褒められ過ぎるのも怖いのです


とにかく、この試合でのジェフ千葉は、ホントに素晴らしく感動的な「闘い」を魅せてくれた。
その絶対的なベースは、もちろん、守備。積極的で忠実なチェイス(相手ボールホルダーへの寄せ)&チェック・・厳しく忠実なマーキング・・リスクを恐れないボール奪取勝負チャレンジ・・長い距離の全力ダッシュで集散を繰り返す『組織プレッシング』・・そして、忠実な守備がうまく機能しているからこその、クレバーで美しいインターセプト・・等々。そんな守備バックボーンがあるからこそ、次の攻撃でのダイナミズム(力強さ)も格段にアップするというわけです。
たしかに、江尻篤彦監督が言うように、相手守備を中央ゾーンへ集中させるようにボールを動かし、そこからサイドへ展開して決定的なクロスを狙う(キーポイントは、左サイドバックのアレックスのオーバーラップ!)・・という彼らのチーム戦術的な意図がうまく機能した側面もあったでしょ。でも、その「イメージ」を現実のモノにするのは人間なんだからね。(湯浅健二氏
 褒められるのはすごくうれしいのですが、あまりに褒められすぎるのも逆に怖いですね(笑)
 反町監督が甲府戦後に話していたのと同じ理由で、周りが褒めすぎるとどこか温くなってしまう可能性もあるんじゃないかと思います。
 湘南のように今後大事な試合が残されているわけではありませんが、ジェフは昨年の残留劇から気が緩んでオフの動向に失敗してしまったんだと思いますし、オフというのはチームにとって非常に重要な時期ですから、気持ちを緩めすぎることはないようにしたいですね。


 ここ数年のジェフは周りの盛り上りもあって勢いに乗るときは一気に乗ることが出来て、それはかけがえのないものだとも思うのだけれど、一方で一度調子に乗り過ぎてしまうと誰もそれを堰き止められない状況にあると思います。
 例えばオシム監督などがいれば、ビシッと「たかが一勝。この一勝のために何試合無駄にしてきたと思ってるんだ」くらいのことを言ってチームをひきしめてくれるのだと思うのですが、そういった人物がなかなかいない。
 もちろん4ヵ月半ぶりの勝利なんだから喜ぶのは当然なのかもしれないけれど、その一方でしっかりと次への反省もしていかなければいけないんじゃないでしょうか。



 試合を分析するということは相手がいることも考慮しなければいけないわけで(これもオシム監督が良く言っていたことですね)、今のFC東京さんはあまり調子が良くないわけですからね。
 例えば今期の鹿島だって苦戦した時期があったし、予算の少ない山形がシーズン序盤に素晴らしい活躍をしたように、そのチームの状況によって大きく展開が変わってしまうのがJリーグですから。
 それがこのリーグの良さでもあるとは思うのですが、一昨日の試合もそのあたりを差し引いて考えないといけないんじゃないかと思います。


 実際、湯浅氏は守備に関して褒めてくれているけれど(まぁそれが湯浅氏の“ベース”なのでしょうからね)、本当のところは相手の危険なプレーというのはほとんどなくて、唯一危険なプレーが出来ていた前半中盤の時間帯はむしろジェフの守備の緩さが目立っていました。
 中盤の守備もそうでしたけど、坂本あたりも本来の売りである守備時の粘り強さを感じないところがあったとも思います。
 全体的な1対1での“粘り不足”はこの試合に始まったことではないですし、来季以降大丈夫かな…と思って見ていました。
 一方で攻撃面に関しては、非常にいい動きが出来ていたと思いますけどね。 
 特に湯浅氏も指摘しているアレックスなどの攻撃参加は、とても面白かったですし。



 しかし、この試合が最終節でなくてよかったのかなぁと。
 もしこれが最終節だったらまた勘違いしたまま終わっていたかもしれなかったわけですけど、幸いにも絶好調の大分と優勝を決める試合になるかもしれないG大阪が控えています。
 この2試合でFC東京戦のような試合をして勝つことができれば自信を持っていいのだろうし、逆にそうでなければ来年への戒めとしてしっかりとジェフの将来に活かしていきたいところではないかと思います。