戦い方を変えざるをえなかったジェフ

 ミシェウの怪我に関しては情報が出ていたので驚きはなく、中島がボランチに上がったのはミシェウがいなくてパスを出す選手がいないからかーとか思っていたのですが、なんと谷澤までいない…。
 戸田、ボスナーの出場停止も出場停止で苦しいっていうのに…。


 いや、確かにシーズン終盤になって疲労の溜まった主力選手達の怪我が増える…ということに関して、心配はあったんですよね。
 ミラー監督になって、目立った怪我人はあまり出てこなかった。
 去年なんて代表組が多かったこともあり、常に主力選手のうち2、3人は怪我をして出られない状況だったので、去年はまだ楽なほうだなぁ…なんて思っていたのですが。



 ここからはホント、怪我人、出場停止に関しては十分気をつけなければいけない。
 例え1試合、主力選手が試合に出れなくても、その1試合で負けたことでJ2へ…ってこともありえる話し。
 ライバルもそれは同じだけれど、ジェフは選手層の薄いチーム。
 緊急補強でどうにかしのいでいるけれど、やはり緊急で入ってきた選手たちはどうしても連係面で劣ってしまいます。
 





 特に今いなくなって一番困ってしまうのがミシェウ
 柏戦でもそうでしたが、ミシェウに変えて新居を入れると戦い方が変わってしまう。
 中盤でタメができなくなり、選手達の距離感も広がってしまうから、パスをつなぐサッカーができなくなってしまいます。


 まぁ、仕方のないことなのでしょう。
 私はミシェウの代わりにトップ下に工藤を入れればある程度パスも回せるのではないかと思うのですが(完全にミシェウの変わりになるとは思わないけど)、そうなると今度はサイドでチャンスを作れる選手がいなくなるわけですからね…。
 今回は谷澤もいなかったし、苔口も怪我でしたしね…。






 ということで、予想通りこの試合はパスをつながず、ロングボールを蹴りこむサッカーになりました。
 しかし、そのロングボールに関しても工夫がまったくない。
 巻をファーストターゲットにしていましたが、その巻には2人も3人もマークがつく状況(DF2人に谷口じゃ勝てないわな)。
 しかも、ミシェウがいなくなってトップ下に選手がいないため、辛うじて巻がボールを50/50にしても誰も拾ってくれないような展開でした。
 うまく巻をオトリにして新居が裏を付くようなパスが出ればいいのですが、そういった狙いも少なかったですね…。
 結局、無駄なロング“プレゼント”パスが多く、うまくボールを奪っても相手にリズムを与えてしまいました。



 守備の方も1点を取られるまでは、頑張っていたと思います。
 MFとDFの2ラインで相手を囲んでスペースを作らせず、出足で勝ってボールをカットする動きも素晴らしかったと思います。
 しかし、そのサッカーが続かなかった。
 前半の途中から左ウイングのジュニーニョが中央に入ってきて自由に動き回り始めると、相手を捉えきれなくなってしまいました。
 中央でボールを持ってそこからドリブルで裏を付かれることで、DFラインがズルズルと下がり始めます。
 これにより2ラインでの守備も、中盤でのプレスも効かなくなってしまいました。
 まぁ、プレスのほう(出足の良さでボールを奪う方)に関しては、疲れもあったんじゃないかと思いますが。



 失点シーンは憲剛がハーフウェイラインから、チョンテセに裏を付くロングパスを出したシーンから。
 憲剛はあのあたりでも前を向ければ、縦へのロングパスが出せます。
 他の選手ならまだしも、憲剛の場合あの位置であってもフリーにしてはいけませんでした。
 




 しかし、後半途中から工藤が中央に入り、レイナウドが左ウイングに入ることで、形が出来てしきましたね。
 工藤が中央で前にパスを出し始め、レイナが左サイドでタメを作ってラストパスを出すことで、ようやく『ミシェウの代わり』が作れたんだと思います。
 そういえば、レイナは柏でもアンナポジションでしたっけ。
 プレスが少なく前を向きやすいウイングの方が、彼の良さが出やすいのかもしれませんね。
 結局、この試合でチャンスらしいチャンスを作れたのは、レイナだけだったのかもしれません。

