ジェフ経営情報09その2 『経常利益』約4億円も最終赤字

 その1では主に「収入面」を見てきましたから、次に「支出」全般について取り上げてみたいと思います。


 『営業費用』の項目では、『事業費』、『人件費』がともに増えています。
 『人件費』に関しては、ここに「移籍金にかかる費用」(選手を獲得した際に発生する移籍金)が含まれると思うので、昨年の状況を考えると『人件費』が増えるのは仕方のないことだと思います。
 その分、「移籍金収入」が増えているのではないかと思いますし。


 しかし、『事業費』までもが増えてしまったのは、残念なことですね。
 それまでのジェフは他クラブより収入は少なくともコスト全体を低く抑えることで、小規模でも健全な経営を行ってきたわけですが、08年度は『事業費』、『人件費』がともにJ1平均レベルにまで増加してしまいました。
 それでもまだ大きな問題にはなっていませんが、今後に気をつけていかなければいけないのではないかと思います。




 それよりも、支出面で最も気になるのは『財政状態』内の『当期純利益』です。


 『経常利益』で4億円近くも稼いでいるのに『当期純利益』は1100万円の損失となっています。
 これがどうにも理解しがたい。
 昨年も言いましたが、いったいどういった「特別損失」が出ているのかが不明瞭です。
 

 『当期純利益』とは、その名の通りその年の最終利益であり、『経常利益』から「特別損失(利益)」を差し引きしたものです。
 「特別損失」には土地の売り買いや有価証券による損失などが含まれるのですが、一体ジェフは毎年何で「特別損失」を出しているんでしょう。




 マスコミによる報道では赤字クラブの中に入っていなかったけど、『当期純利益』で赤字となるとジェフも赤字クラブと見てもいいはずです。
 どこのデータを大事にするのかによって“赤字クラブ”の定義もまた違ってくるんでしょうが、『最終損益(当期純利益)』で赤字企業と判断する場合も多いでしょう。
 本来、『経常利益』が安定して出ていれば『当期純利益』が小さな赤字であってもさほど問題はないと評価していいのでしょうが、ジェフの場合毎年のように結構な額の「特別損失」が発生しており、「特別損失」が“特別”なものではなくなってしまっていますし、『当期純利益』で評価する必要性は高いと思います。


 なお、「特別損失」の額は05年度が約3億円、06年度が約4千万円、07年度が約3億円、08年度が約4億円となっております。 
 ジェフのような小さな企業にとっては、かなりの損失となります。



 『経常利益』がJクラブ全体のトップであったことよりも、「特別損失」の額が大きく『当期純利益』で赤字に転じていること。
 ジェフの場合は、ここに関してもっと注目すべきではないかと思います。