今年も厳しい状況になってまいりました
この敗戦はショックがでかい…と思います。
内容が悪くなければまだ次にもつながるのですが、良いところもあまりなかった。
江尻監督効果に期待している人が多かった中での敗戦…と言うのも大きいと思います。
磐田戦で良かった部分が、消えてしまっていましたね。
■連戦による消耗
柏戦から中3日。
連戦による影響で、どうしても選手達のコンディションには問題が生じ、運動量も攻守の切り替えもいまいちでした。
しかし、それに関しては相手も同じ条件で消耗戦の中でどう対応していくかが重要なのですが、ジェフは選手層が厚いわけでもないし燃費の良い戦い方が出来るような余裕もないという現実があります。
また、同じく連戦による影響を受けてしまったのが、フクアリのピッチ。
柏戦でもすでにボロボロの状態だったのですが、フクアリでの連戦になってしまったことでますます状態は酷くなってしまったようです。
夏に芝の状況が良くないのは毎年のことですから、もう少し管理の方を頑張ってほしいところですね。
フクアリの形状にも問題もあるのかもしれませんが…。
■ジェフは3ボランチ気味に
さて、試合。
序盤こそジェフにも勢いがあって谷澤が前を向いてボールを持てた時は良い形が作れていたのですが、徐々に流れは名古屋ペースに。
名古屋はこの試合、3-5-2のフォーメーションでした。
ケネディと玉田を2トップにしてトップ下にブルザノビッチ、小川、三都主を両サイドに置き、どんどんクロス上げてくる戦法でした。
それに対してジェフは、左MFをボランチに入れる変則的なトリプルボランチにする形で対応していきました。
(前節までのアレックスがダブルボランチをフォローするような2プラス1の関係ではなく、明確に3人の選手が中に入って3人で等間隔に中央のバランスを取ろうという形だったと思います。)
相手の中盤の中央が3枚だから。それに合わせた形なのでしょうが、これによって相手右サイドの小川と左SBの青木良太が簡単に一対一になってしまいます。
小川にはキック力があり、鋭く巻いたボールを蹴ることができる選手。
それによって相手を完全に抜き切らなくても、一対一で前を向ければゴール前に質の高いクロスを上げられることができます。
名古屋の3-5-2に対してジェフが左SHを置かない変則的な4-3-3ですから、小川は楽に前を向ける状態に。
良太が最終ラインにいてFWの動きも気にしながら守っているのに対し、小川はピッチの中央あたりから少し遅れて上がってくるわけですから、その間にスペースができ前を向いた状況で攻撃に参加できることになるということです。
失点はその形から。
ジェフのトリプルボランチが前掛かりになっていた時に中盤でボールを奪われ、ハーフカウンターの形になってしまいます。
ケネディがポストに入ってボールを受けると、サイドを上がってきた小川に叩きます。
カウンター気味だったので、近くのサイドにいたケネディとブルザノビッチを警戒していた良太は中央寄りに。
しかし、トリプルボランチで良太のサイドは1人ですから、上がってきた小川も見なければならないため、寄せに行きますが間に合わず、小川にクロスを上げられて失点…と。
クロスと得点のシーンだけ見ると良太の寄せの遅れが気になるところなのですが、同サイドはケネディ、ボルザノビッチ、上がってきた小川に対して左SBの良太と左CBの池田で対応していたたため数的不利になっており、守り切るのは厳しい状況でした。
クロスの先の動きも池田は始めブルザノビッチを見ていたのですが、その後方からケネディがボルザノビッチを追い越しゴール前に入ってきたため、ケネディへの対応が遅れてしまった形でした。
前半26分の失点でした。
■相変わらずの長いパス
その後も基本的には名古屋ペース。
名古屋の流れから抜け出せない大きなポイントとして、ジェフが簡単にボールを失い過ぎているという問題がありました。
前節からそうなのですが、パスの距離が長すぎる。
相手の陣形が整っている状態で、ハーフウェイラインあたりから前線をめがけてのパスが非常に多く、ボールをつなげていませんでした。
磐田戦後半でのバイアーノに任せた状態が、いいイメージとして残っているのでしょうか?
