狙いの形から2ゴールで今季初勝利!
ホーム開幕戦となる鳥栖戦で、米倉、ミリガンが初出場。
その2人がしっかりと活躍する、ジェフにとっては素晴らしい試合になったんじゃないでしょうか。
開幕戦ではスッキリとしない試合でしたからなおさら嬉しい展開でしたが、それと共にホッとしたというところが正直な感想です。
今期のジェフは、これからどんどんと勝っていかなければいけない立場ですからね。
一方、開幕戦に出場した益山、谷澤、村井はベンチ入りもできず。
これも選手層が厚いからこそできるワザなのでしょうが、代わりに出場した選手達が活躍した分、しっかりと外れた選手のメンタル面のフォローもしてほしいところですね。
■ポスト潰しと2ライン
試合序盤。
ジェフはこの1週間でかなり守備を修正してきたのかな…といった印象を受けました。
ちばぎんカップ、開幕戦などでは相手FWに簡単にポストプレーをさせていたところがあったのですが、くさびが入った瞬間に両CBのミリガン、茶野が激しく潰しに行くプレーが特に試合当初は効いていたと思います。
特にミリガンは守備に入る一歩目が速い上に、カバーリング能力も高く、強さもあるようで、日本のサッカーへの適応能力も高そうです。
足下の技術もしっかりしていますから、この試合では効果的なフィードはあまりなかったですけど(それでもクリア時のつなぐパスにはセンスを感じました)、江尻監督の目指すサッカーにもあっているんじゃないでしょうか。
開幕戦は可哀想なデビューでしたけど(自業自得と言える部分もあるのかもしれませんが)、しっかりと連携を深めて組織的な守備も学んでいってほしいところです。
加えて、Jリーグの審判の笛にもしっかりと慣れていってほしいところです。
予想以上に良い選手だったので、周りの選手もミリガン頼りの守備にならないようにしていきたいところですね(笑)
また、チームとしては前線からのプレスがはまらなかった時に、SHが戻って中盤のラインをしっかりと作る形を意識付けてきたのかなと思います。
深井あたりの守備意識も高まっていたように感じましたし、これも良い傾向ではないでしょうか。
ただ、攻撃から守備に戻る切り替えのスピードの部分は、もう少し頑張りたいところなのかなと。
ボールを奪った直後のプレスへ移るスピードと、中盤で奪った後の守備から攻撃に移るスピードは速いのですが、相手にプレスをかいぐられた後の自陣に戻る際の切り替え。
あるいはジェフの選手が攻撃で一方のサイドに偏った状態の時に、ボールを奪われた後の守備バランスを整える際の切り替え。
攻撃の後の状況で体力的にきつい状況なのはわかりますが、この試合でも何度かカウンターで数的不利となる危ないシーンが作られてしまいましたし、その結果ズルズルとラインが下がる傾向もありましたから、もう少し修正していかなければいけないところなのではないかと思います。
■スペースがない状況下での攻撃
前半の守備は安定していましたが、攻撃の崩しに関しては今一歩。
鳥栖は熊本ほど前からのプレスがきつくなく、DFラインと1ボランチでは比較的楽にボールを持てていましたが、なかなかそこから有効な攻撃が作れていませんでした。
DFラインでボールを回している間に、米倉や工藤、深井あたりが裏に飛び出す動きはあったのですが、茶野、ミリガンからの精度がもう1つでしたね。
中盤でパスをつないでも相手のラインはなかなか崩れませんでしたし、序盤は攻めあぐねる展開が続いてしまいました。
前半20分。
巻のポストからの攻撃で一度攻めた後に、ボールを奪われ米倉が高い位置でボールを奪取。
深井とのワンツーで米倉が強烈なシュート。
クロスバー直撃のおしいシーンでした。
巻のポストプレーもこのあたりから調子を戻してきました。
前半30分には反転した巻の縦パスからの惜しい展開も。
ただ、こういった巻がパスを出す展開もいいのですが、もう少し巻を活かす展開…ようするにシンプルにクロスを上げる展開があってもいいのかなぁと。
前半はスペースのない状況だったし、そういう時こそシンプルにサイドからクロスといった形を作りたいところではないかと思うのですが、このあたりはもう少しといった感じですね。
