南アフリカ戦はスコアレスドロー

 急遽、月曜までに仕上げなくてはいけない仕事が入って、すっかり日本代表戦のことを忘れてしまってましたが、何とか試合に間に合いました…(笑)
 香港戦のテレビ放送もBSでしか行われず今のところ見られない予定になっているので、せめて南アフリカ戦はチェックしておきたかったので、ぎりぎり間に合ってよかったです。

  

 W杯開催地でもある南アフリカ戦での試合。
 サポーターもかなり集まっていたように見えたしスタンドは盛り上がっているようでしたが、試合の方は全体的に見るとスローペースだったかなぁといった感想です。


 日本はボールを持つ時間こそ長かったですけど、ボールの動きは遅め。
 1つは普段は俊輔が入る右サイドで起用された本田がタメを作れなかったこと。
 まぁ、もともとそういったタイプではないのかもしれませんけど、岡田監督としてはそういった仕事が出来るかどうか試したかったのかなぁと。
 もう1つは相手が中盤の守備で中央を固めていたこと。
 その分、日本のサイドバックの位置が開いていたのですが、そこを有効に使ったビルドアップは出来ていませんでした。
 岡田監督になってからボランチがビルドアップの鍵を握る傾向の強いチームになっていますから、SBからのビルドアップに慣れていなかったのかもしれません。
 もちろん戦術ではなく選手の問題もあるかもしれませんが。
 そして、稲本を1ボランチにして遠藤、長谷部を1つ前にした新たな布陣によって、ボランチのところでボールを散らせなくなったこと。
 その分、遠藤、長谷部が中盤の守備を掻い潜ってフリーでボールを持つとビックチャンスになっていましたけど、相手も日本の中盤はかなり警戒していて実際の回数は少なかったし、これをするためにはもっとDFラインからビルドアップが出来るようにならないと難しいのかなぁと。
 このあたりが前半停滞した要素だったのではないかと思います。


 対する南アフリカも意外とフィジカル重視のサッカーではなく、ショートパスを足元でつなぐサッカーをしてきて、そういったサッカーに慣れている日本にとっては守りやすかったのかもしれませんね。
 南アフリカの監督がブラジル人のパレイラ氏であることが大きく影響しているのかなとも思うのですが、もっとシンプルに裏を狙われたりした方が怖かったように思います。
(逆に言えば日本にとっては、そちらの方がW杯に向けた良いテスト機会になったような気もします。)
 もちろん簡単に裏を狙われなかった要因には、日本の守備が組織的に守れていたという部分もあったと思いますが。
 しかし、ちょっと気になったのは、1ボランチの脇が空き気味になること。
 以前から遠藤と長谷部の2ボランチでも2人が前のめりになりすぎて、バイタルエリアが空いてしまうことが多いチームだと思っていたので、岡田監督はあまりそこまでそのあたりを気にしていないのかもしれませんが(実際、空いた後でも日本人の特徴である早いアプローチで防いでいることが多いですけど)、W杯本番で世界レベルのチームと戦うとバイタルエリアから強烈なミドルを持ってる選手とあたることもあると思いますし、個人的には気になるんですけどね…。



 後半開始からは選手達が新しい布陣に慣れてきたのか、ハーフタイムで岡田監督から喝を入れられたのか、ボランチの3人の動きが活性化してきました。
 足元だけでなくスペースで貰う動きが増えて、中央に動きが出来た分全体的な流れも良くなっていきました。
 しかし、その中で本田だけは少し周りの動きに遅れ気味だったのかなと思います。
 ボールを受ける動きが乏しく、このあたりが岡田監督からの信頼を勝ち得ていない原因なのかなぁと。


 ようやく動き出してきた感じだったのでもう少しこのシステムを見てみたかったのですが、後半10分頃に稲本、本田を代え俊輔、松井を起用し4-4-2に。
 遠藤、長谷部が少し下がることで高い位置でビルドアップの起点が作れることになり、落ち着いたパス回しが出来るようになりました。
 加えて右サイドで俊輔がタメを作ることによって、内田が積極的に上がっていくようになりましたね。
 これによって少しずつ相手の守備も全体的に広がっていきました。


 しかし、サイドを起点にしながらPA内にボールを出す機会は増えていったけれど、相手DFのフィジカルも強く、最後のところで潰されてしまうことが多かったと思います。
 CKからの惜しいシーンもありましたけど、アジア予選を突破しW杯本番に向けた強化試合を行い始めてからは、なかなかセットプレーからの得点も生まれていません。
 中盤に大柄な選手はいませんし、やはりFWに1人は高い選手を置くべきじゃないかと私は思うのですが…。 
 あるいは、流れの中からバイタルエリアを攻略するにしても、マークの厳しいところで踏ん張れるポストプレーヤーが1人いるとまた攻撃の流れが違ったように思います。



 こういった拮抗した試合でどうやって点を取るのか。
 現在の日本代表の場合、丁寧にパスをつなぎ組織的に守る戦術ですから狙い通りの展開が作れているとは思うのですが、その結果どうしても拮抗した形になりなかなか得点が生まれない展開が増えていると思います。
 そうなるとやはりどういった形でもいいから、世界でも通じる得点パターンを1つ作りたいところですね。
 

 1ボランチシステムもサッカーとしては非常に面白かったのですけど、今それ以上に日本代表にとって大切なのは中盤の後ろの方のシステムをいじることよりそこから先の得点パターンを作ることではないかと思います。
 そういった意味では、この試合でのテストを今このタイミングでやる意味があったのかなぁと悩むところです。
 W杯まで時間があるのならばともかく、実働時間や試合数は限られているわけですし。
 月並みですけど今後の日本代表への注目ポイントは、やはりそのあたりなのかなと思います。