ちびっ子達と逆カウンターと

 友人に「もしかして小野が入ったのって犬飼さん繋がり?」と言われてはっとしましたが、まぁ正直どっちでもいいや(笑)



 基本的にはこの試合は、純粋に9月6日のW杯最終予選バーレーン戦に向けての強化試合という位置付けなのでしょう。
 けれど、メンバーを見るとテスト的な意味合いも強かったのかなぁと思います。
 バーレーン戦に向けて連携を深めていかなくて大丈夫なのかな?と思わなくもないのですが、岡田監督はトレーナータイプという感じではないですし、テストもしやすいのかもしれません。
 それと、五輪組が北京から帰ってきたばかりだったというのも大きいでしょうね(しかし、酷使されている長友は大丈夫ですかね)。
 これによって、この試合では選手間の連係不足が強く感じられてしまいましたけど、それもある程度は目を瞑るしかないことなのでしょう。





 それよりもちょっと気になったのが戦術面。
 FWの1人がサイドに流れてそこからクロスという狙いだったと思うのだけど、クロスが上がってもほとんど得点の匂いがしませんでした。
 中に人数が少ない上に、FWがサイドに流れた分ゴール前に入ってこなければいけないはずの攻撃的MFもFWも含めて、前線にフィジカルの強い選手がまったくいない。


 五輪では「フィジカルで負けなかった」という発見があったのにもかかわらず、フル代表ではそのフィジカル勝負を守備陣以外は諦めてしまった…ということになのでしょうか?
 それもなんだか、どうなのかなぁ…と思ってしまいますが。




 確かに1つの実験として興味深いとは思います。
 日本代表の1つの武器とも言える“ちびっ子で足の速い選手達”を前に並べたサッカーをする(まぁ、これは3次予選の途中から既に試していたことですけれど)。


 しかし、それ自体はわかるのだけど、その選手達の活かし方としてFWをサイドに流れさせてそこから攻撃というのは、どうなんでしょう。
 攻撃のほとんどの場面でその動きが見られたのですが、サイドからクロスを狙うサッカーをやるのであれば、あのメンバーだけでは活きてこない(というか成立しない)ような…。
 サイドは崩せているからチャンスになりそうには見えるのだけど、実際はほとんど得点の可能性はなかったように思います。
 もちろんそこからのグラウンダーのセンタリングというのは1つの形にはなりますけど、それだけでは読まれてしまうし相手からしても非常に守りやすかったんじゃないでしょうか。
 そして、何よりもリトリートするサッカーが流行している中で、そのようなサッカーをやってどれだけのチャンスが出来るのかどうか…。


 ちびっ子を並べる作戦は相手が疲れていたり、カウンターからの攻撃では効果的になるでしょう。
 基本的には岡田監督だからお得意のカウンターサッカーを狙っているのかもしれませんけど、今の日本の最重要課題はアジア相手にどう戦うかですよね。
 カウンターを狙う形よりも逆にポゼッションして退いた相手をどう崩すのかが、今は重要になのではないかと思うのですが…。
(まさか対世界での強化を計っているのでしょうか?しかしオシム監督があんな形で退任し方向性を転換してしまった今となっては、ともかくアジア予選を突破することに専念すべきだと思うのですが。)
 まぁ、中澤、闘莉王のセットプレーがあるからそれでいいのかな…?




 逆に守備に関しては、やはり『カウンターを受けそうになっても前目に人数を割いてプレスをかけ、そこで奪って逆カウンターを狙う』という作戦が、アジアレベルではともかくある程度のチーム相手には機能しないということがわかったのではないでしょうか。
 近年では前からのプレスをかいくぐる技術が研究されてきたため、プレスをメインに置かずリトリートを主に戦うサッカーが主流になってきています。
 そんな中で自陣が前がかりになっている状況(ようは「カウンターを受けそうな状況」)で前からプレスをかけた上、そこでボールを奪おうっていうのはやっぱりそれなりのチーム相手だとなかなか難しいのではないかと。


 プレスの種類の中でも「ボールを奪いにいくプレス」というのは、大きなリスクがあります。
 その分ボールホルダーに選手が集まるのだから、そこをうまく掻い潜られてしまうと、一気にビックチャンスになります。
 それを「カウンターを受けそうな状況」でやれば、うまく行けばいいんでしょうけど、失敗すれば絶体絶命ですよね(笑)


 昨日の試合でも結局『逆カウンター』どころか、そのままカウンターを受けて、数的不利でやられてしまうという場面が目立っていたように思います。





 まぁ、それもこれもテストだったんでしょうから、重要なのはこれからですね。
 確かに「完敗」だったけど今の日本代表は強い相手とやればこんなものだと思ってましたし、特に驚くべきことではないと思います。
 どれが出来てどれがダメだったのか。
 そのあたりの判断をする基準としてはいい試合になったのではないでしょうか。



 まぁ、そんなことをおぼろげに思いながらも、Jリーグでも笛を服というポーランド人審判団の判定基準に一番注目して見ていたのでした(笑)