しかし、あの時の1得点目も中盤でポンポンっとワンタッチのパスが2,3本つながったことで谷澤がフリーで前を向けたわけですし、2得点目のバイアーノへの長いくさびのパスも相手の守備バランスがおかしく、スクリーンプレーをすべき選手が中央にいなかったからパスが通ったはずです。
磐田戦後半からロングボールが増えてきてしまって少し不安は感じていたのですが、その問題がこの試合ではっきりと形になって出てしまったのかな…と思います。
■後半序盤はよかったけれど…
後半開始からジェフは4-4-2に戻して、前へのプレスを強めていきました。
相手の中盤の3枚に対しては谷澤が少し戻る形で、左MFの工藤がどんどん前に出る形に。
これによって相手の選手は押され、ジェフの方は中盤の前目の位置に選手が増えて、選手間の距離が短くなりました。
この時間帯は、いい形が作れていたと思います。
前半のトリプルボランチ気味の4-3-3だとボランチの3枚と前の3人の距離が開きすぎる上、左サイドに選手がいないため非常に狭いエリアで戦うことになっていたのですが、4-4-2に戻したことで攻守においてバランスがとれるようになってきました。
しかし、後半22分に深井に代えて太田を投入すると、またも全体が中央寄りになる4-3-3に戻してしまいました。
これによってまた攻撃の流れが悪くなると、後半30分またジェフの左サイドをやらてしまいます。
ポストプレーからケネディが中央でタメを作ると、前半の得点シーンのように後方から上がってきた小川にパスを出され、そこへのサポートが遅れてクロスを上げられしまい、今度は玉田に決められてしまいました。
私にはちょっとトリプルボランチにこだわる理由がわかりませんでした。
確かに新加入のブルザノビッチは未知数な部分も多く不安もあり強力な2トップへのフォローもしたいところですが、名古屋の狙いは明らかに両サイドからのクロスであり中央突破ではなかったはずです。
現状ではそれしかなかったとも言え(もちろんそれでも武器があるだけ良いのですが)、最も警戒すべきは相手のサイドの2人だったのではないかと思います。
しかも、トリプルボランチにして相手のボランチをがっしり潰しにかかるのならまだしも、DFラインの前の中央部のスペースを消していただけで、前にも行っていませんでしたしね…。
守り方の狙いが、非常に中途半端だったと思います。
この失点で万事休す。
柏戦からの疲労もあるジェフには、もう一度巻き返すだけの元気は残されていませんでした。
■攻守に立て直しが必要
名古屋はこれで復活するかもしれませんね。
戦術的にうまくダビィを活用できずいまいち波に乗り切れていなかった今年の名古屋ですが、ダビィを放出して長身タイプのケネディを獲得したことで昨年のサッカーに戻った感があります。
無駄な遠回りをして戻るべきところに戻ってきたのか…と言うと、そうではないのかもしれません。
ストイコビッチ監督としては長身FWにクロスを上げる展開だけではなく、もう1段階上にチームをバージョンアップさせるためにダビィを獲得したのではないでしょうか。
けれども、それがうまくいかなかったと。
“点取り屋”を取っただけではチーム力は向上しない…ということでしょう。
今はチームを作り直して基本的なサイドからのクロスしかない状態ですが、今後連携増してくれば中央も使えてくるようになるのではないでしょうか。
ジェフからすれば名古屋がそんな状況だからこそ、もっとサイドをケアすべきだったと思います。
江尻監督が就任してからの5失点は磐田戦2失点目の益山のミス以外、全てサイドの人数の関係でやられてしまったものです。
磐田戦での1失点目は工藤がボランチの位置からサイドの守備に流れて相手ボランチをフリーにしてしまいミドルを決められてしまったものだし、3失点目は攻めて行った右SHが帰ってこず益山のところで数的不利を作られてやられてしまったものです。
某雑誌には「益山の若さが出た」と言うような書かれ方をされてしまいましたが、2対1の状態で守り切れるSBなどジェフどころか日本中探したってそうはいないはずです。
柏戦を無失点で切り抜けたのは、4×4で守備ブロックに穴を作らず粘り強く守れたからだと思います。
下手に相手に対応して自分達のやり方を変えるよりも、しっかりと自分達のやり方を守って相手を変えてしまうくらいの方が良かったんじゃないでしょうか。
実際に4-4-2にした後半の序盤などでは、相手のサイドの裏も付くことが出来て、相手を押し込むことが出来ていたんですから。
このあたり、少し若さが出てしまったのかな…と思います。
もしかしたら、サイドの守備は今後も大きな課題として残るのかもしれませんね。
まぁ、しかしもっと深刻なのは、攻撃の方なのかなぁ…と。
磐田戦の前半は、攻撃の意図がしっかりしていたと思うんですけどね。
ともかく、この敗戦でジェフは厳しい状況になってしまいました。
神戸や山形が勝利し、残留圏内との勝ち点差は6に広がってしまいました。
もちろんまだまだ試合数は残されていますけど、試合数にして2試合分の勝ち点差をつけられると厳しいですね。
何とか粘ってついていかないといけません。
また、17位の柏も浦和に大勝し勝ち点差でジェフに並びました。
こちらも嫌な感じです。
こうやって考えていくと、改めて磐田戦、柏戦で結果を残せなかったこと…というか、結果を残せなくても仕方のない状況にしてしまったことを残念に思います。
現在は落ち込んでいますが、やはり名古屋はチーム力では上位にいるべきチームだと思います。
小川、三都主のクロスなどは「久々に質の高いクロスを見た」という印象を受けましたし、ベンチにはマギヌンや阿部が控えているんですからね。
選手層だけの話しではないですけど、崩れかけたチームを選手補強で元に戻してしまった対応能力の部分も含めて、総合力で1つ上のチームだと感じます。
それに比べるとやはり今の磐田、柏はもう少し落ちるように思います。
磐田も順位は高いですけど、前半途中のイ・グノ効果で勝ち点を稼げた部分があり、総合力ではこれからのチームだと思います。
そんな2チームとの試合直前に監督を交代し、結果を出せなくても言い訳が許されてしまう状況になっていたのは、やはりマイナスだったのではないかと思います。
その2試合はしっかりと勝ち点を奪いに行く試合にしておくべきだったはずで、やはり監督交代のタイミングには疑問が残る部分があるのではないかと。
どこから新たに監督を獲得してくるのであれば、相手のタイミングと言うのもあるはずですが、今回はチーム内昇格だったわけですしね。
昨年、カンフル剤的な効果で監督交代直後に勝ててしまったことによって、フロントがそういったものを狙ってしまったんでしょうか…?
しかし、世の中そう簡単ではないですよね。
ともかく、攻守において立て直しが必要です。
出来ることなら江尻監督の意向に沿った緊急補強を…と思うのですけど、練習場の移転費用などもあるだろうから今年は厳しいのでしょうか。
そうなると、今選手達に頑張ってもらうしかない。
昨年の奇跡は緊急補強の成功もあって成し得たものであり、今年はそれが少ないとなるともしかしたら昨年以上に厳しい戦いになるかもしれません。
それでも頑張るしかない道はないわけで、最後まであきらめずに戦ってほしいと思います。