Jクラブも独立団体を作り意見を主張していくべきではないか

 秋春制、移籍制度問題、アジア枠、日程問題などなど…近年の日本サッカー界では、日本サッカー全体の枠組みを変える重要な議論が頻繁に行われています。
 この中には面白いアイディアもあると思うし、逆に時期尚早ではないかと思われる議案もあります。
 それらの議論が積極的に行われるのは決して悪いことではないと思うのですが、問題なのは内容ではなく全ての議論がトップダウン方式で行われている状況にあるのではないでしょうか。
 Jリーグについての議論がなされているのにもかかわらず、加盟しているクラブの意見というのが尊重されていないどころか、クラブが意見をすることすらままならないように見えます。
 それでは適正な結論など、出来るはずもないのではないでしょう。
 いくらJリーグ機構やJFAなどが内々でしっかりとした議論をしていたとしても、こんな状況ではサポーターを含むクラブ関係者はどうしても納得しづらい状況にあるのではないでしょうか。




 例えば、欧州では以前各国のビッククラブを集めたG-14という独自の団体がありました。
 Wikipediaによると「UEFAFIFAに対して、クラブの権益を守るために、代表選手への報酬問題や過密日程問題などで、様々な要求を行っていた」とのこと。
 ようするに、欧州のビッククラブはG-14という団体を通して、統治団体にしっかりと意見ができる環境を作り上げたということになります。
(今後はその役目を「UEFAに加盟する53協会から103クラブが参加する欧州クラブ協会に移す」とのこと。)


 あるいは、F1には統治団体FIAに対して、参戦チームで設立されたFOTAという独自の連合体があります。
 FOTAもG-14同様にFIAに対して「分配金の引き上げ要求」や「レギュレーション作りへの参加」など、チーム側の意見をFIAに主張するために設立された組織です。
 まずFOTA内でチーム同士の意見をまとめあげ、FIAと議論していくというのが多くの流れになっています。
(ちなみにFOTAは08年設立ですが以前にも同じような組織はいくつもあり、1つの問題が解決するたびに解散し名前を変えて再設立という流れになっています。)



 組織の仕組みを作ろうという統治団体に対し、それに所属する側は弱い立場になってしまうこともあります。
 そして、場合によっては統治団体と所属チームの意見が異なる場合があることも、仕方のないことことだと思います。
 しかし、重要なのはしっかりと両者が対等な立場で議論し、意見を出し合うことでしょう。

 
 現在の日本サッカー界の組織図は、事実上トップにJFAがありその後ろにJリーグ機構があり、その下にJリーグのクラブが所属しているような形になっています。
 しかもJFA内部も、トップダウンの組織になっているように感じます。
 これでは、クラブの意見というのはなかなか尊重されてこないでしょう。


 以前ならばJFAJリーグ機構からのトップダウンでも、多少は許されてきた部分があるのかもしれません。
 しかし、現在の日本では日本代表人気に陰りが見え、クラブの人気が高まっているともいわれており、その状況も変わりつつあるのではないでしょうか。
 加えて、秋春制や移籍制度などJFA側(というか犬飼会長単独?)は、現在の枠組みを大きく変化させようという意思を強く感じます。
 日本サッカー界がどう変わるにせよ、あるいは変わらないにせよ、クラブ側が後悔をしないように発言していくことが重要なのではないかと思います。



 ただ、G-14にせよFOTAにせよ、どうしてもビックチームばかりが意見を主張する権利が強まってしまう問題が出てきてしまいます。
 それではせっかくの意見も無駄になってしまうかもしれない。
 ですから、地方のクラブもしっかりと意見出来るような仕組みを作ること。
 できればビッククラブ2,3チーム+各地方クラブ4,5チームあたりが中心となって組織をまとめることが、望ましいのではないかと思います(数字はどれくらいが適正なのかわかりませんけれども)。



 もしかしたら、ここ数年が日本サッカー史においても重要な変革期になるのかもしれません。
 その一方で世界的な大不況からの不安というのも拭えず、変革に失敗すればクラブにとっても大きな損失が発生する可能性も大いにあります。
 下手をすればクラブの存続にも関わってくる問題にもなってくるでしょう。
 そのような状況ですから、JFAJリーグ機構から統治されるだけでなく、Jクラブ側もしっかりと自らの意見を主張する必要性が高まってきているのではないかと思うのです。
 そのためには、まずクラブ側がしっかりと発言をできる体制を強化することが重要なのではないでしょうか…。