4-4-2から変化した4-5-1の有効性

 現在のジェフでは4-4-2は難しいのではないか。
 それに関してグダグダと補足をしたいと思います。


 4-4-2と一言でいってもその中にも色々な種類があり、そしてチームごとにも細々と戦術は変わってくるもの。
 でも大まかに分けるとダイアモンド型(トリプルボランチ)、ボックス型、フラット型の3つに分けられると思います。
 あくまでも大まかにね。



 ダイア型はアンカーを1人置いて、その前に2人、そして前線にトップ下と2トップを置く形ですね。
 基本的に現在はダイヤと言うよりトリプルボランチ風のサッカーが多いような気がしますが。
 ダイヤもトリプルボランチも、前3人でカウンターを狙うチームが多いように思います。
 しかし、守備に関しては中盤とサイドのバランスが難しい。
 真ん中の2人が中に絞りすぎてしまうとサイドが空いてしまうし、逆に開くと中の守備に不安が残ります。
 SBへの負担も大きく守備をこなす上にアップダウンも出来ないといけないでしょう。
 ジェフに当てはめると、ミラー監督がやりたいサッカーというのはSHを攻撃のポイントに置くサッカーだと思うので、この戦術は向いていないでしょうね。
 清水の伊東のような攻守に気の効くアンカーも必要ですし、ダイアというのはそう簡単ではないように思います。
 オプションとして守備固めを狙ったときにトリプルボランチをやったこともありますから、そういった作戦なら不可能ではないかもしれませんけれど、あれもあくまでオプションでしょう。
 


 ボックス型はブラジルサッカーのイメージが強いですけれど、オシム監督時代の日本代表だとかG大阪もボックス型に含まれると思います。
 基本的に中盤にしっかりとパスをつなげる選手がいること。
 そして、DFラインの選手やFWも中盤のパスワークに参加することによって、成り立つことの多い戦術ではないかと思います。
 古い戦術のように言われることもありますが、G大阪や日本代表のように中盤が流動的に動き、SBもアップダウンをして中盤をフォローすることによって、フレキシブルに対応できるシステムではないかと思います。
 しかし、ジェフは中盤にパサーもいなければ、DFからのビルドアップも期待できないし、アップダウンできるSBもいないですから(というかアップダウンさせていないから)、現状では合わないんじゃないかと思います。



 ミラー監督のやろうとしているサッカーの中で、4-4-2で一番近いシステムを考えるのであれば、フラットな4-4-2でしょうね
 SHはアタッカーを置いてドリブルに専念させ、全体をコンパクトにして3ラインで前からプレスをかけ、手数をかけず早い攻撃を仕掛けていくサッカー。
 基本的には流動的な動きはせず、各ポジションで決められた仕事をこなす感じですね。
 ただし、ここ数年はそこまではっきりとしたフラットな4-4-2を敷くチームは少なくなってきたように思います。
 オフサイドのルール変更により、フラットな4バックで極端にオフサイドを取りに行くというのは難しくなりました。
 また、DFラインからのビルドアップや、GKからのフィードキックというのも重要視されてきたことで、一発で高いラインの裏を付く攻撃も増えてきました。
 ようするに、“オフサイドトラップ崩し”が容易になってしまい、極端な4-4-2の3ラインを実施するのは難しくなってきたと言うことです(不可能と言うつもりはないけど…)。
 また、4×4を等間隔でポジショニングするため、この8人が攻守に活躍できなければいけないといわれているのですが、今のジェフにはそれだけの選手がいません。
 それに何より、ラインを積極的に押し上げてコンパクトなサッカーをするのが本来の目的であるシステムなわけですが、今シーズンを見る限りそれも無理でしょう。
 それが出来ないとただの間延びした4-4-2になってしまい、全体がスカスカになってしまいます…。



 そう考えると4-4-2と言うのはどれも今のジェフには向いていないように思います。
 そこで考えられるのが近代サッカーでも主流と言われている4-5-1ですね。


 今シーズン、ジェフが実施した4-5-1というのも、基本的にはフラットな4-4-2の延長線上にあると思われます。
 そしてそれは近代サッカーで行われている4-5-1とも同じ戦術のシステムだと思います。
 ブラジルなどを中心にボックス型が流行っていたところに、オフサイドトラップという概念の戦術が出来た頃からフラットな4-4-2が流行し始めたはずです。
 G大阪アデレードを見た方ならわかるかもしれませんが、パスをつなぐサッカー相手に前からプレスにいってコンパクトなサッカーでパスワークを封じるという流れだったはずです。


 しかし、上記のようにオフサイドが取りにくくなってきた。
 そこで出てきたのが、4-1-4-1。
 前の5人が高い位置からプレスに行きつつも、裏を取られないように極端なDFラインの押し上げは行わないようにする(もちろんとはいえズルズル下がるのではなく、しっかりと最後のところで踏ん張らなければいけないけど)。
 しかし、プレスが毎回成功するわけではないので、プレスが掻い潜られそうになるとスッと中盤がリトリートして網を作る。
 そして、その網を作って待ち構えて、来たところをもう一度挟み込む感じですね。


 そして、これに対応するために作られたのが4-2-3-1だと言われています。
 トップ下2人がプレスをかけてくるから、そこに対応するためにダブルボランチに戻した…という考え方だそうです。
 やることは先ほどの4-1-4-1と変わりなく、ボランチの二人がバランスを獲って前に行くか後ろに下がるか…といった感じですね。
 個人的には4-1-4-1だと単純にリスクが高すぎるから、このシステムに落ち着いたんだと思いますが。





 もちろんこういった流れだけで見るのではなく、例えばオランダあたりは前から4-3-3でした。
 4-5-1も以前からあった戦術で、4-4-2だとSHの押し上げが難しいから中央を増やして中の3人でパスを展開し、その分SHはアタックに専念させる。
 あるいは単純を5枚にすることで、パスをつなぐ能力がない選手達でも比較的楽にパスをつなぐサッカーを実施することが出来る…というのが基本的な考えだと思います。




 ミラー監督も基本的にはサイド攻撃がやりたいんじゃないかと思います。
 守備に関しても、極端なDFラインの押し上げはしないけれど(とはいえラインコントロールをしなくていいわけではない)、プレスをかけてダメなら中盤から網を張るサッカーをしたいはずです。
(というか、実際に調子のいい時はそれが出来ていましたね。)
 そういう意味では4-5-1という戦術の選択は正しいはずです。


 4-5-1で難しくなるのが1トップですが、ジェフには巻がいるわけです。
 もちろんいくら巻でもクロスを上げられた時に1人だけではなかなか厳しいけれど、逆サイドのSHやトップ下の選手が上手くフォローできれば、ミラー監督の理想に近いサッカーが出来るのではないかと思います。

 

 ということで、やっぱり基本は4-5-1でしょう。
 そしてその4-5-1を機能させるためには、やはりときにはクロスを上げ、ときには中に入ってきて、プレスもかけ、戻っての守備も要求されるSHが、この戦術のキーになるんじゃないかと思います。


 だから、出来ればここにスペシャルな選手が欲しいんじゃないのかなぁ…と。
 まぁ、もちろんどうにかして少しずつ仕事を分担するというか、サポートしあわなければいけないのでしょうが、ミラー監督のサッカーの中でSHが重要になることには変わりないのではないかと思います。




 まぁともかく、システムを語るにせよ選手を補強するにせよ、どんなサッカーをやりたいのかが重要です。
 そして、ミラー監督のやりたい戦術を考えていくと、今のところ4-5-1がもっとも有効なのではないかと私は思うのです。