川崎戦では、1トップか2トップか

 「ジェフで守備的な役目をやらされたのが嫌で出て行ったんだろうに(水野が右にいてバランスをとらなければいけなかったから)、川崎でもサイドバックで可哀想にねぇ」と昨シーズンから山岸に対して煽るタイミングを計っていたのですが、ジェフにそんな余裕はなく現在にいたります…(笑)
 まっ、今も余裕は全くありませんけどね。



 山岸は個人的に結構思い入れの深い選手で、こんなエントリも書いたことがあります。
(そういえば川崎さんのスレでも好意的に取り上げていただきました。ありがとうございます。)
 決してプレースタイルが気に入っているとか性格が好きだとか言うわけではなく、この日本では異例なタイプのウインガーがどのように評価され、どのような選手生命を送っていくんだろうという好奇心的な気持ちが強かったのです(トルコキャンプでは現地で高い評価を受けていたようだし)。


 運動量豊富で両足でボールを蹴ることができ、細かな基礎技術があって、高さやスピード、フィジカルもある。
 しかし、目立ったドリブル突破や綺麗なクロス、正確なシュートなどは持っていないため、基本的には目立たず評価しづらい選手です。
 実際、代表では散々批判を受けていました(いや、ジェフでもだけど)。
 けれど、それでもオシム監督は大きな期待を持って、代表にまで連れて行って彼をウイングとして使い続けたわけです。
 一番のポイントは、中盤の仕事もできる上で、縦にも期待できてゴール前にも飛び込んでいけることでしょう。
 どれも中途半端と言えばそうなのかもしれませんが、逆に複数の仕事が期待できるウインガーって日本では今だに少ないように思います。

 

 そういう意味で、山岸には今でも期待しているところがあるのですが残念ながら現在はサイドバック
 フィジカルもあって高さもあってアップダウンも出来るから、サイドバックでも起用できなくはない選手です。
 オシム親子も練習では試していましたし。
 ただ、守備に関しては90分集中できない課題があったりします。
 今はどうなのか、どれだけその課題を克服できたのかはわかりませんけれど、基本的には高い位置の方が活きる選手ではないかと思います。
 それに何より先ほども言った方な日本では稀なウインガーとして、もう少し見て見たい部分があるんですけどね…。



 もちろんだからと言って、川崎の首脳陣の選択を否定するつもりはありません。
 あれだけ前に強力な選手がいれば、山岸がサイドバックに追いやられても仕方のないことでしょう。
 単純に個人的には残念…ということですね。
 煽る気持ちも初めはあったのですが、最近は純粋に寂しい気持ちの方が先行してきました(笑)



 さて、この辺りの話しをするとついつい長くなってしまうのでこんなところで。
 明日の対戦相手の川崎さんは、開幕からなかなか前線の中盤のバランスがうまくいかない状況が続いていたようです。
 ジェフにとってはチャンスだと思っていたのですが、先日行われたACLレナチーニョや山岸を外し、憲剛を高めの位置で起用するなどしたことで、だいぶバランスが良くなってきたようです。
 うーん、これはまずい。
 …ってか、山岸見たかったのに(笑)


 負傷者に関しても、報道によるとチョン・テセの出場は直前までわからないようですが、谷口は出場とのこと。
 あとはACLの連戦でどれだけ疲労が残っているのかがポイントですね。 



 対するジェフは1トップをテストしている模様。
 文章中では「中盤を厚くして激しくプレスをかけ…」と書かれているけれど、果たしてそうなるのかどうか。
 というのも、このブログでは既に取り上げたように、現在の2トップは両FWとも守備時は相手ボランチに下がるような戦術。
 ようするに守備時は4-4-2-0みたいになるわけだから、4-4-1-1にするのであれば逆に中盤でのプレスはかけにくくなる可能性もある。
 ただ、深井よりも工藤やミシェウの方が守備能力は期待できるわけで、巻が守備時に下がってくるのであれば守り方は変わらず、守備に期待できる選手が増える分だけ中盤の守備は固くなるだろうけれども。


 そうなるのであれば、問題になるのは攻撃面ということになるでしょう。
 …というか、個人的には1トップするにするのであれば、守備面よりも攻撃面のテコ入れではないかと予想します。
 1トップで中盤を厚くし、よりビルドアップの面を向上させようという狙いなのではないかと。
 今のビルドアップはアレックスや中後などの個人能力に任せてしまう部分が多く、選手が有機的に動けていない部分が多い。
 ようする単発になっています。
 その問題1つとして、工藤、ミシェウのような細かなパスワークが期待できる選手が中央(ボランチでもトップ下でも)にいないことが上げられるのではないかと。
 そして、もう1つの問題は2トップにして深井がどんどん前に行くことで、中盤の人数が足りなくなってしまうところにあるように思います。
 もちろん深井の攻撃力や積極性はカウンター時などにはいい効果を出してくれているのだけれど(その分攻撃では巻が目立たなくなってしまっているけど)、遅攻を考えるとFWタイプの深井では中盤に厚みが作れない。
 中盤が4人でもビルドアップが出来るだけの能力がジェフの選手達にあれば2トップでも構わないのですが、それだけの構成力は残念ながら今のジェフにはないということですね。


 ただ、トップ下に工藤やミシェウを入れれば中盤は厚くなるでしょうが、今後はゴール前に入っていける選手がいなくなるかもしれません。
 今期は開幕から2トップを試していることもあってSHがゴール正面まで入っていく形は少なかったですけど、トップ下に小柄な選手を入れるということになれば、谷澤やアレックスあたりが中に入っていかないと今度はゴール前で厚みが出来ないかもしれない。
 どちらをとるか…ですね。




 …話しを戻すと、そこで山岸だったのでしょう(笑)
 少なくともオシム親子の中では。
 ゴール前にも入れるし、縦にもいけるし、中盤のフォローも出来るし、守備もある程度期待できる上、運動量もある。
 ようするに、1人でFWとしてもMFとしても活躍を期待できる選手。
 山岸がいたことによって、代表でも4-5-1を実施することが出来ていたはずです。


 だからといって今さらジェフに山岸自身が欲しいとは思いませんが(笑)、そういった一人二役が出来る選手が(攻撃面に関わらず)もう1人2人欲しいところだったんじゃないかなぁと思います。
 一芸に特筆した選手もいいし確かにそういった選手は目立ちますけど、それだけではチームは成り立たないということです。
 現状ではどの戦いをするにせよ、どこかを犠牲にしざるを得ない。
 それではやっぱりなかなか結果は出ないんじゃないでしょうか。


 まぁ、ともかくまずは明日の試合に集中したいですね。