ジェフとはいったい何なのか

 ジェフがジェフでありさえすればJ2に落ちようとも、つまらないサッカーをしようとも構わないという意見と、現在の状況にさすがに落胆し失望しジェフへの熱も冷めつつあるという意見と。
 多くの思いや悩みが混同する状況で、リーグ戦が進んでいっているのかなぁと思います。
 その思いを一度置いておいてリーグに集中することはベストなのでしょうけど、人間の心と言うのはそう簡単に整理できるものでもないとも思います。


 この話の行きつく先は、「ジェフとはいったい何なのか」というところではないでしょうか。


 どうあってもジェフはなくならない。
 それは事実なのかもしれないけれど、「ジェフがジェフである限り応援を続ける」というのは理想論であって、「ジェフというクラブに何を求めるのか」、「ジェフとはいったい何なのか」というところが白黒ついていない限り、そんな話しは残念ながら詭弁にしかすぎないのではないかと思います。




 例えばとして、私は日韓W杯までの日本代表には大きな期待を寄せていたし、実際にスタジアムに観戦にも行ったりしていました。
 しかし、ジーコ監督が就任したころからチームの方向性が不明瞭になってしまって、一気に日本代表への思いは冷めていきます。


 結局ジーコ監督時代の日本代表は、自分の中で求めていた日本代表ではなくなっていたのでしょう。
 名前こそ『日本代表』というバッジは付いているけど、少なくとも私の求める日本代表とは大きくかけ離れた中身になっていた…。
 巻が代表に選ばれたことによって最後は真剣に試合を見ていましたけど、それも巻を応援していたのであって心の底から代表チームを応援していたのではなかったわけです。



 そういった例を作らないためにも、しっかりとジェフとは何なのか、クラブの方向性を明確にし、クラブの強みや魅力を作ることが重要なはずなのです。
 けれど、ここ数年、なかなかジェフはその形を積み上げられなかった。
 攻撃サッカーなのか、守備重視なのか、欧州路線なのか、育成型なのか…。
 はっきりとした成果が出ないことは仕方ないにしても、最終的にどういったチームを作りたいのかという目標が曖昧すぎて、クラブの進歩を感じることがほとんどありませんでした。
 


 昨年から「頑張る」という言葉がこのクラブのキーワードになっているのかもしれないけれど、一言で「頑張る」とだけ言っても雲をつかむような話しです。
 他のクラブの話しを聞いても、どこのチームだって頑張っているのは当然のこと。
 真剣に悩んでいるのも当たり前です。


 では、どこに向けて「頑張る」のか。
 そこのベクトルを統一しない限り、せっかくの「頑張り」も分散して意味がなくなってしまう。
 積み重ねも作れなくなってしまう。
 だからこそ、方向性…このクラブがどうあるべきなのかという最終目標(ビジョン)を明確にしなければいけなかったのです。 



 チームがどうあってもコアなサポーターは、付いてきてくれると思います。
 “ジェフ”が“ジェフ”であろうとなかろうと、『ジェフ』という名前さえあれば、どこまでも追いかけてきてくれる…。
 それはクラブにとってとても素晴らしいことだし、大切にしなければいけないのだと思います。


 けれども、皆が皆そうではないし、クラブを支えているのはコアなサポーターだけというわけではありません。
 スポンサーやホームタウン、選手やスタッフ、監督など、クラブには多くの支えてくれている仲間がいる。
 今はクラブにいなくともクラブに戻ってきてくれるOBや、遠くから心配してくれる人達もいる。
 そういった人達をこれ以上悲しませないためにも、「ジェフがなくならなければ何でもいいや」ではなく、しっかりとクラブの問題点を見つめなければいけない時があるのではないでしょうか。


 そういった周りの人達を大切にすることが、クラブにも、延いてはサポーターにも、いつか何かしらのメリットが帰ってくるのではないかと思います。
 むしろどうあってもクラブに残るコアなサポーターだからこそ、「ジェフならば何でもいい」ではなく、どんなジェフを期待するのか、将来のジェフについてしっかりと考えて、今ある問題点をしっかりと直視することも重要なんじゃないでしょうか。



 ようするに、1人称でクラブを語ることが駄目だとは思わないのですが、一人称だけでクラブを語るのはちょっと危険なのではないかと思うのです。
 クラブがサポーターのものであるのは確かなのですが、サポーターだけのものではないということもまた事実ですからね。




 …あまりこういったことをいう柄ではないと思うのだけど、未来の子供たちにも“ジェフ”をつなげなければいけません。
 将来のジェフサポーター達にとって、誇れるクラブであってほしい。
 そう考えると、ただ「ジェフが存在すればいい」だけでは、いけないんじゃないのかなぁと思うのです。


 ジェフの未来を真剣に考えること。
 それがジェフと共に今を生きる人にとって、最大の使命なのかもしれません。


 補足として。
 「ジェフがあればどんなチームでもいいや」という話しは、決して最近になって聞くようになったわけではなく去年の後半あたりから少しずつ聞こえてきていたと思います。
 その背景には昨年チームが弱くてもあれだけチームが盛り上がったところにあるのでしょうけど、でも昨年の盛り上がりというのは実際のところ選手の大量流出や監督、GMの交代など普通ではありえないことが一気に起こってゼロからのスタートとなり、目標も開幕前から「J1残留」という非常に低いものになっていたというところがあって。
(もっと言えばアマル監督を解任して、オシム流の方向性から脱却しても「私は幸せなんだよ」ということを言いたかったのかもしれない。けれど本当に大切なのは誰を選ぶか、どれを選ぶかではなく、何か1つの方向性を選んで貫き通せるかであって、それを実行できていないのはやっぱり自分達の弱さなんだと思う。)
 結局再起に向けたスタートだと思えていたからこそ優しく見守ることができ、結果にも満足できていた部分があると思うのだけれど、毎年あのような状況ということになればあそこまでの満足度は得られないでしょう。


 実際今期は開幕当初は明確な目標を失って、変な緩さだけが残ってしまった。
 その結果、昨年ほどの盛り上がりだとか幸福感みたいなものはどうしても難しくなってしまった。
(それは最低限の目標であるJ1残留を逃しそうだからではなく、開幕直後からそういった傾向にあったと思う。)
 もちろん昨年の盛り上がりは後半ミラー監督になっての巻き返しというのも大きかったと思うのだけれど、結局のところそれだって結果を残せたからこそであって、「ジェフならば何でもいい」という類のものとはまた別なわけですから。



 残留争いにどういった決着がついたとしても、ジェフの目下の問題点は変わらない。
 こうやって情報が簡単に手に入る時代になって次々にニュースが飛び込んでくると、どうしても振り返って過去を反省する機会が少なくなってしまうけれど、現時点での問題点についてははっきりさせておかなければいけないのではないでしょうか。