09年前半反省会 まとめ『我慢と方向性』

 ジェフの現状を考えると細かな部分の問題より、大きな枠組みに対する修正の方が重要なのではないかと思います。
 そういう意味もあって、今回の反省会では細かな話しはあまりしていません。
 細かな部分に関しては、普段から取り上げていますしね。
 ということで、課題に比べると今回は短めですが、4回目にして反省会のまとめを。


 09年前半反省会 その1『目標と現在の成績』
 09年前半反省会 その2『主な問題点』
 09年前半反省会 その3『現在の補強ポイント』

 
■我慢と方向性について
 最後に今期、気になっていたことを1つ。
 鹿島に敗れた後、「相手は長く同じサッカーをしているのだから仕方がない」というような感想を聞いたことがあります。
 

 確かに私も鹿島戦ではそこの部分での差を強く感じました。
 鹿島は1つのサッカーを続けることで、どのように戦うか・鹿島のサッカーとはなんたるかを、選手達が頭だけでなく体全体で理解しているかのようでした。
 対するジェフは昨年から大きく舵を取ったため、まだまだそういったところで未熟な部分があります。
 しかし、だからといってそういった差を「仕方がない」とまとめるのは、少し違和感があります。
 鹿島だって、努力せずに今のサッカーを続けてきたわけではないでしょう。
 苦しんだ時もあったはずだし、「サッカーを変えるべきだ」という意見も少しはあったかもしれない。
 それでも、我慢して同じサッカーを続けていたからこそ、今があるはずです。


 わかりやすいのは、ジェフがナビスコ杯2連覇を果たした06年。
 決勝の相手は鹿島でしたが、あの頃の鹿島は苦しんでいたはずです。
 それでも若い選手にシフトし、我慢して鹿島のサッカーを若い世代に植え付けていた。
 あるいは、鹿島だけでなくJ2に落ちた時の広島。
 J2に落ちても監督を変えなかったことに関しては賛否両論あるかもしれないけれど、2部に降格しても同じサッカーを我慢して続けたからこそ今の順位・今のサッカーがあるはずなのです。


 一方でジェフは我慢できなかった。
 いろいろな問題があったのは確かだけれど、我慢できずに同じサッカーを続けられなかったのは事実です。
 それに対して「仕方がない」というのはただの言い訳でしょう。
 1つの道を我慢して続けてきた者と、我慢できなかった者が戦って後者が負けたのですから、我慢できなかった自分自身に問題があるはずです。
 もっと我慢することを…チームというのはじっくり少しずつ作り上げなければいけないものなんだということを、学んでいかなければいけないんじゃないでしょうか。


 
 一方で我慢をするにしても、我慢したその先に輝かしい未来があるのか、その道が正しいのかという判断も非常に重要になってきます。
 しっかりとクラブとして“積み重ね”ができていないのであれば、いくら時間をかけて我慢をしたところで無駄になってしまう。
 だから、曖昧なヴィジョンではなく、明確な方向性が重要なのです。


 例えば、もしこのままチームがシーズン後半もよくなっていかなければ、現実問題として監督交代という話しも出てくるかもしれません。
 そういった場合、次はどういった判断基準で選ぶのか。
 守備的なサッカーを続けたいのか、ドリブル重視のカウンターサッカーで行くのか、セレクタータイプの監督なのか、西欧人監督で行くのか…。
 どこを続けて、どこを変えるのか。
 クラブとしての「ぶれない軸」をどこに置こうとしているのかを、監督をリストアップする前にはっきりと決めておかなければならないはずです


 未だに現在のジェフは方向性は明確になっていないので、どういった監督を選びたいのか、どのようなタスクを監督に与えるのかはっきりとはわかりませんが、重要なのはクラブが明確なヴィジョンを持つことです。
 ピッチ上のチームだけに限らず、(フロントだけでなく)クラブ全体が“どんなジェフ”を作ろうとしているのか。
 そこをまずは明確にしないといけません。


 そこがはっきりしない限りは、いくら我慢をしても意味はないのかもしれない。
 “積み重ね”ができなければ、例え「選手を買うクラブ」に少しずつシフトしていっても、本当の意味での良いチームにはならないんじゃないでしょうか。
 最終的には、そこが今のジェフの一番の課題といってもいいのかもしれません。
 今はその方向性をはっきりさせることが、何よりも重要なのではないかと私は思います。