古河が日本サッカー界から姿を消す?

 社長交代に関するファーストインプレッションは昨日書いた通り
 確かに社長が代わってサポーターのモチベーションが上がるとか、悪い評判が無くなる可能性があるとか、三木新社長はジェフで専務経験もあり事情も知っていてよろしいとか、短期的なメリットは色々と考えられるけど、やはりこういったものは中長期的に見ていかないといけないと思います。
 

 そういった意味で一番気になるのは、やはり三木新社長の出身がJR東日本であるということ。
 ジェフでは始めて、古河電気工業以外から社長が選出されることになります。
 そして、もしこれ以上の人事異動がなければ、常勤取締役がJR出身の島田取締役と三木新社長の2人だけになる可能性もあるわけです。
 







 さてここからは、妄想話し…。











 丸の内御三家ともよばれた古河電工は、いわずと知れた日本サッカー界の盟主でした。
 古河電工の社員選手→古河サッカー部幹部→日本サッカー協会というはっきりとしたルートがあり、現在も古河出身者は日本サッカー界全体に大きな影響を与えています。
 長沼健川淵三郎木之本興三岡田武史田嶋幸三小倉純二(サッカー経験はないけど)…。
 特に長沼氏はJFAに大きな影響を与え、木之本氏、川淵氏はJリーグ創設に尽力されました。


 しかし、今や日本サッカー界をとりまく環境は大きく変りました。
 古河卒だからといって簡単にJFAに入れる時代ではないでしょうし、何よりJリーグが出来て「古河電工の社員選手」というポジションもなくなりました。
 いくら古河からジェフに人材を送ったって、ジェフで大きな成功でも収めなければ肩書き的にはたかが知れているでしょう。


 これからは鈴木昌氏、鬼武健二氏、犬飼基昭氏のようなJリーグで活躍した人物が、日本サッカー界に影響を与える存在になっていくのではないでしょうか。
 もっともこれらの人物はJリーグの運営には携わったけれど、JFAではメインのポジションに就けませんでしたけどね…。
 それも川淵氏が率いる古河閥の影響が大きいのではないかと考えられるわけです。


 しかし、その川淵氏ももうすぐ定年。
 会長職を退いてからも影でJFAを仕切っていく可能性は十分ありますが、今ほどの影響力を維持するのは難しいでしょう。




 








 そう考えると、古河が日本サッカー界から手を引く可能性もあるのかもしれません。
 そして、今すぐにとはいかないでしょうけど、ジェフから古河が去っていく可能性もないとは言い切れないのかもしれません。


 もともと古河はBtoBを専門とする会社。
 ジェフをサポートするだけでは、あまり旨みはないはずです。
 それでも今までは日本サッカー界に人材を送り出すすることで何らかのメリット(コネ作りだとか)があったのではないかと考えられますが、それも簡単にはいかなくなるはずです。
 当時とは違い日本におけるサッカーは人気スポーツの1つとなり、それに伴って大きなお金も動くようになりました。
 その分利害関係者は増え、一企業がやりたい放題やれる状況ではなくなったはずです。
 もっともサッカーがそのような人気スポーツになった裏には、古河のサポートが大きかったとも言えるのでしょうが…。






 今回のジェフ社長交代劇も任期満了時だったとはいえ、古河の影響力を考えると本気になれば次の任期を淀川社長に任せることも可能だったと思うし、淀川社長ではなくとも元水戸社長で現ジェフホームタウン事業統括本部長の小林寛氏など、古河出身の社長として据えることも出来たんじゃないかと思います。
 それをしなかったということは、古河がもうそれほどサッカーに力を入れるつもりがないのか、それともJR側が本気になってくれたのかのどちらかではないでしょうか。


 逆に言えば古河が今現在サッカー界に人材を送り込めるのはジェフしかありえなかったわけで(いきなりJFAに捩じ込むってのはかなり無理な話しで)、今回の人事をきっかけに今後ジェフに人材を送る事を控えるのであれば、将来的に日本サッカー界から古河出身者がいなくなるということを意味するはずです。











 もし古河が勢力を弱めJRがジェフを引っ張る形になったら、今後のジェフはどうなるのか。
 例えば現在の胸スポンサーの富士電機古河グループの企業です。
 古河が勢力を弱めれば、そういったスポンサーも撤退する可能性があります。
 背中スポンサーも見付かっていないことを考えれば外部からのスポンサー確保に苦戦していることがわかりますし、古河系のスポンサーが消えてJR関係のスポンサーが新たに付くことも考えられます。


 また、古河が持っているジェフ株をJRが買い取ることになれば、JRが大株主ということになります。
 JRによる完全子会社化もありえるのかもしれません。






 そういった自体になれば、ジェフのJRへの依存度はかなり高まることになるでしょう。
 しかし、私はそれ自体はあまり歓迎できることではないと思います。


 今年のジェフは背中スポンサーが見付かっていないため、一部では「ぜひSuicaをスポンサーに!」という声が聞かれました。
 けれど、親会社のスポンサーが1つ増えるたびに、親会社への依存度は高まるわけです。
 それはクラブにとっていいことだとは思いません。
 フロントが掲げていた「親会社からの自立」というのは非常に大切なことで、Jリーグ全体もそちらの方向で進んでいるはずです。


 フリューゲルスのような例を出すまでもなく、親会社への依存というのは決していい傾向であるとはいえないと思います。






 とはいえ、お金がない状況ならばなりふりは構っていられませんし、JRが本気を出せばジェフの予算の面での心配事はなくなる可能性もあります。
 他チームに比べて遅れをとっているといわている練習場など環境面の問題で、いい部分が出てくる可能性もあるのかもしれません。
 JRからのサポートで有名選手をつれてくるとか、金に物を言わせて有力選手を引きとめるとかってことも出来るようになってくるのかもしれません(笑)
 けど、それはそれでちょっとイヤですけどね。




 もちろん今はまだ全てが可能性の段階。
 けれど、今まで古河がジェフを引っ張り、JRがそれを黙ってみていたことでバランスが(ある意味で)保たれていたわけですが、それが変ろうとしているのだから何らかの変化があっても不思議ではないはずです。
 いい面だけでなく様々な状況の変化が可能性としてはあるわけで、冷静に見極めていかないといけないんじゃないかと思います。



















 まぁでも、散々文句を言われてきたフロントだけど、ナビスコ2連覇という素晴らしい結果も出しているわけです(前任の岡社長だって当時の評判は決してよくなかったわけだし)。



 もちろんイビチャ・オシム監督と祖母井GMの影響はすごく大きかった。
 けれど、最近少し気なるのはこの2人をまるで神のように扱って「ああいった人達がいなければもうあんなことは出来ない」なんて話しをよく聞くことです。
 確かにお2人の功績は素晴らしいし、実際に今後2人のような監督やGMが現れるのは難しいのかもしれません。


 けれども、それで諦めていいわけではない。
 2対2で敵わなければ、2対11で戦えばいいだけのことでしょう。
 ジェフに関係する人がこのような言い訳をして諦めてしまっては、そのお二人だって非常に嫌がるはずです。





 何が言いたいのかというと、ダメフロントと言われていたジェフでもそれだけのポテンシャルはあったということ。
 ナビスコ2連覇というのは夢でも幻でもないわけで、実際にジェフが皆で勝ち取ったはずなのですから。





 だから新社長と(今までとスタンスが変るのなら)JRには、今までのジェフの良さを大事にしつつ、悪いところをどんどん変えていって欲しいと願います。
 そして出来ればG大阪の佐野前社長のように、サポーターにも選手にも愛される社長になってほしいですね。