兵働・米倉のコンビと谷澤の欠場
ここ数試合様々なスタメンを試してきたジェフですが、神戸戦では右SHに兵働を起用して、右SBに米倉を戻しました。
いろいろなやり方をテストして、最終的には元に戻ったような形でしたね。
実際に試合で実施したからこそダメな部分が明確に出たところもありますし、チャレンジして失敗したことによって一歩進んだ部分も少なくないと思います。
特にケンペスと森本の2トップや米倉のSH起用などは、どうしても見てみたい起用法だったとも思いますしね。
神戸戦での兵働は、8月18日の松本山雅戦以来のスタメン復帰となりました。
しかし、これまでの数試合もそうでしたが、6月に怪我をしてからというもの動きにキレがなく判断スピードなども遅れがちな印象があります。
加えてこの試合でも57分に途中交代と、スタミナの問題も抱えている印象です。
トータルで見ると良いプレーとは言い難かったと思いますが、それでも米倉を活かすという点においては効果的なプレーをしていたように感じました。
右SHの兵働が中央下がり気味の位置でプレーすることによって、相手のサイドの選手が中に釣られて、米倉の前のスペースが空く。
積極的に動き回るのではなく止まって受けることによって、逆にパス出しのポイントとなっていた印象がありました。
こういった動きというのは、他の選手にはない部分ではないかと思います。
米倉自身もここ最近は相手に前のスペースを消されて、攻撃参加が出来なくなっている印象がありました。
思い起こすのは、昨年のプレーオフ大分戦。
あの試合での大分はボールの流れにかかわらず、米倉の前のスペースをきっちりと消して、米倉封じに成功していました。
それだけで、ジェフ全体の攻撃が遮断されてしまった印象を受けた試合でした。
今期の米倉はSBで起用されていたことによって、相手チームも米倉の前のスペースを消しにくかったはずですが、徐々に相手も研究してきて米倉への対応が明確になってきた。
それに加えて、米倉を使える右SH兵働の負傷。
そして、8月頃からはトップ下からの攻撃も作れなくなってしまって、米倉へのマークが強くなっていったのかなとも思います。
ですから、神戸戦で米倉の攻撃参加の回数が増えたのも、町田がトップ下でチャンスメイクをしていた効果というのも大きかったと思いますが、それでも兵働の存在も見逃せないところがあったのではないかと思います。
岡田監督時代の日本代表も南アフリカW杯前に、「俊輔と内田は1セット」なんて考え方をされていたことがありますが、それと近い感じで。
俊輔がタメてパスを出して、内田は俊輔の分まで縦に走ってスピードも見せて…といった、お互いの良さをうまく出し合う関係ですね。
ただ、神戸戦での兵働もまだ万全ではないためか、米倉を活かすところまではある程度作れたものの、他の部分での貢献はあまり多くなかったと思います。
ケンペスへのラストパスだとか町田へのサポートという意味では物足りない部分がありましたし、そういう意味ではまだまだなのだろうなと思います。
一方、神戸戦では谷澤がベンチメンバーからも外れました。
シーズンを通しての数少ないレギュラー選手の1人だっただけに、ちょっと驚きましたね。
怪我などもあったのかもしれませんが、ここ数試合の谷澤はミスが多かったのも事実です。
もともと今期の谷澤はウリであるドリブルなどだけでなく、ビルドアップや守備、得点など様々な部分を期待されていたと思います。
しかし、その影響もあってか、自分の良さもあまり出せない状況に陥っていたのかなと。
厳し言い方をすれば、怪我などコンディションの問題もありましたが、兵働、谷澤といった2列目の選手が軸になりきれなかったことで、チーム全体が伸びきれなかった部分もあるのではないかと思います。
その一方で神戸戦でのジェフは、町田やキム、高橋など若い選手が活躍して、チームを救う形となった。
他にも大塚や負傷中のナムなどもいますし、期待のできる若い選手がようやく出てきたことは、クラブにとってすごく明るい材料だと思います。
とはいえ、これからの昇格争いを考えれば、経験豊富な選手たちの力も大事になってくるかもしれない。
若い選手が台頭するにしても、理想を言えば頑張っているベテラン選手を乗り越えて活躍してほしいものだと思いますし、谷澤や兵働などにももう一声頑張ってほしいところではないでしょうか。