ジェフが村井に獲得のオファー?


今季限りで磐田を退団する元日本代表MF村井慎二(30)が、千葉から正式オファーが届き、前向きに検討していることを明かした。17日の練習後「千葉から熱心に誘っていただいている。感謝している」と話した。
(中略)
千葉は来季から初めてJ2で戦うが、現役時代に一緒にプレーし「人間的にも尊敬している」という江尻監督が引き続き指揮を執ることも魅力。「自分の人生にとって大事な時期なので、慎重に進めたい」と結論には至っていないが、古巣へ戻ることを選択肢の1つに入れていることは確かだ。(スポニチ
 …え?
 村井が帰って来る来ない以前の問題なんだけど、補強ポイントはそこ?


 「工藤流出の可能性が出てきたから勇人と交渉している」という話しなら、感情的にはともかく理論的にはまだわかります。
 いや、「下村を放出しておいて勇人を獲得」ともなるのだから、理論的にもよくわからないのだけど。 



 けど、村井ですか?
 ミラー監督の頃ならまだ理解できたとは思います。
 SHにはサイドアタッカーを置いて、ぐいぐいドリブルさせるサッカーでしたからね。


 けれど、江尻監督体制になってからは細かいパスワークを重視したサッカー。
 サイドハーフにもドリブルではなくビルドアップの能力を求めるようになってきましたし、だからこそ降格が決まって江尻監督がより“自分の色”を出し始めたシーズン終盤は、ショートパスをつなげる米倉と谷澤をSHに固定したのでしょう。


 だから、正直、太田の残留も驚きでした。
 太田自身は好きな選手ですが、江尻監督のサッカーには合わない部分があると思います。
 オプションでドリブラーを起用するにしても、現段階で考えると第一候補は深井となるんじゃないでしょうか。
 深井はドリブルだけでなく決定力も期待でき、途中起用などで使いやすい選手でしょう。
 J2のベンチ枠は5枠で深井もスーパーサブとなるのなら、太田はかなり厳しい状況になるはずです。
 太田くらいの実績も実力もある選手なら放出しても他チームが見つかるのではないかと思っていましたし、本人のためにも契約を解除してあげた方が良いのではないか…とすら思ったのですが。
 契約の問題もあるのかもしれませんけど。



 …で、その太田や深井のいる上で、村井も獲得ですか。
 確かに村井のクロスの精度は2人よりも期待できるでしょう。


 好意的に受け止めるとすれば、チームとしてボランチから縦にくさびのパスは通る形は作れるようになりました。
(もっとも、その動きも工藤がいなくなれば作り直しとなるかもしれませんが。)
 しかし、そこから先の展開は作れていないので、そこで村井なのでしょうか?


 江尻監督は「ボランチでためてサイドに展開」を理想としているわけで、SHに攻撃で変化を作れる選手を1人入れてビルドアップはその他の選手が頑張り、そのSHにはチャンスメイクを専念させる。
 あるいは、SHがサイドからのチャンスメイクとビルドアップの両面を頑張る。
 そういった形が理想なのかもしれませんし、村井にそのあたりを期待している可能性はあるのかもしれません。


 …けれど、村井がそこまでスペシャルな選手かというとどうなのかなぁと思います(周りを犠牲にするほどのチャンスメーカーでもないと思うし、ビルドアップとチャンスメイク両面を期待できるわけでもないと思うし)。
 そういう意味で私はスペシャルな質の高いエキストラキッカー(というかチャンスメーカーというか)が補強ポイントではないかと思ったのですが。
 イメージ的にはクルプニのようなビルドアップも出来て、ラストパスも出せるような選手かなぁと(まぁラストパスの質はもう少し頑張ってほしかったんですけどね)。



 加えて、村井は年齢的に見てもこれからの伸びが期待できるような選手でもないでしょう。
 具体的な話しとして、米倉の出場機会を減らしてでも起用するほどのメリットのある選手なのかどうか。
 かといってベテランではありますが、メンタル的に若手を引っ張れるような性格でもない。
 一度はジェフを出ていった身なのですから、そういった意味でも逆風も考えられるわけで、それに耐えられるのかどうかも心配です。
(だから記事中にもあるように、悩んでいるんじゃないでしょうか。)


 それにもしドリブラー枠で村井を獲得すれば、深井や太田がますます厳しい状況になってしまう。
 村井を獲得するのであればそのあたりを整理した上で行わなければ、今いる選手に対して失礼なんじゃないでしょうか。
 そういった立場の選手が増えるとなると、チーム全体の雰囲気も心配です。



 理論的な話しは以上で、感情面ですけど正直言って抵抗があります。
 07-08年オフに出て行った選手達に関しては監督やGMの解任などクラブにも様々な問題があり、選手が移籍しても仕方がないと思える部分もありましたが(とはいえ完全に納得したわけではないですけど)、村井のケースはどうなのか…。
 水面下では他にも理由があったのかもしれませんが、本人は「昔から磐田にあこがれていたから」という理由で移籍したはずで、「出ていかざるを得なかった」というより「自発的に出て行った」んだと思います。


 そういう意味では納得しがたい移籍ケースだったと思うし、当時から知っているものとしては少なくとも笑顔で迎えるのは難しいと思います。



 …とはいえ、J2に降格してしまったのですから、選手の選りすぐりは出来ない状況なのも確かです。
(これは今期の残留争い中にあった菊地への思いも、近いものがありました。)
 ただ、本当に今のジェフに村井のようなタイプの選手が必要なのかどうか。
 あえてプロフィールは見ずに村井というサッカープレーヤーとして見たとしても、どうしても必要な選手なのか。


 私はそのあたりに疑問を感じますし、「ただ良い選手だから獲ればいい」というわけでもありません。
 村井のドリブルからのクロスというのは魅力があるのも確かですが、それがチームに合わなければ何の意味もありません。
(正直、太田の起用法も疑問でした。サイドアタッカーなのに練習試合でも江尻監督はかなり中に絞らせていました。中盤を厚くさせるためだったのかもしれませんが、本人は活きてこなかった。村井も基本はサイドライン際で活きるタイプですから…。)
 J2に降格し資金面でも今まで通りとはいかないはずですから、今まで以上にチームに「本当に必要な戦力なのかどうか」をしっかりと見極めた選手評価(補強だけでなく放出も含めて)が必要になってくるはずです。



 しかし、選手流出のニュースより選手獲得のニュースの方がショックを受けるオフシーズンってのも、珍しいですよね(笑)




 …ってか、水野はいいの?
 先月初旬から向うで「冬に放出なんじゃないか」って話しがちらほら出てるけど、放っておいていいの?(笑)
 そりゃJ2のクラブにはあまり来たくないかもしれないけれど、変な所に行ったら本当に帰ってこれなくなっちゃうかもしれませんよ。