2013シーズンを振り返る ケンペス編

 昨年ジェフに加入し22ゴールをあげて、J2得点王に輝きました。
 しかし、各メディアからはMVPどころかベスト11にも外れることが多く、あまり高い評価はいただけていない印象があります。


 シーズンを通してコンディションの波が多くゴールが固め打ちになってしまいがちだったことや、夏場などまったく走れず守備に大きな負担を与えたことがマイナス材料だったのかなと思います。
 得点王に関してもシーズン中に退団したG大阪レアンドロが13ゴールで、ちょうど入れ替わりで加入した宇佐美が19ゴールでしたから、合計すればケンペスを大きく上回ることになりますしね。
 そういった面でケンペスインパクトが薄れてしまった部分も、多少はあるのかなと思わなくもありません。



 シュート決定率の低さも言われていますが、ジェフではそこまで決定力は酷くなかったのではないかと思います。
 それでもシュート決定率が低いのは、強引にドリブルで持ち込んでの無理のあるシュートが多かったからではないかと。
 ゴール前でフリーな状況でのシュートに関しては、右足でも左足でも正確に放てるし、ヘディングの合わせ方も非常にうまい。
 ケンペスに比べると他のジェフ選手はチャンスでも決めきれないことが多かった印象で、ジェフにおいて重要な得点源だったことは言うまでもないと思います。


 また、監督に相手を押し下げるタスクを求められていたという話をしており、フィジカルの強いケンペスが高い位置でターゲットになることによって、相手DFラインを下げ中盤にスペースを作る仕事を果たしていたと思います。
 得点力だけでなくこの役割が他の1トップ候補には難しいこともあって、ケンペスがいないとうまくいかない部分があったのではないかと感じていました。
 しかし、ポストプレーに関しては受けに来る動きも出来ていて体も強いので潰されることも少ないですが、そこからの判断やボールを落とす時の精度に関しては大きな課題がありました。
 サイドに流れてボールを受けた時にはシンプルにクロスを上げられますし技術もある選手ですから、強引過ぎるドリブルでの打開なども含めてボールを受けた後の判断力を高められればより優秀なFWになれるのではないでしょうか。



 しかし、それよりも一番に改善してほしい点は、安定感を身に付けることですね。
 1シーズンを通して、コンディションの波をなくすこと。
 そして、守備において継続して貢献できるようになること。
 良い時のチェイシングは悪くないのですけれど、ブラジル人FWにありがちな気まぐれなプレスしかできず90分間を通して守れないという課題がありました。
 疲れていても劣勢状態で試合終盤を迎えると急に走り出すなど性格は真面目なのでしょうが、体力と集中力が持たないところがある印象です。


 先日の新体制発表会でも鈴木監督から「全員で守備」をしていくという話が出ていましたし、昨シーズンもプレスが安定しなかったことはチームにおいて非常に大きな問題だったと思います。
 斉藤TDが昨年の反省としてあげていた「安定した戦い」が出来なかったのも、ケンペスの守備に課題があってプレスが成立しなかったことが大きかったのではないでしょうか。
 ハードなチェイスケンペスに期待するつもりはないですけど、歩く時間を減らして穴のない時間帯を長くできるかどうかが今季のジェフを占う上でもポイントになるのではないかと思います。



 得点面に関しては「ケンペスへの依存が高い」と言われた昨年ですが、実際には前年とそこまで大きく変わっていない印象もあります。
 というのも、昨年はケンペスが22ゴールでトップでしたが、チーム2位は田中の9ゴール。
 一昨年は藤田が15ゴールが1位で、2位が田中の8ゴール。
 2011年も深井の14ゴールが1位で、2位は竹内と米倉の7ゴール


 確かに割合としては1人の選手への依存率は多少高まったものの、総得点は2012年の61から68に7つ伸ばしており、これは藤田とケンペスの得点差とちょうど同じだけ増えたことになります。
 よって、依存率は上がったものの、「FW以外が点を取れていない」という問題は昨年だけではないことがわかります。
 改めて2列目以降の選手の得点力向上を期待したくなるところではありますが、G大阪も宇佐美、レアンドロに続くのが9ゴールのロチャだったり、一昨年の甲府は32ゴールのダヴィに続くのが5ゴールの高崎だったりしたわけですから、そこまでジェフが"深刻なケンペス依存状態"に陥っていたわけでもないように思います。
 もちろんエース以外の選手も点を取れたほうが理想的ではありますし、控えの選手やセットプレーなども含めてより得点力を高めていってほしいところではありますが。



 しかし、それよりも問題なのは、やはりケンペスにコンディションのばらつきと守備面での課題があることではないでしょうか。
 ケンペスに大きな欠点がなければもっと安心して起用できるはずだし、チーム全体の悩みも解消されるはずで。
 今の状況だとケンペスが、もろ刃の剣になりかねませんしね。


 他の選手の台頭も期待したいですしシーズンを通して考えると、ケンペスの調子が悪い時に他の選手が出てくるような状況を作りたいところではあります。
 けれども、あの得点力と強さというのは日本人に期待するのはちょっと難しいところがあると思いますし、ケンペス自身の変化にも期待したいところだと思います。