相手のフィジカルに両SHを潰されて

 ここ数試合負けがなく、ここから勢い乗っていきたいジェフでしたが、残念ながらそうはいかなかったですね。
 1つ交わせばチャンスになりそう…というところまでは、何度も作れていたと思うのですが、そこでフィジカルに負けて踏ん張れなかった。
 あるいは、相手の寄せが厳しい状態での精度が低かった。


 軽量級でテクニックがウリの選手が多いジェフですから、うまくフィジカルの強い選手を交わしてチャンスを作りたかったところなのですけど、それが出来なかった。
 特にSHのところで攻撃が作れなかったことが、大きかったのではないかと思います。
■システムのミスマッチを突かれて
 ジェフのスタメンは前節と同じ顔ぶれ。
 やることが明確になって、メンバーも固まってきましたね。
 ベンチには怪我から森本が復帰。
 ようやく怪我人も帰ってきて、ベンチ入りの争いも激しくなってきました。


 前半序盤はジェフペースだったと思います。
 福岡の前からのプレスをパスワークで交わして、一気にチャンスメイク。
 前半2分にはケンペスのパスから大塚のスルーパスを出し谷澤が抜け出しますが、ゴールならず。
 その直後には谷澤、大塚とパスをつないでいる間に、中村がゴール前に飛び出すも倒されてしまいます。 
 時間的にはまだ早かったですけど、流れは良かったですし、ここで1点決めておきたかったところではないかと。


 立ち上がりの時間帯を過ぎると、相手の無暗なプレスも落ち着いていきます。
 そこからはガツガツとフィジカルで潰しにくる福岡と、パスをつないでそこを交わそうといったジェフの戦い。
 ジェフは福岡の3バック対策として、序盤はケンペス、大塚と片方のSHで相手最終ラインの3人を追いかけていましたが、ボランチが空いてしまうところがありました。
 しかし、そこに関しても大塚が下がることで、修正されていったと思います。


 前半23分にはCKの流れから、ファーの山口智が左足でシュートもバー直撃。
 うまく制御されたシュートだったと思うのですが、ゴールにはなりませんでした。


 ジェフのパスミスが続き徐々に流れが停滞していくと、前半40分。
 堤のクロスから金森が抜け出して、そのままゴール。
 福岡が先制します。


 このシーン、井出が相手ウイングバック阿部を潰しきれず、オーバーラップしてきた左CB堤に出されて、堤が完全にフリーになってしまいました。
 ジェフはこの試合、相手が3トップ気味ということもあって、大岩が後方に下がり、絞り気味で守っていた傾向を感じました。
 前節愛媛戦でも大岩の攻撃参加が遅れることがありましたが、大岩のところで守備バランスを取ろうというところがあるのかもしれません。
 ジェフのボランチは2人ともテクニカルな選手ですから、その分右SBでCBをカバーしようということなのではないでしょうか。


 加えて、逆サイドからボールがつながった展開だったので、スライドが遅れたという部分もあったのでしょう。
 逆サイドの大外に、まさか3バックの一角が上がってきているとは思わなかったのかもしれません。
 しかし、状況からすれば、大岩がなんとかコースを消したかったところかなと。
 加えて、ゴールを決めた金森が遅れて入ってきたので、山口智が突き切れなかったというのも大きかったと思います。
 ともかかく、システムのミスマッチを突かれて、フリーでクロスを上げたところからやられてしまいました。
■試合終盤に責め立てるも得点は奪えず
 前半42分には大塚のクロスを相手GKがはじいたところを、谷澤が拾ってミドルシュートも決まらず。
 前半44分には兵働から中央にうつっていた井出への縦パスが通るも、相手DFに潰されてしまいます。
 後半4分には右サイドでボールを受けたケンペスから中央の大塚とつないで、サイドは左サイドから谷澤がミドルシュート
 その直後には兵働が右サイドを抜け出して、井出がヘディングでゴールを狙うも決めきれません。


 前半終盤から後半立ち上りにおいて、福岡は動きが鈍くなっていて、守備の戻りが遅くなっていた印象でした。
 ジェフはカウンターからチャンスを作りますが、最後の精度の問題でチャンスを作れず。
 それ以降は再び失速していきます。


