「ホームで勝って、アウェイで勝点1」

 私は概ねミラー監督がジェフに来てからの手腕を高く評価しているし、これからのチーム作りにも期待しています。
 磐田戦の選手起用などにも若干の疑問点などはあったけど、監督を評価するにあたっては些細な一部分にしか過ぎない。
 それを言い出してしまっては、キリがないですからね。




 例えばここ2試合で急に松本が起用され始めたのも、ここ数日の練習で良いパフォーマンスを見せていたからなのではないかと思います。
 けれど、そのあたりの細かな情報は内部の人間でなければわからないし、例え練習で良くて実際に公式戦で使って結果が出なくても、それに対して外部の者が文句をいうのはある種の結果論にしか過ぎないんじゃないかと思います。
(例外として楽山みたいに常に練習では良いけど、試合になると力を発揮でなきないようなタイプもいるけど…。)
 交代策は結果論であるということに関しては、オシム監督も言っていましたね。


 サッカーの方向性としっかりとした戦術的な狙いがあって、それに沿った選手起用なのであれば、基本的にはあまり文句は言えないでしょう。
 逆に言えば、戦術的に見て理解に苦しむ選手交代だとか、方向性を迷わせるような選手起用というのがあれば、大きな不安を感じますけどね。
 けれど、ミラー監督が就任してから今のところ、基本的にはそういった大きくハズレた選手起用はないと思います。




 そして何よりも、ジェフに就任して短い時間の中で守備の基本を作り出し、攻撃に関しても少しずつ作り始めていること。
 ここ2試合は攻撃に関してあまり良くはないけれど、ミシェウ、谷澤が帰ってくればたぶんまた良くなるのでしょう。
 厳しい状況でよく頑張ってくれているなぁといった印象です。







 …しかし。


ミラー監督
「うちのプラスのポイントとしては、アウェイに来て勝点1を取れたこと。ホームの試合で勝っていって、アウェーで今日のように勝点が取れれば、何とかセーフなゾーン(残留圏内)に行けると思っている。やはりアウェイでは負けないことが重要だし、無失点に抑えるということは非常に重要なので、そこで無失点にできたということは、大きなプラスだったと思っている。」
 何度も言っていますけど、これだけは納得し難いですね。
 いや、別に「磐田戦も勝ちに行くべきだった」ということではないです。
 川崎戦、磐田戦は怪我人や出場停止が出て、前に行きたくても行けなかったというところがあったのかもしれません。


 ここまで来て、守備的なサッカーに反対するつもりもない。
 例えば相手が上位チームで、しかも勢に乗っているような状況で、こっちがここ数試合のようにボロボロの状況だったら、場合によっては勝点1を狙ったほうが得策なのかもしれません。
(とはいえ守備的なサッカーをするのであれば、どうやって守り切るのかについてもっとチームとして煮付めていかなければならないでしょう。ミラー監督は磐田戦に関して守備的なサッカーをして無失点という結果が出せたことに「プラス」と評価したのかもしれないけど、あれだけ相手が外してくれれば無失点にもなりますよね。)

 



 しかし、基本的な考えとして「ホームで勝利を狙い、アウェイで引き分けを狙う」というのであれば(あるいはその傾向を強く持つのであれば)、それにはやっぱり反対です。
 欧州ほど日本はホームとアウェイがはっきりしているわけではないですし、相手もそういったつもりはない。
 相手も同じ意識であるからこそ成り立つんじゃないかと思うのですが、そういった考え方はまだ国内では浸透していないはずです。
(むしろそういった考え方が浸透しないのは、日本の良い点だと思いますが。)





 典型的なのは味スタでの第14節FC東京戦。
 確かに相手は、ジェフよりも上の順位のチームでしかもアウェイ。
 けれども、FC東京は試合中に退場者が出ました。しかも前半7分という非常に早い時間に、FC東京でも重要な選手であるはずの今野が。
 当然ジェフはこれで前に行くだろうと思っていたのですが、受けてしまいました。
 90分間通して守備的というか、消極的だったと思います。


 今思っても、やはりあの戦い方は失敗だったのではないかと思います。
 そして、その試合の戦い方が、その後にも尾を引いたのではないか…とも。


 もちろん勝ちにいって引き分けならば、ある程度仕方がないとも言えるかもしれません。
 いや、もう今となっては「仕方ない」とかも言っていられない状況だけど、精神的にもそちらの方が次に繋がるのではないかと思います。
 いや、本当に残り数試合ともなれば「次に繋がる」とも、言ってられないんだけど(笑)
(まぁその頃にはもう何もかも決まっているかも知れないし…。)



 それと現実的な問題として…。
ホーム:東京V、名古屋、浦和、新潟、横浜FMFC東京
アウェイ:札幌、京都、大宮、大分、清水


 今後はホームの方が、比較的上位のチームが多いということになります。
 特にホームで行われる名古屋、浦和あたりとの試合は、それこそ場合によっては引き分けを狙うようなプランも必要になってくるかもしれません。
 一方でアウェイで上位チームとなると、現在好調な大分くらい。
 しかし、ご存知のように大分とは相性がいい。
 特に九石ドームでは未だ負けなしのはずです。
 むしろここは勝っておきたい相手だと思います。




 今後の対戦相手をさらっと見ても、残留争いの直接対決が多いように思います。
 これは良いようで悪いとも言えるでしょう。
 直接戦って引きずり降ろすには絶好のチャンスだけれど、中位のチームとの対戦が少ないから(というか混戦常態により中位チーム自体が少ないのか)、最後まで目標を失って気を抜くようなチームが少なくなる可能性が高いということにもなります。
 


 ジェフとすればライバルを直接叩いて相手を勝点0にし、こちらが勝点3を奪っていくのが理想の展開となるでしょう。
 そのためにも、アウェイであろうとも勝ちに行くしか残された手は、ないんじゃないでしょうか。