佐藤琢磨の現状と今後について

 先週金曜日の夕方のNHK佐藤琢磨が出演。
 「ゆうどきネットワーク」という普通の情報番組で、日本GPとの兼ね合いでもない状況での出演ということで、改めて琢磨の人気というか全国区レベルでの知名度の高さを感じました。


 SRS-Fのメカニックなども出演していて面白い番組ではあったのですけど、男性アナウンサーが「来季はぜひF1で!」と執拗に話しかけていたのは見ていて辛かったですね…。
 アナウンサーに悪気があるわけではなく、一言「頑張ります!」というような勢いのあるコメントがほしかったのでしょうけど、そう簡単ではないということはこの1年半でファンも痛いほど感じてきましたしね。
 もちろん一番つらいのは本人だと思いますけど。



 琢磨って、なんだかんだで難しい役回りになってしまったのかもしれないですね。
 サッカーでいえばヒデや俊輔を評価する時「いやジダンの方がうまいし」とか「メッシの方がいいし」っていうな極端な例で比べらてしまう場合も多いし(もちろん世界舞台に立つというのはそういうことなのだけど)、一方で国内で育ってないからそちらサイドからのサポートもない。
 結局冷静に見られることは少なく、アンチとタクママニア的な層で大きく2分化されてしまってるんじゃないかなぁと。


 現在の小林可夢偉への期待感だとか温かい声援のようなものを感じると、改めてそう思います。
 もちろん可夢偉だっていつまでも“期待の若手”ではないわけですから、結果が出なければ厳しい意見もどんどんでてくるのでしょうけどね。
(その前に来季どこで走っているかもまだわからないけれど。)



 個人的にはBARでの最終年はやっぱり残念だったけれど、過去の経歴などを改めて見返すとやはり琢磨ほどのドライバーというのはもう今後日本人では現れないかもしれないと思ってしまいます。
 イギリスF3を史上最多優勝でシーズンチャンピオンに輝いただけでなく(レース数が多かったという指摘があるがそれでも立派な結果であることは変わりない)、F3のオールスターであるマールボロマスターズ、マカオGPも共に制覇。


 ホンダはF1からいなくなり若手ホンダ系ドライバーのF1へのルートは立たれてしまったし、トヨタTDPを頑張ってきたけれど本業の問題もあって今後はそこまで力を入れないかもしれません。
 そういう意味で、TDPのエースと言われトヨタがF1参戦を決めて育成に気合を入れていた頃にサポートを受け始めた可夢偉の今後は、非常に重要になってくるのかもしれませんね。
 しかし、その可夢偉でも世界のトップドライバーと対等に渡り歩けるほどの素晴らしい成果を引っ提げてF1に参戦してきた琢磨と比べてしまうと、期待感という点では差が出てしまいます。
 もちろん可夢偉に期待していないというわけではないのですけど。



 様々なこれまでの経緯や背景を考えると、やはり琢磨にはもう1度レベルの高いカテゴリに参戦してほしいと思います。
 そして、ファンを喜ばせアンチな方々も納得させてみてほしい。
 それがF1じゃなくとも、レベルが高いカテゴリならインディでもNASCARなどでもいいんじゃないかと思います。
 結局、琢磨がレベルの高いカテゴリでどこまでやれるのかというのは、多くの人が白黒つけて欲しいところでもあると思いますしね。
 BARでは苦しみもしましたが、スーパーアグリでの活躍は決して幻ではないはずですから。