オーバーエイジの必要性

 OAの起用に反対している人の意見として「若い選手を育てるのが五輪代表の役割なのに、OAを使って若い選手の出場機会を奪っては意味がない」というのがあります。
 確かにその意見もわからなくはないけれど、総合的に見て考えると果たしてそうなんでしょうか。


 結論から先に言わせて貰うと、私個人としては「チームとしていい試合が出来なければ、例え国際試合に出場しても“いい経験”とは言えないし、選手も成長しないんじゃないか?」と思います。





 例えば、UAEワールドユースアテネ五輪
 選手たちが成長したのは、ボロボロにやられて帰ってきたアテネより、いい試合が出来て準々決勝まで進めたUAEの方だったのではないかと。
アテネではOAで小野を使った上で悪い試合をしました。私は「いい試合をするためにOAを使うべきじゃないか?」と言っているので、アベコベなんですけどそれは後述。)


 あるいはオランダワールドユースと、カナダU-20ワールドカップ
 または、日韓W杯とドイツW杯…。


 もちろん時代背景や選手の質など様々な違いがあるので、正確に比較することは不可能です。
 とはいえ、大会を通じていい経験をして選手達がたくましくなったと思うのは、やはりある程度いい試合ができて選手達が手応えを感じるような状況ではないかと思います。





 では、いい試合をするためにはどうするかというのを考えていくと、やはりOAの選手は必要なんじゃないでしょうか。
 もちろん、それだけではいい試合なんて出来ませんけどね(笑)


 しかし、例えば今のフル代表レベルでオランダに勝てるのか?と言ったら冷静に判断すれば難しいでしょう。
 エトー率いるナイジェリアだって強いし、アメリカは日本と違って強化の方向性がしっかりしているし。


 しかも五輪では3チームともOAを使うって言う話しだし、単純に戦力面だけ見ればやはり日本だってOAを使わないと、いい試合なんか出来ないと思います。






 これを総合的に見ずに、局面だけ見ると確かに「OAは選手育成を阻害する」ことになるかもしれません。
 例えば遠藤がOAで入ってきたら、梶山あたりが試合に出れず、梶山の成長は遠回りになるのかもしれません。
 あるいは大久保が入ることで、谷口や森本がチームから外れることになるかもしれない。


 確かにそれは残念な話し。
 けど、厳しく言えば2人3人の出場経験をとるより、チームとしていい試合をして多くの他の選手たちが自信をつけることの方が、日本にとってはメリットが大きいんじゃないでしょうか。


 それに、遠藤という素晴らしい例があるじゃないですか。
 遠藤はシドニー五輪の予選には出場したものの、本大会では補欠となっています。
 

 それでも今や日本代表の主軸。
 そんな彼がOAとして五輪代表チームの手助けをしてあげようと言っているのであれば、それも素晴らしい話しでははないかと思います。

 

 あるいは山口智だってG大阪とっては重要な選手に成長したわけだし、鈴木啓太だってオシム監督の下では欠かせない日本代表のキーマンとまでなりました。





 もちろん、OAと今いる選手たちが短い時間で上手く連携を取れるかという不安はあります。
 また、OAと今の選手を見比べて大差ないのであれば、今いる選手のほうを選んで欲しいところです。
 若手選手育成のためにもね。


 とはいえ、まずはいい試合をすること。
 これが育成にとっても、一番重要なんじゃないでしょうか。



 「若手育成を獲るのか、メダルを取るのか」って言う人もいますけど、それは極端すぎるでしょ。
 反町監督だって、「メダルを取るためにOAが必要」って話しはしていないはずですからね。