2010年の選手構想を考察

 勇人の獲得の発表もあり、背番号の空きを見ても後はミリガンでおしまいでしょうか。
 復帰組の動向も私はカンターレが関係している部分があると思うので、もうないんじゃないかと思いますし。


 そこで、選手のタイプを大枠に分けてみます。
 ミリガンは期待も込めて加入するという方向で(笑)
 しかし、選手をタイプ別に分けるといっても、サッカー観点によって分類の仕方が変わってくる部分があるはずです。
 ということで、昨年終盤のチームにそった部類分けを考えてみたいと思います。
 新人の戸島や佐藤慎之介あたりはひとまず育成枠だと思うので、置いておきます。
 人数が少ないのならともかく、この大所帯では若手のベンチ入りは厳しそうですしね。



長身ポストプレーヤー:巻、ネット
 江尻監督は就任当初から、長身のポストプレーヤーとポストも出来るスピード系FWの2トップにこだわっていたように感じました。
 くさびのパスをあてる先を2つに増やすことで、よりポストからの展開を確実にする狙いがあったのだと思います。
 これによってポスト時の長身のポストプレーヤーへの負担も、軽くなった印象があります。
 ですから、この2人に限らず谷澤や孝太あたりとスピード系FWを組み合わせる2トップもできなくはないのかな?と思っていました。
 ネットはフリーになればシュートまで持っていける選手ですが、ゴールに背を向けてのポストプレーはあまり得意ではないので、全体のバランスによっては解雇もありえるのかなと…。
 しかし、契約も残っていたのかもしれませんし、この大規模な獲得ラッシュを見るとそんな感じではないのかなと(笑)
 予想以上に大きなグループで戦うつもりのようですからね。
 それによって選択肢は増えるでしょうが、監督が迷わなければいいのですが。


ポストプレーも可能なセカンドトップ:谷澤?、孝太?
 昨年終盤は、このポジションで新居が第一候補まで成長するも契約満了。
 現在の候補はそれまで起用されていた谷澤、岡山から復帰の孝太あたりでしょうか。
 金沢もポストプレーなど細かな動きに関してはまだまだですし、林や深井にポストを期待するのは違うと思います。
 だから昨年はわざわざ谷澤をここで起用して、深井をSHで使っていたのでしょうし。
 しかし、谷澤はSHとしても貴重な戦力ですし孝太は新体制ではまだ未知数ですから、戦い方が同じなら誰をレギュラー候補として考えているのか悩んでしまうところです。


パサー系のサイドハーフ:谷澤、工藤、米倉
 江尻監督になって1トップから2トップにしその分中盤の人数が減ったことで、最終的に行き付いたシステムがSHの二人に中盤の仕事もできる選手を置く形でした。
 1トップにしてトップ下に選手を置くとボランチからFWの間に選手が入ってしまって、理想とする「ボランチから縦パス→FWがポストプレー」という展開の邪魔になってしまいます。
 あえてトップ下の位置をあえて空けておくことで、そこに上下左右から選手が入ってきて、有効にスペースを使うイメージだったのではないでしょうか(だからポストプレーの出来るSTが必要で巻とネットの2トップでも違ったのでしょう)。
 だから、4-4-2にこだわったのだと思いますし、昨年のサッカーを見る限りこれから4-5-1にするのはなかなか考えにくいかなと(大きく選手構成が変わったので可能性はなくないでしょうが)。
 そう考えると、パサータイプのSHは昨年のサッカーをレベルアップするためには貴重な存在だと思うのですが、今のところ補強はなし。
 セカンドボランチの人数が増えたことで工藤を上げることは思いますが、昨年の戦術を継続するなら人数が不足していると思いますし、ここにスペシャルな司令塔タイプの選手を補強できれば攻撃の最後の部分で期待できると思ったのですが…。


ファーストボランチ:中後
 山口慶あたりをこちらに入れるかどうかは悩むところ。
 相方次第では可能だと思うのだけれど、中後不在だと工藤と勇人、倉田あたり…。
 サイズ的にちょっと厳しいんじゃなかろうかと。
 ミリガンもここで使える選手なのだろうけど、DFラインは固定したいところ。
 昨年は中後が不在でも下村がいたわけですが、中後が不在の場合どう対処するつもりなのでしょう。
(そういえば、鳥栖退団の決まったホベルトは…?いや、でも外国人選手をバックアップには出来ないのか…。)


セカンドボランチ:工藤、勇人、山口慶、倉田
 ここは個人的には楽しみなポジションです。
 補強によって工藤をSHにして山口や勇人をボランチに、ということもできるようになりました。
 しかし、昨シーズン終盤は工藤がボランチの位置からかなり効果的な動きを見せていたと思うので、それを考えると工藤のSH起用はもったいないような気もします。
 工藤はボランチの位置から正確に縦にパスを出せる能力もあるわけですし、ボランチのパスセンスというのは江尻監督のサッカーにおいてきわめて重要なポイントなはずですから。


