現状のジェフにおいて選手の成長は必須条件

 前節横浜FC戦の引き分けでジェフは5戦負けなし。
 しかも、課題だった守備の部分でも、2試合失点なし。
 まぁ、それまでの試合でも完全に崩された場面よりも、こちらのミスによる失点が多かった印象はありますが、失点なしが続くのは良い傾向だと思います。


 レアル・マドリードですらCL決勝でポカをやって失点しているわけで、そういった失点は起こりうるものだと思います。
 ここ2試合もミスはあったと思うのだけれど、ミスがあってもしっかりとカバーすること、そして決定的なミスを減らすことが大事なのでしょう。
 失点が減ったのはCBにキムを起用したことも大きいのではないでしょうか。
 CB大岩よりもCBキムの方が小さなミスは大きいかもしれませんが、カバーリングや決定的なミスが少ないという点ではやれているのかなという印象があります。



 とはいえ、横浜FC戦はできれば勝ちたかった。
 試合前ケンペス不在による不安に関しては話しましたが、それが如実に出てしまった印象です。
 それまでの数試合はCFを軸としてファーに飛び込んだり、CFを狙ってクロスを上げたりといった攻撃の形を作っていただけに、CFがいなくなるとゴール前での動きの面で厳しくなってしまう…と。


 「ケンペス頼り」というよりは連携が深まってきて、ケンペスとその周りを活かす形を作れてきたからこその苦戦。
 チームの約束事や1人1人のタスクが明確になりつつあったからこそ、その約束事を果たせる選手がいなくなり、攻撃の最後の形が作れなかったといったところでしょうか。
 開幕前の想定ではそこで森本だったと思うのですが、残念ながら森本が負傷中だったことも大きな痛手でした。


 例えば中村も今なら山中がいるでしょうが、少し前までは山中も怪我で離脱していましたし、その次となると難しい。
 今のジェフには同ポジションに能力のある選手を、3人も4人も抱えることは出来ない。
 これがJ2降格1年目のジェフや2年前のジェフだったら、それが出来たかもしれない。
 J2での成功例で言えば、10年の柏や11年のFC東京、13年のG大阪などが当てはまるでしょうか。
 これでもかという戦力で他を圧倒し、結果を残す…。


 今のジェフにはそこまでの戦力的な優位差はないし、実際に予算も厳しいのではないでしょうか。
 そんなことを、ケンペス・森本不在で考えてしまいました。
 もしかしたら2年前のジェフは、神戸TDがラストチャンスだった上に、ビッククラブの降格なしという機会にも恵まれ、クラブとして賭けに出たシーズンだったのかもしれませんね。
 今考えるとそうとしか考えられないような、積極補強をした年だったともいます。


 そういった状況を踏まえて、クラブとしてどのような方向性を選ぶのか。
 時間をかけて育成力や組織力を高めていくのか、それともこのまま「短期決戦」なのか。
 今のままでは中途半端になりかねないけれど、周りからのプレッシャーは変わらないし…。



 組織力といえば、継続性をベースとしてJ2を独走しているのが湘南。
 そして、その湘南を前節1-0で破ったのが、今週末ジェフと対戦する愛媛ということになります。
 愛媛対湘南戦は、愛媛が前半7分カウンターから先制点を奪い、その1点を守り切った形。
 シュート数は4本対23本で湘南の方が圧倒的に多く、愛媛は5バック気味に守る形になっていました。


 しかし、ただ後方に人数をかけていただけではなく、ラインもしっかりコントロールされていて、ポジションバランスも良く組織的に守っていた印象があります。
 そこからのカウンターも直線的に鋭く、湘南戦含めて3連勝という成績も納得できる内容だったように思います。
 現在14位ではありますが、調子は上向きで状況はいいのではないかと思います。
 ケンペスが復帰する予定のジェフですが、決して楽な試合にならないのではないでしょうか。



 個人的には前節横浜FC戦での試合は、割とショックな内容でした。
 ケンペスが不在で勝てなかったことはもちろん、ここ数試合は良い状況で戦えていたからこそ、もっとできるだろうと思っていました。
 しかし、パスを徹底したメンバーで相手を崩せなかっただけでなく、いつもと違う状況下で選手たちの工夫や応用力を感じず、「自分が何とかしよう」という自主性もあまり見られなかった。
 例え今週末の試合でケンペスが帰ってきて良い状況に戻ったとしても、それは結局チームにおけるケンペスの必要性を高めることになります。
 それで他の選手たちは良いのか、与えられた自分の仕事をこなすだけで良いのか…。


 横浜FC戦があっただけに、この試合はケンペス以外の選手の奮起を期待したいところです。
 J2に降格して長い年月がたち、戦力の乏しくなっている現在のジェフにおいて、チームが進化するためには選手の成長は必須条件でしょう。
 若手から中堅選手たちのチャンスが増えつつある状況ではありますが、まだまだ物足りないどころかそれぞれに壁にぶつかり、乗り越えきれていない印象もあります。
 そこを乗り越えてチームに勢いを持ち込むことができるか。
 今期これまでのところはむしろそういった選手たちの不安定な面に足を引っ張られてきた印象もありますし、これまでの経験を糧にここから花開いてほしいところです。