喧騒の中、谷澤の周りだけ空気が違った

 ふぅ〜…。
 何とか、命拾いしましたね。
 まぁ、一勝は一勝なのでよかったのですが、これをどう今後に活かせるかですね。
 何度も言っているように何勝しようとも、降格してしまえばなんの意味もなさないのですから…。





 前節東京V戦ではいい試合ができたジェフですが、何故かそのサッカーを捨ててまたロングボール主体のカウンターサッカーにしてしまいましたね。
 いや、カウンターサッカーというか縦ポンサッカーに近いか、あれは。
 ロングボールといっても、ほとんどがあまり意思の感じないキックでしたもんね…。 





 深井をFWで起用したのもそのためでしょう。
 新居より1人で持ち込むドリブルがあるから、単独でのカウンターには向いている。


 しかし、いくら深井が頑張っても、こちらはカウンターでの勝負となれば武器になるのは深井1人。
 相手はブラジル人2人がストライカーなんだから、単純に考えて勝てるわけがない。
 あんなロングボールばかりのサッカーをするということは、“中盤を捨てる”ということに他ならないのですから。
 そこがジェフの売りの1つなはずなのにね。




 しかも、前半14分に1人退場者が出たのにも関わらず、それを続けてしまいました。
 というか、むしろ試合序盤の方がパスをつなぐ意識が強かったと思います。
 勝てたからいいけれど、私にはまるでFC東京戦のように見えてしましたよ…。
 1人多いのであれば、それを活かすためにもじっくりとした攻撃をすべきだったのではないんですかねぇ。


 まるで相手の注文に合わせたように、ロングボールの蹴り合いとなってしまいました。
 そうなれば相手の思う壺。
 向うにはCBにもFWにも、そういったカウンターサッカーをやるための選手達を集めているんですからね。
 けれど、こちらにはそういった選手もいないし、そういったときの戦い方も統一されていない…。





 だから選手たちも焦ってしまって、「ともかく前へ早く!」という選択肢しか持てなかった。
 「FWにロングボールを出せ」という指示と(FWにいい形でロングボールを出すには相手の守備が整う前に出したいわけで…)、そのロングパスがつなげず流れが来ない焦りと、試合状況の問題と…。
 そうやって悪循環に陥り焦っていくうちに、急がなくてもいい場面でも急いでしまった。
 これについては選手も悪いとは思うけれど、こうなることは何度も見ているわけでね…。



 そんな中で、1人だけ落ち着いていたのが谷澤ですね。
 いや、落ち着いていたというより、マイペースだったということなのでしょうか。
 いつもと変わらずプレーしていたといった感じかもしれませんね。


 特に最後のゴール前の一連のプレーの時は、まるで谷澤とその周りだけ空気が違うかのようでした。
 残り時間がない状況で同点にされて周りの選手が慌てふためき、「ともかく最速でゴールにボールを運ぶんだ!」と混乱していた場面で(「ゴールを奪わなきゃ」という姿勢は素晴らしかったですけどね)、谷澤はゴール前でボールを受けると冷静に(というかいつも通りに)トラップして相手DFをかわして切り返し、綺麗なシュートを決めてくれました。
 私も正直焦っていた…というよりは呆れていたので、谷澤あのプレーには本当に驚きました。





 真面目で協調性があり周りの空気に飲み込まれやすい選手が伝統的に多いジェフの中で、マイペースな谷澤はちょっと異彩を放っていますね。
 去年、谷澤のような選手がいたらまた面白い存在になったのかもしれません。
 ともかく、今回は谷澤に助けられました…。







 しかし、何でああいったサッカーに意図的に“して”しまったんでしょうか。
 アウェーゲームだから?
 けれどもうそんなこと言ってられないですよね。
 相手は最下位の札幌だったんだし。
 セーフティーに戦いたかったから?
 けれど、実際はセーフティじゃないんですよね。
 むしろリスキーです。悪い意味で。
 ロングボールを出してもチーム内での意思の疎通ができていないからつながらないし、ロングボールだけでカウンターサッカーにはなっていない。
 いい攻撃が出来なければ当然の如く相手のカウンターの絶好の機会になるわけで、むしろ守備の機会が増えてリスキー…というかデンジャーな状況になってしまう…。


 東京V戦の前半も非常に守備的でしたけど、あれはパスをつなごうと思ったけれどつなげなかった状況だと思います。
 少なくともロングボールを蹴りこもうというサッカーではなかったように見えました。
 だから私は前半も悪くないと思っていたし(我慢すれば工藤もいるし途中から流れが変わる可能性は、十分にあると思っていた)、実際に後半からパスをつなげる工藤が入っただけでだいぶ状況が変わったのも、初めからパスをつなぐ意識がチームにあったからではないかと思います。







 さて。
 問題は初めに言ったように次につなげるかどうか。
 名古屋戦はまたホーム仕様に戻すんじゃないかなぁ?と思います。
 だから、「ロングボールを蹴りこもうとしてしまう采配の問題」に関しては不安はさほどないです。
(もちろん勝てるかどうかは別の話しだけど。)


 けれど、チームには勢いってものがある。
 いい試合が出来た後には気持ちよく試合に望めるし、悪い試合をしたあとは当然不安も残るでしょう。
 なかなかジェフが連勝できず波に乗っていけないのも、そのあたりに要因じゃないかなぁ…と。
 監督が変ってから何試合に一回かはいい試合は出来ているのだけれど、それが続かないのは前節にいい試合が出来たのにも関わらず、今回のようにそのサッカーを続けないことに問題があるのではないかと…。






 まぁ、「悪い試合でも拾えた!」という思いが選手たちの中で、プラスに運んでくれればいいですけどね。
 とはいえ、理想を考えれば気持ち良くこの2試合に勝って、名古屋戦に望む方が絶対に良かったはずですけど(笑)


 正直次のアウェーの試合が私の中では心配になってきました…。
 状況は一緒ではないけれど磐田戦もアウェーで相手の決定力不足に助けられたし、今回の札幌戦だって相手選手の退場などに助けられたって部分が大きかったしね。
 強い相手だったら、ああはいかなかったでしょう。





 まぁとにもかくにも一勝です。
 悪いところは反省しながら修正できるところは修正して、次に望みをつなげて行きたいですね。