 後半25分には決定的なチャンス。
 大塚が中央で反転しキープして、右前のケンペスにスルーパス
 GKと一対一になったものの、ケンペスが左足で持ち替えている間に、シュートコースを失い決めきれず。
 このころから福岡の選手の運動量が落ちてきた印象です。



 後半30分には福岡DF古賀がボールの処理を誤ったところを、途中出場の山中が奪い、後ろから倒してレッドカード。
 福岡は5バック気味に守る展開に。
 これを受けてジェフは大岩に変えて森本を投入し、井出をSBに。
 健太郎に変えて町田を投入し、町田をトップ下に。
 大塚がボランチの位置でバランスを取る形になりました。


 後半40分には中村のアーリークロスに森本が抜け出して、ゴールかと思いきやオフサイド
 後半46分には大塚のふわりとしたボールに、山中が飛び出すもあわず。
 その直後には右サイドを抜け出した大塚がマイナスでグラウンダーのクロスを上げるも、ケンペスがシュートを打ちきれず、兵働がシュートを放つもGKがキャッチ。


 ジェフが攻めたてますが、最後のところで決めきれず。
 そのまま残念な敗戦となってしまいました。
■SHを潰されて
 ジェフが良いサッカーができたかといえば、そうでもないのでしょうけど、ひどく悪かったわけでもないように思います。
 ジェフも決定機はそこまで作れていなかったものの、攻撃を仕掛けたのはジェフの方が多かったと思いますし、あとは精度の問題。
 福岡もビックチャンスと言えるのは2、3度だったと思うのですが、その1つを見事に決めた印象です。


 あまり相性の良くない試合ではあったのだろうなぁとは思います。
 相手が3バックだったことと、フィジカルを駆使したチームだったということ。
 あまり相性のことは言いたくはないですけど、実際にそういった面もあるということ。
 オシム監督の頃のジェフだって、4バック相手には非常に弱かったですしね。
 

 いろいろな要因があるのでしょうが、一番は両SHを潰されたことが大きかったのではないでしょうか。
 前半から福岡はジェフの両SHを、フィジカルの強いCBとウイングバックの関係で潰してきました。
 まずCBがサイド際に追いやって、そこにウイングバックがフォローするような形。


 これによってジェフのSHは、サイドでの窮屈なプレーが増えてしまった。
 特に井出はフィジカル面で苦しんだ印象があります。
 その結果、両SHが攻撃で貢献できず、この試合では大塚がチャンスメイクですごく目立った試合だったとも思います。

 
 SHがサイドに追いやられて、後ろからウイングバックに囲まれることによって、ここ数試合のように、サイドからジェフボランチへの展開もなくなってしまった。
 これによって、サイドを覗いてボランチに繋ぎ、逆サイドへ展開という形も出来なくなりました。
 そのため、うまくパスワークで相手を揺さぶることができず、強引なドリブルが増えてしまった印象です。
 ここでうまく両SHが少しでもキープできたり、周りのサポートと素早い判断でうまく相手を交わすことができれば、チャンスも出来たのではないかと思うのですけど、それが出来なかった。
 そこが一番の敗因ではないかなと自分には感じました。
 井出はゴール前でつぶれてしまうシーンも多かったですしね…。


 もちろんSHがチャンスを作れない分、中央でチャンスを作りたかったし、焦らずパスを回すという判断ももっと欲しかったところ。
 総じて厳しいプレッシャーが来た時の技術という部分には課題が感じられ、その結果パスミスも多かったと思います。


 とはいえ、やることは変わらないというか、変えようがないところで。
 フィジカルの強い相手にフィジカルで勝負するなんてことは無謀としか言いようがないわけですから、ジェフとしてはやはりもっとパスを回したかった。
 そのためにも、もっとSHが攻撃のポイントになってほしかったところではないかと思います。



 長いシーズンですから、こういった試合もあると言いたいところですが、現状の順位などを考えると、やはり最低でも勝点1は確保したかった。
 そういった意味での悔しさを感じます。
 こういった苦手な相手にどう対処していくか、大きな課題も1つできてしまいましたね。