまでの2試合、得点が奪えたのは相手の足がガクッと落ちた状況で、カウンターからの展開だけ。
 それ以外のシーンでは狙った攻撃がほとんど作れず、“スタミナ頼り”、“個人技頼り”のカウンターチームになっていました。
 プレッシングからのショートカウンターも、ボールを奪った直後の一歩目の切り替えは迫力を感じることもあるのですが、その後の動きには勢いを感じず攻撃の形を作れず、実際には得点の形は作れていませんし。



 この試合の徳島はキックオフ当初から運動量豊富で、攻守の切り替えも俊敏。
 後半途中から若干運動量は落ちてきましたが、それでも熊本、鳥栖のように急激に足が止まるような時間帯はありませんでした。


 対するジェフはアウェイということもあったのか、若干過去2試合よりコンディションは良くなかったように思います。
 とはいっても、スタミナ、運動量、切り替えのスピードなどの部分で徳島と大差があったようにも感じませんでしたし、こういったコンディション差でも相手に勝っていくことが今年のジェフには必要になってくるはずです。
 


 前半から徳島はシンプルにボールを奪ったらサイドの裏を付くサッカーをしてきました。
 特にジェフの左サイドの守備は脆く、簡単にアレックスがサイドの裏を突かれ、カバーに行くミリガンと周りの選手の連携も悪く、深井も戻りが一歩ずつ遅れ、そこで相手との大きな差が付いてしまいました。


 1失点もその左サイドを突かれた形から、アレックス、ミリガンが応対を誤り攻略された展開。
 3失点目のPKを与えたシーンも、左サイドのカウンターから相手選手にオーバーラップされ、深井が後れを取られてしまった形でした。
■ビルドアップの形が作れず
 一方のジェフの攻撃は、相手がボックスを形成した状況でのビルドアップが未だにうまく整理されていない印象です。
 前節、前々節に比べると、「とりあえず巻に縦パス」ばかりを選択して、巻がボールを受けても孤立してしまう展開は減ったと思います。
 その分、狙っていたのがSBからSHに縦パスを出してビルドアップする形。
 サイドでのパスワークは本来ジェフが目指していたはずのものだと思うし、実際1ボランチのフォーメーションで戦っていく上ではどうしても必要な形になるのではないかと思います。
 山口は守備面では効いていますが、パス出しの部分ではほとんど機能していませんし、その分中央ではなくサイドでゲームを作っていかなければいけないはずです。



 けれど、そのサイドでのビルドアップもうまく作れていませんでした。
 アレックスから縦へのパスの展開が多かったのですが、それまでの後方でのパスワークも「各駅停車」で相手にとっては見え見えで、対面する相手SHに阻まれることが多かったですし、深井にパスを出しても潰されることが目立っていました。
 この試合の2失点目も、一度DFライン前まで戻っていた米倉が一度守備でボールを奪ったのですが、その後深井にボールが渡ったところで簡単に相手に奪われたところからでした。


 残念ながら、結果的に深井が失点に絡むことが多い試合になりました。
 深井の攻撃力は魅力的ではあるのですが、一方で守備に戻る時の遅れ、パスワークでの動き、サイドでのポストプレーなどに関しては課題のある選手。
 新居の時もそうでしたけど「深井を活かすように…」だけでなく、その前に本人が最低限の仕事はやれていかないと、そこからチーム全体のひずみが出てしまう場合もあるんだと思います。


 もちろん深井だけが悪かったというわけではないのですが、どうしてもタイプ的にパスをつなぐサッカーには合いにくいところがあるし、ウイングだと守備能力も求められるところがあるので、そのあたりもう少し本人の努力も必要になってくるのかなと思います。
 個人的にはアクセントをつける選手として、期待しているんですけどね。




 しかし、個人の部分も気になるのですが、それ以上に気になるのがサイドへのボランチのフォローも少なさ。
 どうしても4-3-3を戦っていく上で重要なのが、中央の3人の動き。
 この3人にがどこに動いて、どのようなプレーをするのか。


 特に工藤と勇人の動きがこのチームの戦術の肝になると思うのですが、開幕からどうもはっきりしない印象です。
 サイドでビルドアップしようとしている時に積極的にフォローに行っている感もないし、一方で巻に縦パスが入った時に近くにいるわけでもない…。
 2人ともボールを持てば効果的な動きをするし、この試合での工藤の巻へのクロスも良い質のボールが出せていました。


 けれど、どうにも2人がビルドアップの段階でどこにフォローに行くのか迷っている印象が強く、それは2人に問題というよりジェフというチーム自体がどうビルドアップを作るかはっきりしていないからではないかと思います。
■連動したパスサッカーが作れていない
 「もっと走れれば」、「もっとコンディションが良ければ…」とも言えるのかもしれませんが、今期のジェフはベストなコンディションでなくても勝点を稼げるチームを作っていかなければいけないはずです。
 正直、コンディション云々以前の問題が大きく、戦術的な約束事をしっかりと統率、整理が出来ていない印象を受けてしまいます。


 過去2試合“スタミナ頼り”で結果を残していたことを考えれば、比較的早いうちにどこかでこういった問題は出てくるものだと思っていました。
 ですから、この試合での大敗は驚きや新たな問題点の発見というようなものはなかったのですが、このタイミングで1-3で大敗したことで現況に大きな問題があるということがはっきりしたことは、良かったことなのかなと思います。



 とはいえ、ここからが非常に大変。
 江尻監督のコメントからすればパスサッカー、攻撃サッカーを第一に目指しているはずなのですが、そのパスサッカーが開幕して3試合とも作れていないのですから、状況は深刻と言えるでしょう。


 これまで通り“スタミナ頼り”、カウンターでの“個人技頼り”でも、それなりに勝点を稼げるだけの戦力は保持していると思います。
 しかし、J1昇格を目指すとなれば、当然このままでは難しい。
 現状のままだと、相手の状況が良ければ今回のような試合がまた出来てしまうと思います。



 ですから、まずはパスサッカーで相手のブロックを崩せる形を作ること。
 どうしても相手は警戒して前に出て来ないチームが多いと思いますからカウンターだけでは難しいでしょうし、どうにかしてパスをつないで相手をこじ開けていかなければいけないはずです。


 どのエリアでパスをつなぎ、どのタイミングで縦パスを出し、そのためにどのように周りの選手がフォローして、どのように最終的な崩す形を作るのか。
 現状ではそのあたりが不明瞭で、だから巻にあてても周りに誰もいないし、サイドでつなごうとしてもフォローが遅れてしまう。
 ようするに連動した「人もボールも動くパスサッカー:が作れていないこと。
 これが現在のジェフの最大の問題だと思います。