ちばぎん杯から考える今期のコンセプトと課題について

 考えて見れば当たり前なのですが、アウェーユニなわけですね。
 いきなりあのアウェーユニを見れると考えていなかったので、ちょっと不意を付かれてしまいました(笑)


■今期のメインコンセプト
 昨日のちばぎん杯では、工藤が右SH、深井がトップ下、アレックスがボランチに入りました。
 工藤の右SH、深井のトップ下起用は沖縄から試されている形なので、今はこのポジションである程度固定してやっていく考えなのかなと思います。
(もっともミラー監督の場合、ダメだと思ったら直に変更してくる可能性もあるのでしょうが。)
 そして、アレックスも栃木SC戦でもボランチ起用だったことを考えると、まずはボランチで戦わせて見るつもりなのかなぁと。


 昨年のメインコンセプトだとSHなどアタッカーを置きどんどん攻撃させておいて、ボランチの二人がゲームメイク…というのが基本だったと思います。
 そう考えると、攻撃力の期待できるアレックスはSHで考えているのではないか…と獲得時は思っていました。


 しかし、蓋を開けてみれば工藤が右でアレックスがボランチ
 もしかして、今オフの補強って『中盤の守備の強化』がメインテーマだったんでしょうか。
 SHとしては守備に不安のある深井をトップ下に置き、工藤を右SHに。
 ボランチとしては一対一の守備に若干なんのある工藤を右SHに移動する分、アレックス(あるいは中後?)などフィジカルの強い選手をボランチに置く。
 そうすることで、中盤のプレスを強化し、DFラインの負担を軽くして、全体のラインを高く維持する…。
 

 確かに昨年の終盤の勝てなかった時期から守備には大きな課題があったわけで、そこを強化したいという考えはわかります。
 攻撃の面でも課題はたくさんありましたが、ミラー監督は守備を重点においてチームを作るタイプの方。
 まずは守備を強化したいという考えの方が、強かったのかもしれません。
 

 そのあたりを考えると今年のメインコンセプトは、「まずは中盤とDFラインで相手を挟み込む守備で相手を押さえ込む」というところが、一番重要になる部分なのかもしれません。

■DFラインの裏を付かれる
 そのメインコンセプトもあって、この試合では「中盤のプレスと高いDFラインの維持」を目差そうとしていたと思います。
 しかし、前半7分、相手ボランチ付近の守備がポッカリ開いてしまい、そこからジェフDFの裏へのロングボールが通って失点…。
 「DFラインを高くする」のであれば、中盤で簡単に前を向かせてしまうというミスは一番やってはいけないこと。


 後半14分の失点もジェフの右サイドでのプレスが緩く、そこから裏を付かれてやられてしまう展開。
 それ以外でも何度も裏を付かれるシーンがあり、守備に関する不安が出てしまいました。



 また、後半11分の失点は、相手左SHがボールを持ちそこにSBがオーバーラップしかけて数的優位を作らたところから失点してしまったのですが、この失点ケースは昨年から何度もやられた形でした。
 ジェフのSHの戻りが非常に遅く、かといってボランチがそこへのフォローに行くわけでもなく、簡単に数的優位を作られセンタリングを上げられてしまう。
 ミラー監督としてはそこで相手の攻撃を遅らせるために、SBに守備の出来る選手を置いているんでしょう。
 このシーンでももう少し和田が遅らせてくれれば…と言うのは、さすがに酷でしょうね。
 時間を稼いだところで、味方選手のフォローは間に合わなかったでしょう。
 和田に関しては予想以上に質の高いクロスを見せてくれました。
 しかし、やはり守備だけ見ると青木の方が上のように感じましたから(特に相手を遅らせる守備、絞っての守備が今期も求められると思います)、攻撃力のある和田とどちらを選ぶのか気になるところです。
 でも、青木のCBも可能性を感じましたけどね。


