いい時間帯をどれだけ長く延ばせるか

 前日の朝から気温が上がって朝から生温い陽気でしたが、試合内容も同様にあまりピリッとしない感じだったかなぁと思います。



 両チーム共に、守り方は似通った形になりましたね。
 柏はCBとボランチがしっかりと守り、バイタルエリアを消す意識が強かったのではないかと思います。
 逆に守備では期待できないフランサが前線にいることもあってか、前からのプレスはあまりありませんでした。
 ジェフも立ち上がりの数分こそ前からプレスにいくことが出来ていましたが、ミラー監督も「ディフェンスが下がりすぎた」と言っているように、早い段階でラインが下がっていきプレスも効かなくなっていきます。
 これにより、両チームボランチ付近ではかなり楽にボールを持てたのではないかと思います。
 初先発の中後にとってはとてもやりやすい状況だったでしょうね。
 開幕戦のG大阪は攻撃も手強かったですけど、何よりもボールを奪われた後のプレスが厳しかったため、いい攻撃に移ることが出来ませんでした。
 しかし、この試合では両チームともボールを奪われた後のプレスがそこまで厳しくなかったため、楽にポゼッションできる展開だったと思います。


 守備が似通っていた分、攻撃に関する差がわかりやすく出た試合だったのではないでしょうか。
 特に前半のジェフは攻撃面がまったく機能せず、厳しい状況でした。
 サイドでボールを持てても誰もサポートに来ず、苦し紛れの単独ドリブルばかり。
 後方からのビルドアップもうまくパスをつなげないから、苦し紛れの巻をめがけたロングフィードばかり。
 これではなかなかいい攻撃は出来ません。
 前半は抑え気味で戦っていたのかなぁとも思ったのですが、監督や選手のコメントなどからするとそういうわけでもなかったのかも知れませんね。


 対する柏は、やりたいことがはっきりしていたと思います。
 しっかりと後方からのサポートも出来ていたし、選手の距離感も非常に良かった。
 けれど、単純なパスミスなどが多くジェフはそこに助けられていた試合だったのかもしれません。




 こういったピリッとしない展開では、“一発”を持っているあの人が試合を決めてしまうんじゃないかなぁ…と思っていたら、案の定フランサにやられてしまいました。
 左サイドからの展開でペナルティエリア手前のフランサにボールが渡ると、そこで一度タメをつくり、右サイドを駆け上がってきた村上に広く、そして速いサイドチェンジのパスをズバッと通されてしまいます。
 以前からボールがあるサイドに寄りがちになってしまう問題のあるジェフの守備陣は、柏から見て左サイドに選手が集中。
 フランサによる速いサイドチェンジのパスに選手達がついていけず、マークが半分ずつ綺麗にずれてしまいます。
 ボールを受けた村上は早いタイミングでクロスを上げ、DFとDFの間にいた李にボールが合い、ヘディングによる得点。
 サイドチェンジにやられた1点だったと思います。
 
 
 これが柏の“やりたいこと”でしょう。
 一方のサイドでボールをつなぎ、中央の選手を経由してサイドチェンジを行い、逆サイドを駆け上がってくるSBがクロスを上げる。
 先制点はまさに柏のやりたい攻撃を綺麗に形にした得点だったと言えるのではないでしょうか。



 しかし、このような柏の攻撃で肝となるはずのフランサですが、まだコンディションが上がってきていなかったのではないかと思います。
 それでも重要な場面で素晴らしい仕事をやってのけてしまうのだからやはり怖い選手なのですが、得点シーン以外では“ボールの奪い所”になっていました。
 いまいちフランサの動きが良くないのにもかかわらず柏の他選手はフランサに預けようとしてしまうので、ジェフからすれば守りやすい状況でした。
 逆にフランサをおとりにして他の選手を使われた方が、この試合に限っては怖かったかなぁと思います。


 そんな感じで、柏のリズムになりそうな状況ではあったと思うのですが、ジェフが何とかしのいで後半。
 エンドが変わってジェフはサイドバックの選手などが徐々に攻撃参加できるようになっていき、そこからリズムを作っていきます。
 後半7分。
 青木良太が右サイドの谷澤にクロスを上げ、谷澤がヘッド折り返して中央にいたのがなんとSBの坂本。
 坂本は見事な右足でのトラップでボールをコントロールし、そのまま左足でシュート。
 見事な得点で追いつきます。
 基本的にはそこまで足技が上手い選手ではないと思うのですが、たまに凄いプレーを見せてくれるイメージがあります(笑)
 

 その後数分はジェフの流れだったのですが、試合終了まではその流れが持ちませんでした。
 終盤はスタミナが切れ、アウェイということもあってか試合をクローズさせようとしたのかなと思います。




 G大阪戦では前半中盤〜終盤。
 柏戦では後半の序盤。
 いい時間がまったく作れないわけではないのですが、これらの時間帯が非常に短いことが今のジェフの大きな課題なのではないかと思います。
 それ以外の悪い時間でも失点を0に抑えられればそれでもいいのでしょうが、今のジェフにはそういった力もないということでしょう。
 柏は選手のコンディションが悪いせいかイマイチ攻撃にキレがなくそこまでの怖さはなかったですけど、違う相手だったらもっと危ないシーンを作られていたのではないかと思います。


 ですから、この良い時間をどれだけ延ばせるのか。
 そして、悪い状況でも守りきれるだけの守備を形成することが、重要なのではないかと思います。
 …まぁ、どちらも昨年からの問題なので、解決するのはそう簡単ではないですけどね。


 ともかく、勝点1。
 ここからですね。