Jリーグ、東京VHDに条件を提示

 東京ヴェルディホールディングスに株式を譲渡された東京V。
 来季の参戦に経営的な条件が付いたそうです。



 Jリーグからすれば、条件付きは当然の判断ではないでしょうか。
 一番怖いのはシーズン途中などに破綻されること。
 他のクラブに負担がかかるのはもちろん、選手やスタッフの雇用問題にもつながってしまいます。


 明確な財源もない全くの新会社のようですから、経営面を不安視されても仕方のないところだと思います。
 今のところ、開幕戦まで持つかどうかもわからない…。
 新会社としてはかなり厳しい状況でも「大丈夫です」、「行けます」としか言えないでしょうけど、Jリーグからすればしっかりとそれを証明してもらいたい。
 だから、スポンサー料収入を確保するという明確な条件を提示したわけですね。


 正直、F1などを見ていると、海のものとも山のものとも思えない企業の名前が出てきたりしますし、一度は契約した「どこかの国の王子様」を自称したスポンサーが実はただのおっさんでスポンサーフィーは一銭も出してくれなかったなんてこともありますから、こういったケースで条件を付けるのは当たり前のことだと思います。
 もちろんこの新会社をそのような目で見ているわけではないですが、この不景気でうまくやっていけるのか心配なのは確かです。




 問題は「スポンサー料収入5億4千万円」と「11月16日まで」という数字が妥当なのかどうかでしょうね。
 後者に関しては新会社であることを考えると早すぎるという思いもしますが、一方で選手の獲得など来季の準備のことを考えるとこの頃には具体的な予算などが決まっておかないと困るのではないでしょうか。
 一番心配なのは選手と契約だけはしておいて、開幕までこぎつけられなかった場合…でしょうか。
 交渉や移籍マーケットの問題もありますし、多くの選手が働き先を失ってしまう可能性があります。
 まずは予算を決めなければ来年の計画も立てられないはずですが、Jリーグクラブの場合最低でも12月末には契約選手への通知をしなければいけないはずですしね。


 「5億4千万円」に関しては高いイメージがありますが、08年度のJ1、J2の広告収入の平均が約10億円で、J2の平均が4億3千万円ちょっと。
 もっと少なくてもいいような気もしますが、東京Vは08年度の営業費用もかなりの額になっており(何と今回発表されたデータでは人件費がJリーグ全体でトップ!)、日テレが毎年20億円もの金額を負担していたわけで、そのあたりを考慮したのかもしれません。
 それと親会社が抜けることになりますから、「いざとなったら」という時の緊急的なサポートがなくなることになります。
 だから、少し高めに設定されたのかなぁと。
(ついでに言うと、現状況のまま運営するとなれば、地方のクラブに比べて、スタジアムや練習場のコストなどが高くつくんじゃなかろうか。)


 少し条件が厳しめにも見えますがそれでも決して異常な条件ではないと思いますし、なんとかしてスポンサーを見つけてきてほしいところだと思います。
 それとともに、今回のケースは親会社に依存している他のクラブにとっても、他人事ではない重要な話しではないかと思います。
 あまりに親会社に頼っていると、「次はこうなるよ」ということですね…。
(もっとも東京VはJリーグの中でも、かなりの額を親会社に負担させていたクラブであるはずですが。)


 ただ、今回の問題は長い目で見ると、東京Vというチームが大きく変われるチャンスでもあるはずです。
 今さえ乗り切ればフィオレンティーナのように復活する可能性もあるわけで、ぜひとも頑張ってほしいと思います。
(個人的にはJリーグは読売グループがスポンサーになることを狙っているのかなぁと思わなくもないのですが…。)