問題は試合に出場できる若手が育っていないこと


(1)11年までにプロ契約選手の保有数を25人に、またJ2の外国籍選手はアジア枠を含めて2人に制限(2)サテライトリーグと、規約のベストメンバー条項を廃止(3)カップ戦(ナビスコ杯)を水曜開催に(4)地元や自前で育成した選手枠の導入。(1)(4)は段階的に、(2)(3)は10年からの実施を目指す。 (朝日
 朝日にルール変更の詳細が書かれています。
 他のスポーツ紙はどうしたんでしょ?って感じですが、きちんとまとめられていて素晴らしいですね。


 ベストメンバー条項の廃止に関しては、ようやくといった感じですね。
 けれど、それならあんなに会長に凄い勢いで文句をいわれたのはなんだったんだろう?と思ってしまいますけどね(笑)
 会長はこれに納得してるんでしょうか。
 サテライトリーグの廃止も、現状ではなかなか機能しているとは言い切れないから理解は出来ます。
 ただ、その代わりになる何かが必要なんじゃないでしょうか。
 カップ戦を水曜開催にしただけでは現状と大きな差はないわけで、カップ戦がそのままサテライトの変わりになるとは思えないのですが…?




 まぁ、詳細はともかくとして、このルール変更がすべて上手くいったとします(上手くいくかどうかもわからないですけどね)。
 ようするに、「ベテラン・中堅どころが出場機会を失い、若手が出場機会を得る」という状況を、ルール変更によって意図的に作り出せたとする。
 でも、それって本当にJリーグのため、日本サッカーのためになるんでしょうか?

 

 問題なのは「若手が試合に出場できないこと」ではなく、「試合に出場できるレベルの若手が育っていないこと」なんじゃないんでしょうか。



 サッカーにおいて選手の人数を減らす方向になれば、リーグの質は下がることに直結する可能性出てきます。
 それによって若手選手が出てくる可能性は増えるかもしれないけれど、結局は『選手が少ないから(あるいは試合数が多いから)仕方なく若手を出す』なんていう妥協的な考えの下で半強制的に若手を出場するようなシステムを作るというのであれば、Jリーグのレベル低下に進むんじゃないでしょうか。


 根本を見間違えていてはいけないと思います。
 公式戦(トップチーム)を用いて若手選手を育成するという考えで臨むつもりならば、「若手選手が出場し若年層のレベルが上がること」と「実力選手が解雇されJリーグ全体が下がること」は、どうしても天秤にかけざるを得ない部分が出てくるんじゃないかと。
 そのどちらを選ぶのか。
 私は何があっても後者を捨てるようなことがあっては、日本サッカーにとってよろしくないことなんじゃないかと思うのですが。




 今回の件を客観的に見ると、レイオフにしか思えない。
 もちろん再雇用なしのレイオフ
 リストラって言葉を使うと「再構築」って意味合いが強いけれど、今回の場合どちらかと言えばばっさりと人員削減を目差すって感じがします。
 

 確かに経営的に苦しいクラブもあり、なるべく費用は抑えて運営をしたい気持ちはわかります。
 そういったクラブにとっては、大歓迎なのかも知れません。
 ばっさりと選手を解雇して小規模でリーグに臨んでも、誰にも文句はいわれない。
 親会社やスポンサーにも喜ばれる。


 けれど、本来の経営というのは各々が独自の考えでコストダウンなり、収入の向上を目指していくのが筋です。
 様々な工夫を凝らして費用を下げ利益を求めていくべきもので、ルール変更によってコストを下げるというのは最終手段ではないでしょうか。
 特にサッカークラブの経営にとって、『選手』というのは非常に重要な“経営資源”の1つだと思うわけで、それをルール変更で強引に削らせるというのはいかがなものか。




 …しかし、FIFAの規約に順ずる方向でその他のルールは固められ、より『自由競争』に進む方向に強まっているのに、ここの部分だけは逆方向なんですね。
(若手選手のベンチ入りなどが決められているリーグはあるけど、契約選手数を定められているリーグなんて聞いたことがないですし。)


 Jクラブでの実績者が集まって出来た「JUMP」(J.LEAGUE Under age players Move up Project)。
 もしかして、選手育成の面でも経営の面でもクラブのフロントが信頼できないから、システム自体を作り変えてそれらを促そうとしているんでしょうか。
 でも、その規定によって逆にやりにくくなるクラブも出てくるんじゃないでしょうか。
 規定を作るということは、その分自由度が低くなるということ。
 今までその“自由”の中で独自のアイディアでやってきたクラブにとっては困る部分も出てくるんじゃないか…思うのですが、まぁコストカットはどのクラブも期待している部分があるはずだから、Jリーグ内部からのクレームはでないのかなぁと。


 そして、選手会側は移籍金排除で文句を言えないでしょうし。
 困るのは、意見を言える立場すらない解雇された選手達だけ…ってことになるのだけは、勘弁して欲しいのですが。


 ただでさえ、この不景気で多くの選手がJリーグ内での居場所を失ったんですからね。
 ジェフ関連だけでも、結城、馬場、根本(地域リーグ)、戸田(Kリーグ)…。
 「弱肉強食」もいいですけどリーグ内で潰しあってしまってはリーグの発展も望めないと私は思いますし、何よりも“選手が犠牲になる改革”になるのであれば、私は強く反対したいと思います。




 …例えば、青木良太とかは出てこなかった可能性もあるんですよね。
 G大阪で5年間ほとんど出場なし。
 6年目でジェフに来て一気に出場機会を増やしたわけだけど、25人制になればその前に解雇されていた可能性は高い。
 解雇されてもJ2やJFLにいけば出場機会は増えた可能性はあるけど、そこからJ1に復帰するのって1人昇格のケースは増えているけど、実際にはそこまで簡単ではないし。
 選手にとっては、下位リーグでプレーするより上位リーグの方が当然望ましいはずですしね。
 それに、G大阪での長い下積み生活があったからこそ、ジェフで活躍できたのかもしれない。
 でも、そういったケースはもうなくなるかもしれないんですよねぇ。