■ローテーションした中盤の役割
 工藤を右SH、深井をトップ下、ボランチにアレックスを入れましたが、基本的にはやることは変わっていないと思います。
 というのも昨年はボランチにパサー、右SHにアタッカー、トップ下にタメを作れるミシェウでしたが、昨日の試合では右SHにパサー、トップ下にアタッカー、ボランチにタメを作れる選手を入れた形で、中盤の中でローテーションしただけということになります。
 だから、やろうとしているエリアは違うでしょうが、内容は良くも悪くも大きく変わらない印象でした。


 ジェフの得点シーンも結局中央に絞ってきた工藤からパスが出て、左SHの谷澤が飛び出す…といった流れからでした。
 今年もやはりこの2人に頼ることになるのかなぁと。
 谷澤のシュートも工藤のパスも、利き足でない左足でのプレーだったと思います。
 深井はもう少し右足を使えるようにしないといけませんね。



 課題であるビルドアップに関しては、特に前半はボールを持てるシーンが長かったのだけれど、ボールを持っているだけでゲームが作れませんでした。
 もっと早くボールを回すことで相手のマークを少しずつずらしていく意識がないと、ただ単純に「相手が来たからボールを味方に預ける」というだけになってしまいます。
 それではビルドアップ(攻撃を組み立てる)は成立せず、時間潰しにパスをつなぐのと同等になってしまいます。
 このあたりを見るとやはりDFラインを統率できてビルドアップ能力のある経験豊富なCBが欲しかったんじゃなのかなぁなんて思ってしまうのですが、まぁ今になっては仕方がないですね。
 そういえば、「中後をCBにすればいいじゃん」なんて話している夢を見てしまいましたが(笑)


 この問題を解決するためにアレックスをボランチに入れ低い位置からのビルドアップをアレックスの個人技に任せようという狙いだったんでしょうが、アレックスはボールをDFラインから引き出す動きがあまりうまくないため前が向けず、DFラインの目の前でボールを持つことになり有効的なビルドアップは出来ていませんでした。
 まぁ、このあたりの動きから見ても本職のボランチではないのでしょうから、あまり多くを望むのは可哀想な気もしますけど…。


■開幕までの修正点
 昨日の試合をメインで戦うのであれば、ひとまずのポイントはアレックスでしょう。
 タメを作ってパスを出す…と言えば聞こえはいいですが、あれだけ低い位置でタメを作られても効果的ではないし、攻撃のリズムにも問題が生じてしまいます。
 DFがビルドアップできていない状況だから下がってきてボールを欲しがってしまう気持ちもわかるのですが、ボールを引き出すようにして出来るだけ高い位置で貰うようにしないと。
 結局アレックスがディフェンシブサードまで下がってきてしまうことで、それより前のエリアに人が不足してしまうため、ますます縦へのパスの出しどころがなくなってしまうわけです。
 だから一見パスがつなげているように見えて、有効なパス回しというのはほとんど出来ていない…ということになってしまいます。


 また、守備面でもアレックスはポイントとなります。
 この試合では守備能力に不安のある深井が前にいたこともあって、中盤のセンターラインにも守備の問題がでてしまう場面がありました。
 逆に工藤が回った分右サイドの守備はある程度安定したのかなと思うのですが、DFラインも含めて誰がどこのスペースを埋めるのかを再確認して置かなければいけないのではないかと思います。



 このあたり守備面ではアレックスは合流期間が短いため、連携を深めればある程度は改善できる部分もあるのかもしれません。
 ただ、気になったのは守備時のチェックの遅さ。
 目の前にボールを持った相手選手がいて、明らかにアレックスが行かなければいけない場面なのに、フリーにしてラストパスを出させてしまった場面がありました。
 この辺りから見るにあまり守備は上手くないのかなぁ…と。
 人に付いてからの守備は期待できるんでしょうがゾーンのボランチで使うとなると、もう少し時間がかかるような気がします。




 スコアから考えてもわかるように、課題が多く出た試合だったと思います。
 コンディションに関しては決して悪くなかったと思いますが、それだけに不安が残る内容だったのかなぁと。
 主に連係面の問題。
 これを開幕までにどれだけ修正できるのかが、重要になってくるのではないでしょうか。
 メンバーを昨年の選手達に戻せば連係面での不安は少ないのでしょうが、それでは上積みは期待しにくいんでしょうしね…。