良い中継と悪い中継

 2000年に行われたF1アメリカGP。
 この中継が私には衝撃的でした。
 カメラがフォーメーションラップ直前のドライバーの表情を撮るために、グーッと各ドライバーのヘルメットによっていく。
 シューマッハモントーヤの真剣な顔が映りだされる。
 視聴者もそれにつられて、スタートに向けて集中していく…。


 アメリカのスポーツ放送でよくある手法なんだそうですが、あれにはかなり痺れました。
 スポーツの見せ方を理解しているんでしょうね。
 もちろん、その演出をやったのは、その時間帯のみ。
 レースが始まれば、そんな演出を無理にしようとはしていませんでした。


 そういった、無理な演出をしようとして、毎回失敗しているのがTBSではないかと(笑)
 昨日の代表戦もやたらと試合中のリプレイが多い。
 先日の京都対ジェフ戦もTBSチャンネルで放送されたのですが、何度試合中にリプレイ画面を見せられイライラさせられたことか。
 サッカーは基本45分間、視聴者もピッチに集中し続けて観戦するスポーツだと思います。
 その間に、ピッチに集中できないモノが強制的に入ってくるというのは、非常にストレスが溜まる。
 そのあたり、考えたことがあるのかなぁ…。
 TBSに限らず、他の局も同じかもしれませんけどね。



 さて、一応試合。
 試合序盤は前の方の運動量が足りず、後方でボールを持って縦パスを出しても、そこへのフォローが少ないかなぁと感じました。


 まぁ、しかしその筆頭だった本田が先制点のきっかけとなる強力なミドルを放つんだから、わからないものですけどね。
 あのシーンも前線にいた玉田への縦パスにたいして、フォローが遅いなぁなんて思ってたら、それを遅れてきた本田がミドルシュートといった展開でしたし。
 本田はあれでいい…のかなぁ?
 でも、あれでは代表でのレギュラーは厳しいだろうなぁ…。


 しかし、山田直が入ったことで、そこからは非常に面白くなりましたね。
 オシム監督も非常に重要視していたお膳立てのうまい選手。
 自分が目立たなくても、運動量豊富に動き回ってサポートにいったり、オトリになったり。
 あの年齢でサッカーを知っている、賢い選手なんでしょうねぇ。



 とはいえ、どちらかと言えばメディアが期待するようなスーパープレイだとかゴールをウリにするような選手ではないはずなのですが、そのあたりしっかりとわかっているんですかね。
 変に周りがプレッシャーを駆け出したりしたら、心配になりますね。
 いや、でも逆に山田の出現を転機に、いい方向にメディア側が変わっていければいいのかなぁとも思うんですけどね。
 羽生や山岸もそういった選手だったはずなのですが、どうしてもオシム監督がジェフから連れてきた選手というレッテルを貼られしっかりと評価されなかったところがあると思いますが(まぁ単純に活躍できなかったということもあるでしょうが)、今回の山田は人気チーム浦和の選手でもあり何よりもまだ18歳ということで、それだけでもマスコミからすれば話題にしやすい選手なのでしょう。
 そういう意味でも、期待したいなぁと思います。
 もちろん一選手としても、とても楽しみな選手ではありますけどね。
 



 試合に関しては、そこまで見所の多い内容ではなかったかなと思います。
 確かに内容は良く完勝で次の試合に向けて盛り上げていくという意味では、いい試合だったと思います。
 しかし、相手も欧州組は呼ばなかったそうですし、こちらもベストメンバーではなかった。
 「ベストメンバーでなくてもあそこまで戦えた」という見方はある一方で、ベストメンバーとは明らかに違う部分もあったわけで、そういった意味では見所は少なかったかなと。
 メンバーが変れば当然内容も変るんだろうなぁと思いました。


 一番わかりやすかったのは日本側のSBのオーバーラップの回数の少なさ。
 両SBがどんどんオーバーラップすることがこのチームの特徴だと思っているので、そこがないと全体のサッカーも変わってくる。
 もちろんとはいえこの試合の両SBがわるかったというのではなく、むしろ私なんかはこの2人の方が落ち着いて見ていられるなぁなんて思っていたんですけどね(笑)
 でも、それによって全体のバランスは変わるはずですから、なんともいえないですね。
 私の見たかった、サイドを深くえぐってからの展開というのもあまりなかったですし。


 とはいえ、その中でもやっぱり山田はいいなぁとか、中澤は欲しいなぁとか、岡崎は頑張ってるなぁとか、個々の選手の良さは見れたので、それは良かったかなぁと思いますけどね。




 …ところで、岡田監督が強く希望したというチリ。
 確かに組織的に動く良いチームなのですが、考えて見れば日本にとっては非常に組みやすいチームなのでは?


 DFラインから細かなパスをつなごうとするから前線からのプレスも機能しやすいし(一方で相手に速い展開に対してはかなり苦労していた印象が強い)、高いラインを維持しようとするからちびっ子FWが裏を狙いやすい。
 アフリカ勢のようなすんごいスピードやフィジカルで相手をなぎ倒すようなFWもいないし、リトリートした上での堅守というのもない。


 日本のお手本のようなサッカーをしているから勉強にはなるんだろうけど、新しい発見は少ない。
 試合展開も、そんな感じだったかなぁと思います。
 日本にとっていい試合だったとは思うんですけどね。