後藤健生氏「ところが、である。これからが圧巻だったのだ」


Jリーグ第29節、ジェフ千葉浦和レッズの試合は2−4で浦和の勝利に終わったが、じつにエキサイティングな試合だった。1−0、2−0の僅少得点での勝利が多い浦和だが、この日は真正面からの打ち合いを選択……というよりも打ち合いを強いられたのだ。
 後藤氏も見に来ていたんですね。
 多くのサッカー関係者が足を運び、マスコミも多く来場した注目の一戦でした。


 そういえば、ボビー・バレンタイン監督も来ていたそうですね。



内容は圧倒的に浦和。得点も2点差。鼻骨骨折で前半2ゴールのワシントンが退いたとはいえ、後半、千葉が巻き返せるとはとても思えなかった。しかも、49分には好調のポンテに3点目を決められてしまう。

ところが、である。これからが圧巻だったのだ。後半からレイナウドを入れた千葉。レイナウドがとりあえず、くさびのボールを収めてくれるようになって、MFの押し上げも厚くなった。しかしあまり形は作れないでいたのだが、54分、パスをつないで圧力をかけたせいか、浦和の守備陣に乱れが生じ、レイナウド闘莉王と競りながらループシュートを決めた。これが、反撃のきかっけとなった。

MFがどんどん相手の裏に飛び出し、それまではゲームをコントロールしていた浦和が後手に回る場面が増える。さらに、後半も20分が過ぎると、浦和の選手の足が止まり始める。

連戦が終わり、ゆっくり休養を取った浦和はけしてコンディションが悪いわけではないが、そもそも「走るサッカー」を志向する千葉と「走るサッカー」とは縁遠い浦和では、走力、持久力に大きな差がある。前半から、パスはつながらないでも無駄走りをものともせずにボールを大きく動かしていた千葉のスタイルが浦和の選手たちに疲労を蓄積させていたのだろう。60分を過ぎて、千葉はシュートの雨を降らせたが、シュートを打ったのは羽生直剛工藤浩平楽山孝志下村東美とMF勢が主体だったあたりも象徴的。

 多くの注目を浴びた一戦。しかも、首位の浦和との対戦で、エキサイティングで面白いジェフサッカーを見せられたことを誇りに思います。
 イビチャ・オシム監督が指揮していた頃に近い、驚きとサッカーの面白さを伝えられた内容だったんじゃないでしょうか。
 ただし、最後の30分だけでしたけどね(笑)



 その時間帯をもっと長くしていくこと、相手の時間帯でもなるべく耐えること、ミスを減らすこと、どんな試合でも安定してパフォーマンスを発揮できること…。
 まだまだ課題はたくさんあります。
 しかし、今は課題が隠れてしまうよりむしろ出てしまったほうがいい。
 そういう時期だと思います。




 特にこれからの数試合は来季に向けてということになって来るでしょうし、未来に向けたサッカーに期待したいと思います。