なんとか凌いでホーム初勝利!

 ようやくホーム初勝利。
 ここまで長かったですねぇ。
 ただ、何を達成したわけでもない。
 たかが初勝利なわけですから、ここからですね。
 されど勝ちは勝ち。
 少なくとも開幕の頃に比べれば内容はよくなってきているわけですから、ここから積み上げていきたいですね。


■広島らしい先制点
 先制したのは広島。
 前半11分、右サイドで3人4人と選手が絡みボールをキープ。
 サイドでタメを作ると、中央の森崎和がフリーになる。 
 そして、森崎が大きく左にサイドチェンジし、服部へ。
 服部がボールを持つと、槇野がオーバラップします。


 まず、ここまでの形が非常に綺麗でした。
 チーム全体で右でためて森崎の前を空け(トップ下のアレックスは釣られて右サイドに行っていた)、更に薄くなった左サイドにサイドチェンジし、そこを槇野がオーバーラップ。
 この後すぐにクロスを上げることは出来ませんでしたけど、チームとして狙っていた形どおりの展開でしょう。
 前半はこんな形で何度もボランチがフリーにさせられたり、逆サイドに振られたりと、広島がボールを持った際は、そのパスワークに振り回されていました。


 その後の攻撃は一度森崎にボールを戻すと、中で寿人がボールを貰う動きをし、ボールを受けた寿人が柏木に落とすと、柏木が高萩にラストパス。
 落ち着いて、高萩がゴールを決め、広島が先制します。


 この展開、目立ちはしませんでしたけど、何気ない寿人の落ち着いたポストプレーが効いていた得点だったように思います。
■寿人の特徴と新居の課題
 個人的には寿人と新居というのは似たタイプの選手だと思っています。
 寿人を見ていると、新居に足りない部分が見えて来るように感じます。
 寿人はボールを受ける動きが非常にうまく、ゴールに一直線ではなく、時には斜めに走ってマークをはがす動きをしたり、中盤に一度下がって受けるような動きも出来る選手です。
 特にゴールから少し離れる斜めの動き(コーナーフラッグ方向に向かう)は、守りしにくい動きだと思います。
 フィジカルで勝てるタイプの選手ではないから、一直線にゴールに向かうだけでは勝てません。
 少し斜めに動いて、相手選手を擦らしてボールを受ける、その動きがこの試合でも効いていました。


 また、ここ数年でポストの動きも上達しているように思います。
 先制点も寿人のポストが絡んだ動きでしたし、ジェフ戦以外でも有効に使えている印象があります。
 ゴールを狙うだけでなくポスト役もこなすことで、相手も読みにくくなるし、中盤を助けることにも繋がります。
 守備面でも大きく中盤以降を助けていますし、ポストだけでなくビルドアップの面でもサイドやトップ下のエリアなど広大なエリアに顔を出しています。
 新居が出場するとどうしても中盤に負担が大きくなってしまうことが多いですけど、寿人は逆に中盤に厚みを作れるプレーが出来る。
 逆に言えば、このあたりが現在の新居の課題なのかなぁ…と。
 もちろん新居にあって寿人にはないいい部分だってあるとは思いますけどね。
 ただ、J2ではボールを受けるだけでよかったかもしれませんが、中盤でのせめぎ合いが激しいJ1では、それだけだと自分の良さを存分に活かすまでにはいかないのかなぁと思います。
 新居をフォローできるだけの中盤がいるチームなら、そうではないのかもしれませんけど…。


 まぁ、この試合での寿人は前半は良かったですけど、トータルではそこまで良かったといった印象はなかったですけどね。


■ようやくショートカウンターが機能
 開幕からのジェフの課題の1つとして、プレスでボールを奪う回数は多くても、ショートカウンターが上手く発動しないという問題がありました。
 しかし、この試合ではうまくショートカウンターからチャンスが作れていました。
 ジェフはプレスでボールを奪えても、攻守の切り替えが遅く、カウンターに移る際の人数も足りず、数的有利が作れていませんでした。
 けれど、広島はビルドアップの段階から、どんどんと前に人数をかけてくるサッカーをしてきます。
 そのため『プレスで奪う=数的有利』という状況になり、プレスでボールを奪うことは出来ていたジェフからすれば、非常に簡単にチャンスが作れる状況になっていました。


