悔しい引き分け。だけど…

 試合序盤は柏ペース。
 柏らしい前からの積極的なプレスと、中央のブラジル人トリオによるパスワークでリズムを掴みます。
 中央の3人で時間を作り、積極的にサイドが裏を付く、面白いサッカーをやっていたと思います。
 興味深かったのが、そのブラジル人トリオの雨で濡れたピッチへの対応。
 所々でボールが留まるような状況だったのですが、テクニックはもちろん足のリーチが長いために懐が深く、雨を苦にしないどころか逆にボールが止まることを利用して、フェイントに使っているかのようでした。


 しかし、ジェフも柏の猛攻に耐え、カウンターを何度か成功させることで、勢いを逆転させます。
 前半は序盤は柏ペースでしたが、その後の長い時間はジェフのペースだったと思います。


 鹿島戦でも見られましたが、ミシェウが下がってボールをさばく間に、工藤と谷澤の両サイドハーフがトップ下に入り1トップ2シャドーのような布陣に。
 これにミシェウも絡むことで、巻へのサポートが非常に近く、そして多くなりましたね。
 また、サイドハーフが中に入ってきてサイドのスペースを作り、そこをサイドバックが積極果敢にオーバーラップするプレーも増えてきました。
 これまではサイドバックのオーバラップというのはほとんど見られませんでしたが、ようやく「解禁」となったようです。
 ボールがサイドの入ったときのミシェウは、相手DFとSBの間を付く、質の高い、まさにオシム監督が好むようなフリーランニングをして相手のDFラインを混乱させます。
 いやー、ほんとにあの人の選手がパワーアップして足元もうまくなったかのようですね(笑)
 この試合ではそこまで目立ちませんでしたけど。




 しかし、ジェフは攻める時間は長くなりましたが、決定機はなかなか作れませんでしたね。
 柏の守備陣の粘りが強く、ラストパスを出そうというところで、強く来られて苦労しているように感じました。
 そうこうしているうちに後半が終了。
 後半から、徐々に柏が盛り返してきます。


 ジェフはミシェウに変わって新居が入ったことにより、中盤の距離感が長くなりパスもつなぎにくくなっていました。
 これは流れが一気に傾いてしまうのか?と思っていたのですが、その新居がやってくれましたねぇ。
 前に行くとみせかけてボールに軽くタッチし、相手を滑らせるフェイントから、豪快なシュートでゴールを決めてくれました。
 やはり、新居は中盤ではなく2トップの一角でDFと勝負させている方が活きてきますね。
 最近は中盤でのプレイが多く、特徴である得点能力に若干陰りがあったようにも見えたので、嬉しいゴールとなりました。


 しかし、その後はますます柏ペースに。
 積極的な選手交代を行い、前線に人数をかけるサッカーで、ジェフを押し込みます。





 けれど、私は押し込まれても仕方がないと思っていました。
 ここまで頑張ってきて運動量も落ちていたし、何より最近のジェフは押し込まれてもある程度守れる術を覚えてきた。
 しかも、ある程度カウンターが機能していたから、決して悪くない状況だと思っていました。
 これまでは押し込まれるとカウンターもなかなか機能しなかったのですが、新居と途中出場のレイナウドの2トップだとなかなか質の高いカウンターが機能しそうです。
 これも今後、苦しい試合を戦い抜く上ではいい武器になるのかもしれません。


 なんだか、ちばテレビでは試合後にエースケが「点を取ってから守りにいきすぎた」と言っていたそうだけど、あそこから前に行くのは無理な話しでしょう。
(ミラー監督は「もっと守備的に言ったほうがよかったかもしれない」と言っているけど。)
 去年からエースケの毒舌は気になっていたのですが、相変わらずなんですね(笑)
 理想を言うのであれば、確かに点を取ってからも前に行くべきだったのかもしれない。
 けれども、理想だけではサッカーは語れません。
 チームの方向性や練習の段階では理想を追い求めることが大切だと思うけれど、実際の局面になったらそうはいかない。
 サッカーはミスがつき物のスポーツだし、妥協することも覚えないと、解説としてだけでなくコーチとしても難しいんじゃないでしょうか…。
 まぁ、これからよくなってくる可能性もあるかもしれないけど、性格を考えるとなぁ(笑)