サイドバック:アレックス、良太、坂本、鎌田?、渡邊?
 基本はアレックスがレギュラー第一候補だと思います。
 自分の中ではSHというイメージが強い渡邊もDF登録ということを考えれば、アレックスのバックアップということなのでしょうか。
 確かに攻撃的なSBは他にいませんでした。
 ただ、昨年から下村が不在だとボランチに守備に課題が出てしまって、SBへの守備の負担が強くなっていました。 
 補強では中盤の守備に関して大きなプラスになっていないと思いますし、渡邊も守備面では期待できない選手なのでどうなのかなぁと。


サイドバック:坂本、和田、良太?、鎌田?
 個人的にはサイドアタックの活性化を狙うのであれば、SBの補強が重要ではないかと思っていました。
 中盤4人とFWでためる形はある程度できたのだから、あとはSBが効果的に攻撃に絡める形が作れれば…と。
 アレックスは中に絞りすぎる傾向にあるし、坂本も以前ほど思い切りのいい攻撃参加はできていない状況です。
 しかし、補強はレンタルの鎌田のみ。
 将来性を期待しての獲得なのではないかと思うのですが。


センターバック:ミリガン、福元、池田、茶野
 パスサッカーを目指していた江尻監督ですが、相手の前からのプレスが厳しいと中盤にパスを入れられなくなり、オロオロしてしまう傾向にありました。
 ミリガンはボランチで周りも活かせるテクニカルな選手のようですし、江尻監督のサッカーにおいてはぴったりのCBなのかもしれません。
 それに加えて、攻守において中盤から前を助けられるようにDFラインの上げ下げを統率できるような選手なら、なお期待は高まりますね。
 もう1人は成長を期待して福元。
 ミリガンが代表に選出される可能性もあるため、池田、茶野の奮起にも期待したいところです。
 良太、益山あたりはここの可能性も?


ゴールキーパー:岡本、櫛野
 このポジションは不動。
 岡本は経験も増してきたし、逆にいなくなると心配かなと。
 櫛野はメンタル面でチームを引っ張っていってほしいと思います。
 2人ともそれぞれに良さと課題があると思うので、刺激しあって成長してほしいところです。


オプション
スーパーサブ(FW):深井、林、金沢?
 昨シーズン終盤のFC東京戦、大分戦などで深井が途中から出場し、可能性を感じるプレーを見せてくれました。
 試合終盤になり相手が疲れてくればスペースも出てきてスピード系のFWがより活きてきますし、ポスト×2人に拘ることもなくなると思います。
 そういう意味で、深井、林のような選手がチームにいるのは心強いかもしれません。
 ただ、2人も同タイプのジョーカーが必要なのかと考えると…。
 深井や林とはタイプが違いますが、金沢もスーパーサブで期待したいところです(ただ、ベンチ枠に入れるかどうかが心配ですが)。


サイドアタッカー:太田、深井、村井、渡邊?、林?
 江尻監督が就任した直後は深井をサイドライン際においてアップダウンさせるなど、サイドアタッカーを起用する意欲を感じました。
 しかし、そうすると中盤の人数が足りずパスがつなげなくなり、パスサッカーを目指すチームとしては本末転倒な状況に(結果、中後を使っても良さを活かしきれず、守備面等での悪さばかり目立っていました)。
 だから、SHにはパサータイプを置くようになったと思うのですが、今オフ補強したのはこちらのタイプでした。
 確かにシーズン終盤はパスはつなげるようになったけれど、そこから相手を崩す部分は課題でした。
 とはいえ、就任当初のサイドアタッカーを起用していた頃も、相手が崩せなかったのは同じこと。
 サイドアタッカーを置いたからといって、単純にサイドを攻略できていたわけではなかったわけです。
 だから私はよりラストパスの精度が高いパサータイプと、SBの補強を期待していたのですが…。
(無論、サイドアタッカーを置くとパスサッカーができなくなる…と一概に言うつもりはありません。ただ少なくとも昨年のジェフではそれができなかったということ。そして今年も結局レギュラーメンバーは大きくは変わらないでしょうから…。)
(もしかしたら江尻監督が買っている中後を活かすためには、SHが中盤をフォローして中央でタメる形しかないのかもしれませんね。前所属チームを思い起こしてみても。)


 個人的には多くの選手は獲得したものの、スッキリとしない補強動向だったといった感想です。
 復帰組が多いことに関してもいろんなことを考えてしまうし、全体のバランスも悪く、放出してしまった下村と新居の穴も結局埋まらなかったように見えます。
 村井、林、渡邊などは例えばミラー監督のサッカーにはぴったり合う選手だと思うのですが、江尻監督のサッカーには合うのかどうか…。
 江尻監督はシーズン中にバトンを渡されたため、選手構成がミラー監督シフトになったままでした。
 今オフはそれを江尻サッカーに“正常化”する大きなチャンスだと思っていたのですが…。
 決定的な補強といえるのもミリガン…くらいですしね(最もまだ決まってはいませんが)。
 勇人も期待したいのですが、山口や場合によっては工藤とも被ることになりますし、能力はあっても効果的な補強だったかというと…。


 前向きに受け取るとすれば、サイドアタッカーを補強したことによって、よりチームの可能性を高めることが出来たということでしょうか。
 戦力の幅は広がったのかもしれません。
 ただ、それによってチームの方向性の軸がぶれるようなことだけは、避けなければいけないと思います。