 ただ、この試合ではうまく言ったショートカウンターですけど、今後も上手くいくかどうかというと難しいのかもしれません。
 相手が前のめりになるチームだからこそ、機能した部分があると思います。
 だから、この1試合でショートカウンターの部分が進歩と断言するのは、難しいのかなと思います。
 でも、前半の打ち合い状態を経験して、これでのっていければいいんですけどね。
 そんな感じで、オシム監督時代ジェフと戦うと調子が上がってくるなんて言われてたんでしょうか(笑)


 ジェフの1点目もそのショートカウンターから。
 柏木がトラップミスしたところから下村がボールを奪い、一気に深井を狙ってDFラインの裏にロングパス。
 深井がトラップなしの豪快なシュートを決めてくれました。
 この試合、それまでにもいくつかチャンスを逃していた深井ですけど、このゴールは目の覚めるようなシュートでした。


 後半44分には中後のCKを巻がヘッドで追加点。
 中後からの質の高いボールも素晴らしかったですけど、ちょっと相手の守備も雑だったのかなぁといった感じもします。
 ともかく、 攻め込まれる時間帯が多かったのですが、これによって2-1で前半を折り返すことが出来ました。


■後半のほとんどが守りの時間帯
 後半早々にジェフのDFラインは押し込まれ、全体が下がってしまいます。
 後半の終盤に得点を奪い、守る意識が強くなったのか、スタミナの問題なのか…。
 選手達の足が動けなくなっていたように見えたので、両方なのかなと思いますが。


 しかし、これがまた広島にはうまく合ったのかなぁと。
 攻撃でスペースを使う意識の強い意識の強い広島に対して、勝ち越したことで守備でスペースを消してきたジェフ。
 広島としては動き回ってスペースを作りたいところだったと思うのですが、広島も連戦のせいか動きが少なかったですね。
 結果的にロングボールなどが増え、パスが繋がらない展開になりました。


 ジェフは、後半16分頃。
 巻が後方からのロングボールを落として、下村が拾い、左サイドの深井にパス。
 深井が持ち込むと、下村がウェーブの動き。
 これで、左サイドに選手が集まる。
 深井は一度戻して、中後に戻す。
 中後がボールを持つと逆サイドの和田が前進し、そこに中後らしい高精度のロングパスが出る。
 前が開いていた和田はそのままボールを持っていき、ニアを狙ってクロス。
 中には途中から谷澤に代わって右サイドに入っていた工藤、巻、アレックス。
 工藤の身長が足りず、惜しくもボールは合いませんでしたけど、いい展開だったんじゃないかと思います。



 しかし、その後はほとんど攻めの形が作れず、守る時間帯が続きました。
 けれど、退いて守るジェフに対して、広島も有効な攻撃が作れず。
 後半45分は動きの少ない展開となってしまいました。


 気温の問題もあるかもしれませんが、両チーム、連戦による疲労が大きかったんじゃないでしょうか。
 ジェフは清水戦あたりから、疲労が溜まっているのかなと思うところが感じましたし。
 ゲーム内容の向上を考えるのであれば、秋春開催よりも前にやることがあるようにも思うのですが…?


■なんとか凌いでホーム初勝利
 内容は決していいとは言えなかったように思います。
 後半の守備に関しても、こちらが「守りきった」というよりは相手が「攻めきれなかった」といった印象が強い試合だったのではないかと。
 ショートカウンターにしても、退いて守るサッカーにしても相手との相性がうまくあった試合展開だったのではないでしょうか。
 だから、この勝利で油断してはいけないでしょうね。


 しかし、とはいえ嬉しいホーム初勝利。
 ひとまずこれで落ち着けるのかなと思います。



 後半の守備も内容はともかくとして、結果だけ見れば悪くなかったですしね。
 やはりどう頑張っても、あのプレッシングを90分間続けるのは不可能だと思います。
 だから、どうしても守備で我慢しなければいけない時間帯は、今後も出てくるのでしょう。
 そういった時にどう守るのか、苦しい時間帯に凌ぎきれるかどうかが、今後も重要なポイントになるのではないかと思います。
 そういう意味で、守り方に関しては良くはなかったと思いますけど、何とか後半の45分間守りきれたという事実は選手にとっても自信に繋がるのではないでしょうか。
 「攻め込まれても凌ぎきる」ということになればどうしても、気持ちの部分が重要になってくるはずですし。


 広島のように3点目、4点目を取ろうというチームではないですから、勝点を増やすためには守備の安定が不可欠です。
 まだ「安定した守備」とは言い切れませんけど、ぜひともこの試合での後半45分を今後につなげて欲しいと思います。





 明日(11日)の更新はお休みかもです。