改めて思うファンサービスの重要性

 ゴールデンウィークのある日。
 一人の少年がジェフの練習を見学に、姉崎サッカー場を訪れました。


 しかし、その少年は大の野球好き。
 巨人とロッテが好きという典型的な千葉の野球好きっ子だったのです(私も小さい頃はそうでした)。
 その少年が、ジェフの練習を見に行くことになったきっかけは極めて単純。
 少年のお姉さんがジェフサポで「一緒に行こう」と誘われた、というもの。


 んで、そこに私が出てきます。
 当日の同行はできなかったのですが「練習を見にいくにはどうすればいいか」を聞かれ、練習場の場所、見学する際の注意事項、サインなどを貰う場合にはどうするのか…などをお姉さんにしっかり教え込みます。





 しかし、私は少年が練習を見て満足できるのか、不安を抱いていました。
 少年にはチケットをプレゼントして一度だけフクアリに呼んだことがあったものの、サッカーとの関係はそれっきり。
 特別にサッカーが好きなわけではないようだし、ジェフに興味があるわけでもない。
 姉崎サッカー場は周りに面白いものがあるわけでもない上に駅から遠いし、お世辞にも練習が見やすいサッカー場とはいえない環境です(スポレクとかならお勧めできるけど…)。



 おまけに「巻のサインが欲しい」とのこと。
 というか、「巻しか知らない」という話しでした。
 そりゃあそうだよね。フクアリに試合を見に来たのは2年前。
 当時の選手は巻以外、ほとんどいないしね…(笑)


 しかし、残念ながらちょうど巻は負傷中で、練習に参加するかわからない状況だったのです。
 「巻はファンにきちんと対応してくれるから、いればきっとサインをもらえるよ」、「でも怪我もしているし、もしかしたら断られるかもしれないからそのつもりでね」とだけ言っておきました。




 そして当日…。
 案の定、怪我の巻は不在。
 しかも、ミーティングが長引いて練習開始は30分押しとのこと。


 「あぁ、これは勧誘に失敗してしまったかー(笑)まぁ仕方ない次の機会にちゃんとにアピールしよう。」


 …なんて思っていたのだけれど、後日話しを聞いたら意外にも好印象!
 「すんごく楽しかった」と言ってくれたそうで、ホッと一安心でした。


 お目当ての巻はいなかったけれど「下村がかっこいい」と言っていたし、昔チケットと一緒にあげたタオルマフラーに「下村とボスナーのサインを貰えた」と喜んでいたそうです。
 それに、強面のボスナーが小さなファンを相手にニコニコと「おいでー」としていたり、レイナウドがサインペンを忘れたファンを相手にわざわざ車まで自分のカードを取りに行って、帰ろうとしていたファンを呼び止めてまでプレゼントしていたり…。
 そういったアットホームな雰囲気を見ていた少年は、とても感動していたそうです。




 どうも少年はプロ野球を見ている分、姉崎での選手とファンとの距離の近さにとても驚いたようです。
 東京ドームのエキサイトシートなどでも観戦経験がある少年だけど、それでもやはり野球では選手との距離感を強く感じてしまうそうで。
 プロ野球を見ていて選手を“高嶺の花”と思っているからこそ、ジェフの選手達と直に触れ合えたことがとても嬉しかったんでしょう。




 その後、少年は偶然友人に誘われて、フクアリで試合を観戦。
 負け試合だったのでどう感じたのか心配だったけど、「サッカーにはまっちゃいそう!」との感想を頂けました。
 アウェイ側のホームゴール裏2階席で観戦できたそうなので、初心者さんには絶好のポジションだったんじゃないでしょうか。


 また、「巻が復帰したらもう一回練習を見にいきたい」とも言っていて、少年からの希望で余っていた青木孝太のマッチデーカードをプレゼントする予定です。





 こうやってサポーター候補が1人増えた嬉しさと共に、ファンサービスの重要性を改めて感じました。
 そして、そういったことをきちんと理解しているのは、数多くの経験を積んでいる外国人選手だったりするんだなぁ…ということも。
レイナウドだって名門パリSGにいたわけですからね。)




 Jリーグの不祥事が続いている今こそ、初心に帰ってこのような地道な活動(もちろんピッチ上も含めて)をもっと重要視していく必要性があるのかも知れません。
 サッカー人気に関して色々といわれてはいますけど、結局は地道に少しずつサッカーの輪を広げていくことが重要なんじゃないでしょうか。