TMNにおける木根尚登のポジション 前編
デビュー30周年を迎えたTM NETWORKのツアー『the beginning of the end』は無事終了し、ファンから良い評価をうけているようです。
今回もストーリー性のあるライブを行っており、舞台はニューシングル『LOUD』のPVと同じ宇宙船兼タイムマシーン。
そこでメンバーの3人は楽曲の合間に何やらパソコンなどを操作をしており、最終的に1人の女性が誕生します。
それが88年小説とミュージカル風のライブ等におけるストーリーの主人公、『CAROL』だったというお話です。
CAROLは前回のライブでもチラッと出てきており、『CAROL2』を作りたいという話も出ていましたので、それに続くストーリーということになります。
今年の冬には再び活動を行うということですので、この物語の続きが気になるところです。
詳しいレポートはこちらやこちらなどで。
また、先日ライブ終盤を撮影したトレーラーも発表されました。
このツアー後、メンバーの木根尚登は関西ローカルのテレビに出演。
『木根、B'Z松本が影武者だったと告白』といった記事が報じられ、Yahoo!ニュースのトップページにまで取り上げられるなど予想以上の騒ぎとなり、なぜか口パクの話にまで飛躍しています。
木根が面白おかしくネタにしたというところもあったんでしょうけど、ファンにとっては「何をいまさら」といったニュースで、そもそもスタジオミュージシャンがCD等に参加することなどは今も昔もそこまで珍しいことではないはずではないでしょう。
今でもTMのネタがここまで話題になることは嬉しくもありますが、文章からすればメンバーをさげすむようにも読めて悲しくもあり、複雑な心境です。
そんな気持ちもあって、1つ文章を書いておこうと思った次第です。
記事にもある通り、そもそも木根はTM NETWORKとしてデビューするまではキーボーディストでした。
3人の出会いも、小室が木根にシンセを借りたところからスタートしたといわれています。
グループの顔であるボーカルの宇都宮隆と、作曲家でありリーダーでもある小室哲哉。
今では2人が目立つユニットということになるのでしょうが、もともとは小室が木根を誘ったところからTM NETWORKは始まっています。
当初は2人が曲を書き、外国人ボーカルに歌を歌わせる計画だったのですが、ビザの問題で立ち消え。
ボーカルを探すこととなり、木根がリーダーを務めており小室も在籍していたSPEEDWAYのボーカルであるウツが抜擢されたことになります。
結果的に木根とウツを小室に引き抜かれる形でSPEEDWAYは解散し、TM NETWORKがデビューすることになります。
当初小室に誘われた2人はバンド経験が長いこともあって3人だけで、音楽が作れるのかという不安を抱いていたようですが、小室はデモテープを作って2人を納得させたといいます。
今でこそ音楽など簡単に作れてしまいますが、当時は非常に珍しい打ち込み中心のユニットとしてやっていこうという考えだったのだと思いますし、だからキーボードの木根を誘ったのかもしれません。
けれども、実際には3人だけというわけにはいかなかった。
というのも、小室と言うとシンセというイメージが強いかもしれないですが、打ち込みをベースに生音を使うことを大事にしていて、打ち込みだけの曲というのは意外と少ない。
そうなってくるとどうしても、楽器を弾ける人材が必要となってくるわけです。
サポートメンバーは錚々たる面々で、ギターにはB'Zの松本孝弘、accessやT.M.Revolution、HOUND DOG等のサポートを務める葛城哲哉。
ドラムには久保田利伸、宇多田ヒカル、Sound Horizon、globe等に参加した阿部薫。
そして、キーボードには久保こーじや浅倉大介。
これらのメンバーは一部ではTMファミリーとも呼ばれ、ツアーに参加していたギターの北島健二、ドラムの山田亘、ベースの西村麻聡はFENCE OF DEFENSEを結成するなど、弟分も多いユニットでした。
こういった多くの人材が排出されたのも、ユニットが3人では成り立たなかったこと。
そして、上記の面々が口々に言っているように、TMの3人がサポートも含めてメンバーとして扱っていたことが大きかったのだと思います。
松本:そこまでスタジオに対してネガティブではなかったよ。いろんな人のレコーディングやツアーに参加させていただいたから、「もうそろそろ、人の背中を見て演っているのもなぁ」って思った時期があって。それでイチかバチか自分で始めようと思って。
烏丸:自分がフロントに立つんだ、と。
松本:そうそう、自分の楽曲っていうか自分の音楽で演る。人の曲でギターを弾くんじゃなくて。
烏丸:人の曲はもうさんざん演ったよって感じ?下積みはずいぶん長いわけですね。
松本:27歳でデビューしたんで、20歳から7年ぐらい演ってましたね。でもそれは下積みなんて辛く厳しいものでもなくて、楽しかったですよ。いろんなミュージシャンの人たちとの出会いもあったし、刺激もあったし、技術的にもいろいろ磨けたと思うし。プロで活動してるからこそ覚えられたこともたくさんありましたよね(BARKS)
こちらは今年4月に発売されたアルバム『New Horizon』における松本のインタビュー。
TM時代を「楽しかった」とよく話してくれており、文中の「人の背中」とはウツのことで武道館で『GET WILD』を演奏した時にそう思ったというのはファンの中では有名な話です。
それともう1つは、小室がサポートメンバーに自由を与えたこと。
松本などは早くから曲を渡されて、自由に弾いていいといわれていたそうです
わがままなイメージもある小室ですが、メンバーやスタッフに信頼して仕事を預ける傾向にあった。
それによって、サポートメンバーも成長していった部分があったのかもしれませんし、逆にTMの3人にとってもサポートメンバーが欠かせない存在となっていったのではないでしょうか。
後編に続く。