 話しは反れましたが、押し込まれてはいたけれど、短い時間だと思っていたのでしっかりやれば守りきれると思っていました。
 しかし、ダメでしたね。
 CKから一度はボールを取り返したけれど、そこで奪われてパスを出されて失点…と。


 ここは白黒つけておいたほうがいいと思います。これは新居のミスでしょう。
 CKを防いで新居がボールを持つ状況だったのですが、余裕があったのだから、大きくクリアするか、近くの人に簡単にパスを出せばよかった。
 けれど、新居はカウンターを狙って、いろいろと考えてしまったんだと思います。
 しかし、柏の猛攻を受けている状況で残り10分、1-0でジェフリード、そして残留争い…そこまで考えてプレーしていればやはりあそこはセーフティに行かなければいけなかったと思います。


 DF陣はそこまでしっかりやっていました。
 あのシーンでも新居が奪われた後の裏へのラストパスは戻りオフサイドのようにも見えましたが、あの状況であれを通されてはなす術がないでしょう。
 カメラのアングルによっては中島が1人余っているようにも見えましたが、何度もビデオを見返したところラインはきっちり整っていました(そしてオフサイドかどうかは微妙だった。あれでは取られなくても仕方がないでしょう)。
 DF陣としては味方選手がボールを持ったところでラインを押し上げた。
 これは正しい判断で、その綺麗なラインの押上げはやはりボスナーがいたら厳しかったと思います。
 その結果が出なかったのは残念ですけどね…。





 この試合、非常に悔しい結果だったと思います。
 ミスもあったし最後はかなり押し込まれていたけど、試合全体で考えるとジェフの方が勝つチャンスはあったのではないかと思います。
 とはいえ、柏の強さを感じたのもまた事実。
 ベンチのメンバーにしろ、連係面にしろ、今はジェフより上をいっていると思います。
 けれども、勝つチャンスはこちらの方が多かったのではないか、と。
 そのあたりがサッカーの難しいところですけどね(笑)


 しかし、悔しいけれど、同じく1-1で引き分けだったFC東京戦では大きく違う悔しさだったと思います。
 あの試合は相手に退場者が出たのにもかかわらず、消極的なサッカーでした。
 もちろん私だって、ときには守備的なサッカーでもいいとは思うし(そのほうが攻撃的なサッカーよりも勝点をとる期待値が高いというのであれば)、相手によっては仕方がないと思うこともあります。
 しかし、あの試合は勝てた試合だと。
 もったいない試合だったという気持の方が強かったのではないでしょうか。
 ようするに選手の気持ちになって考えると、「もっといけたんじゃないか」、「積極的に行けばもしかしたら勝てたんじゃないか?」という悔いの残る試合だったと思います。


 しかし、今回は違う。
 思いっきり戦って、思いっきりぶつかって引き分けた試合です。
 悔しさが残るのは同じだけれども、やりきった感が強い試合ではないでしょうか。


 
 こういった試合の方が同じスコアでも前を向ける。
 今は悔しいけれど、変に後悔せずに次の一歩を踏み出せるのではないでしょうか。






 うん、まぁもちろん悔しいし、勝点3、欲しかったですけどね(笑)







 それにしても、第3者としては面白い試合だったでしょうねぇ。
 ジェフとしてはそんなこといってられないんですけどね。


 両者共になかなか攻撃的なサッカーができていたし、ゴール前でのプレーも多かった。
 来年は残留争いなんか考えずに、面白い千葉ダービーを見たいものですねぇ。
 あぁ、切実な話しになってしまった。