■後半序盤、米倉の2ゴール
前半の終盤あたりから、鳥栖は攻撃に人数をかけてきました。
その流れで後半途中まで鳥栖のペースでしたが、なんとかジェフがそれを凌ぐと後半5分。
左サイド広い位置にいたアレックスから、トップ下にいた工藤に素早くパスをつないで、右サイドから中に入ってきた米倉が先制ゴール。
シンプルに相手をサイドに振る展開が功を奏した展開だったと思います。
続いて後半7分、工藤のプレスからボールを奪って、カウンター。
勇人がラストパスを出して米倉がループ気味のシュートで2点目。
米倉はボールを持ったときに、凄く落ち着いてプレーできていましたね。
シュートも思い切りよく打てていましたし、米倉らしさが出た試合だったと思います。
米倉が中に入って、坂本の上がるスペースを作るなど、クレバーな動きも見せてくれました。
一方の鳥栖は失点シーンの前後からから、運動量も落ちてかなりスペースが出来ていました。
特に逆サイドバックへのケアは、ずいぶんと緩かった気がします。
CBの二人はかなり巻を意識していたので、中央にかたまっていたのと、攻撃の意識が強まってSBが上がるようになったのと、単純に運動量が落ちたのと。
複数の影響があったのかなと思います。
その分、後半からはジェフがサイドを広く使ったサッカーが出来ていたんじゃないでしょうか。
ここまでサイドを使える攻撃ができたのは、江尻采配では初かもしれませんね。
ジェフとしてはこれを相手の出来に関係なく、自発的に作りたいところ…ですが。
■これを続けていくこと
結局試合は2-0で終了。
完勝と言ってよかったのではないでしょうか。
しかし、守備に関してはカウンターへの対応がもう少し。
それと熊本戦でもそうでしたが、試合の終らせ方はこの試合でもちょっと心配でしたね。
確かに相手は足も止まってスペースも出来ていたので得点を奪えそうな感じではありましたが、最後の数分のところになったら確実にクローズさせたいところではないかと思います。
後半ロスタイムにカウンターを受けてGKがセーブ…なんて展開を作られてしまいましたし、確実に勝っていくためにはもう少し落ち着いたゲーム運びを期待したいですね。
加えて、後半は相手がばててスペースが出来たことで、押せ押せの状況が作れましたが、それまでの相手のスペースがない状況でどう相手を崩すのかに関してはハッキリしなかったところがあるかなと。
これは熊本戦も同様で、あの試合でも相手が疲れてきたところで倉田を投入して得点。
この試合でも相手の足が止まってから、ようやくチャンスを作れるようになりました。
得点を奪ったのも同じような時間帯で、後半終盤になるとジェフの方も少しずつ疲れてきて、大きく相手を上回る状況とはいきませんでしたし。
確かにスタミナ勝負で相手に競り勝つというのは大きな武器になるとは思います。
ジェフには運動量豊富な選手が多い上に、選手層も厚いため選手交代やスタメンの変更で相手を上回っていくことは出来るのかもしれません。
しかし、相手がもしスタミナ切れを起こさず、がっちりと90分守ってカウンターをしてきたときにどう戦うのか。
あるいはまだ早い話ではありますけど、将来的に考えるとJ1でそれが通用するのかどうか…という疑問もあります。
今日の鳥栖は正直、あまり良い出来ではなかったと思いますし、スペースがない状況での崩し方をもっと工夫してやっていきたいところではないでしょうか。
とはいえ、サイドでためてトップ下の位置を使ってゴール。
中盤で奪ってカウンターでゴール。
今年の狙い通りの攻撃から2つの得点が奪えた試合だったとも言えるのでしょうし、そういう意味で大きな価値のある勝利だったと思います。
しかも、“皆の米倉”がしっかりと活躍して、開幕戦では不安だったミリガンも十分戦力として活躍した。
キャプテン工藤も攻守に走りまわっていましたし、このあたりもチームが勢いに乗っていく上では、大きな要素ではないかと思います。
ジェフとしては、ともかくこれを続けること。
そして、勝利の中からチームとしての強さを学んでいくこと。
これが今期のジェフにとっては一番重要なことなのではないかと思います。