今シーズンを占う“序曲”となるちばぎんカップ

 いよいよ明日はちばぎんカップが実施されます。
 以前にも話しましたが、今年のちばぎんカップは例年以上に重要な試合になるはずです。
 残念ながら両チームともにJ2に降格。
 しかし、資金力もあって大半の主力選手は残留ということになりました。
 お互いに今年のJ1昇格候補と言われており、目標もそこに定めているわけですから、勢いを付けるためにも簡単には負けられない試合となります。



 両チームが出し惜しみせずに戦ってくれると期待した上で、スタメンの予想を。
 柏はここまでの練習試合を見る限り、ある程度主力選手が固定化されているようです。
 練習試合の流れを見ると、菅野、村上、近藤、キム、橋本、武富、栗澤、大谷、大津、フランサ、澤。
 このあたりがスタメン候補なのかなと思われます。
 残念ながら新加入のレアンドロ、柏に復帰したアウセウなどは負傷で、明日の試合には間に合わないようですね。
 このメンバーのままなら、武富、大津、橋本など若い選手が多い布陣となります。
 

 個人的に気になるのは2年目の19歳武富。
 仙石、工藤、ジローナに入団した指宿などと柏ユースで同期だった選手で、ここまでの練習試合で結果を残してきたようです。
 それともう1人の注目は、ペルー帰りの澤昌克
 昨年までは怪我で出場機会が少なかったですが、今年は現段階でのレギュラー候補になっています。
 J2で活躍できるかどうか、純粋に気になるポイントですね。
 この2人はレアンドロが復帰するまでに、活躍して監督にアピールしたい立場にいるはず。
 明日の試合でも強い気持ちを持って挑んでくるかもしれません。
 一方でサッカーのスタイルに関してはネルシーニョ監督が残留ということで、大きな変化はないんじゃないでしょうか。
 オーソドックスなサッカーをしてくる印象で、その中で攻撃の変化を付けてくるのがフランサ
 特にバイタルエリアにフラフラと下がってきた時に(ギャグじゃないよ!)1ボランチが見るのか、CBが付いていくのか。
 ともかくしっかりと潰しに行かなければいけませんね。



 ジェフはFC東京戦のスタメンがベースとなるのではないかと予想します。
(江尻監督の性格を考えれば、さすがにちばぎんカップもメンバーをシャッフルするなんてことはないとは思いますが…。)
 岡本、和田、福元、茶野、アレックス、中後、米倉、工藤、勇人、村井、巻。
 変化があるとすれば、右サイドのラインでしょうか。
 坂本に関しては監督からの信頼も厚いと思うので、スタメンで起用される可能性も十分にあるのではないかと思うのですが。



 攻撃面では、中盤のパスワーク。
 フォーメーションが変更になった分ビルドアップの流れも変わって、中盤の3人でパスをつなぐ展開になると思います。
 昨年はくさびのパスへの意識が非常に強かったですが、もう少し中盤でテンポ良くショートパスをつなぐ形になるのかもしれません。
 そうなってくると、確実にパスはつなげますがビルドアップの広がりという点では課題も出てくるかもしれませんから、中盤の3人も含めたポジションバランスが1つのキーポイントになるのではないでしょうか。


 もう1つはそこから崩しの展開ですね。
 これは昨年も大きな課題となっていたポイントで、パスをつなげても相手を崩しきれない試合がありましたから、どのように相手を崩す形を作っていくか。
 具体的には昨年やろうとはしていたものの、なかなか作れなかったサイドを攻略する攻撃ということになるのでしょう。 
 サイドアタッカーだけでなくその周りのフォローの動きも含めて、チームとしてどう崩すのかを見せてほしいところです。

 

 守備面に関しては、昨年のちばぎんカップで苦い思い出があります。
 今期のキャンプから高い位置からのプレッシングを目指しているジェフですが、昨年のミラー監督も開幕前は同様に高い位置からのプレッシングの形を作ろうとしていました。
 しかし、ちばぎんカップでそのプレスが見事に失敗。
 中盤でボランチの杉山(現清水)をフリーにしてしまい、高くなったDFラインの裏に見事なパスを出されてしまいました。
 これによりジェフは軌道修正。
 開幕から数戦は極端な守備的サッカーで戦わざるを得ませんでした。
 今期はこういったことないようにしたいものです。



 昨年のちばぎんカップの失敗がなければ開幕直後に酷いサッカーを晒してしまった可能性もあったわけで、シーズン開幕前に穴が見つかったのは不幸中の幸いだったのかもしれません。
 しかし、結果的にジェフが降格してしまったのは事実で、昨年のちばぎんカップが“降格の序曲”だったとも言えるのかもしれません。


 今年の“序曲”はいかなるものか。
 出来ることなら千葉県のクラブ同士切磋琢磨して、J2を盛り上げ、胸を張ってJ1に参戦したいところです。
 その可能性を感じさせる素晴らしい試合を期待したいですね。




 ここから追記。
 J'sGOALのプレビューで赤沼さんが非常に興味深いことを。

「メンバーを固めてチームを作っていくのは、ちばぎんカップのあとの練習試合を2試合やってから」(江尻監督)という考えで、ちばぎんカップの直前の練習試合2試合(2月17日の湘南戦、2月18日の水戸戦)でも選手を2つのチームに分け、それぞれ1試合に臨む編成だった。江尻監督にはさらに「柏にはまだ手の内を見せたくない」という思いもあり、ちばぎんカップには選手の適性を見るテストの部分もあるだけに、どのようなスタメンで臨むのか注目したい。

 えー?
 手の内を見せたくないという思いはわからなくはないけれど、手の内を隠しながら短い時間でチームを熟成させていくなんて高度なことが江尻監督に出来るんでしょうか?
 選手の競争意識を高める意味合いもあるんだろうけど、今年重要になってくるのは何よりも結果という状況になってしまっているわけだし。
(若い日本人監督はどうしてもギリギリまでテストしたがる方が多い印象がありますね…。いや、自分の偏見なのかもしれないですけど。)
 言うまでもなく、同じフォーメーションで同じサッカーを目指すにしても、アレックスと渡邊では動きが違うだろうし、中後と山口ではフォローの仕方が変わるだろうし、巻とネットや谷澤ではクロスの上げ方、パスの出し方も変えなければいけないわけで…。


 それに今年のちばぎんカップはホームフクアリでの開催。
 冠スポンサーである千葉銀行はもちろんのこと、J2に降格しても応援してくれるその他のスポンサーやサポーターのためにも良い試合を見せてほしいと思うのですが。
 これは単にお金の問題だとかそういったことではなく、江尻監督への風当たりも含めて昨年の悪い印象を早期に払拭することが今のジェフには必要なんじゃないでしょうか。
 出来る限り、チーム作りがぶれない範囲で周りを味方につけることも、プロの監督に求められる仕事だと思うんですけどね…。