  
 とはいえ、これを前半からやるのは不可能でしょう。
 工藤がボランチの位置に入り、レイナがウイングに入ったことで、かなり守備は疎かになりました。
 また、サイドハーフに入ったマツケンもやはり細かなプレーはまだまだ雑だから(それでも一発に期待したんでしょうが)、途中出場では面白いけどスタメンでは使えないでしょう。




 結局、相手の堅守も合って、1-0で逃げ切られてしまいました。
 けれど、1-0だけど完敗でしたね。
 相手も憲剛、谷口あたりは疲れも見えたし、ジュニーニョも怪我があっていい状況ではなかったと思うんですけどね…。







 …こういったい戦い方を変えざるを得ない試合でも勝点1を拾えるようになれば、残留も見えてくるかなと思っていました。
 怪我人、出場停止が増えてくるのは仕方がないこと。
 問題はその時に、どれだけ最低限の結果を出せるのかだと思ったのですが…現実は厳しいですね。
 

 守備を固めて途中から攻撃にシフト、という形だったのかもしれませんが、その守備も退いて守ったというより相手によって退かされてしまったという形でした。
 いや、それでも中島と早川は良く頑張ったと思いますが。
 退かされて守る状況は、戸田とボスナーがいてもよくあることですし(笑)




 やはりそれよりもミシェウと谷澤の穴ですね…。
 戦い方が変わってしまうのはもちろんのこと、新居と根本は守備でもミシェウ、谷澤に比べると劣ってしまいます。
 これではいくら武器があっても使いにくいですね。



 ミシェウ、谷澤、工藤、巻…。
 このあたりの攻撃的選手とサイドバックの2人は、替えの効かない選手ということなのでしょうね。
 まぁ、それも仕方のないことです。
 どのチームでもそういった選手はいるわけですから。
 問題はいなくなった時にどう戦うかです。





 さて、どうしたものでしょう。
 個人的な意見をいえば、今回は仕方ないにせよ、なるべくメンバーが代わっても戦い方を変えるべきではないのではないかと思います。
 例えば工藤を中央に入れてミシェウの代わりをさせて、サイドに根本あたりを入れることで、ある程度つなぐサッカーをする。
 そのほうが逆に勝点は近いんじゃないでしょうか。


 放り込むサッカーが好きだとか嫌いだとかではなく、今のままでは単純に勝点を取れそうにない…と言うことです。
 守備的な放り込むサッカーをするにしたって、その狙いや守り方、攻め方があるわけですが、少なくともこの試合の途中までのジェフはそれがなかなか見えてこなかった…。
 唯一、その戦い方の状況で得点の匂いがしたのはカウンターからの展開だったけれど、そのカウンターも正直質が高いとはいえませんでした。
 強引な自分個人で仕留めてやろうというラストパスばかりで(強引過ぎるからミスパスばかり…)、チームとして点を取ろうという意思がまったく伝わってこなかった。
 ようするに、前半の放り込みカウンターサッカーは“付け焼刃のサッカー”にしか思えなかったのです。
 狙いが曖昧で、チームとして形になっていないんですよね。



 まぁ、つなぐサッカーじゃなくてもいい。
 私はそちらの方が勝点を稼げるのではないかと思うけれど、それも一長一短ですから絶対に正しいとはいえません。


 どんな形でもいいから、ともかくミシェウがいない時にどういったサッカーをするのか。
 これが非常に大きな問題になるのではないでしょうか。


 まぁ、この問題は柏戦でミシェウがいなくなった時から心配だなぁ…とは思ってたんですけどね。
 戦い方がずいぶんと変わってしまいましたから。





 さてさて、本当に厳しくなったぞっと。
 怪我人が帰ってくるのが一番ありがたいけど、次は試合は2日後だしねぇ。