柿谷の起用で本田がFWに

 グアテマラ代表よりもガーナ代表の方が強いのではないかといわれていたので期待したのですが、結果的には大差なかったかなぁと思います。
 個々の能力は確かにガーナ代表の方が上だとは思うのですけど、後半からは体力面でも気持ちの面でも切れてしまってそこからはズルズルといってしまいましたね。
 その状況でも守備で引くようなことなく日本と対等なレベルで戦おうとしていたから、締りのない試合になってしまったというか。
 逆にグアテマラ代表は日本代表を格上としっかりリスペクトした上で戦ってくれた分、サッカー的には面白い試合だったような気がします。
 もっともW杯で日本代表相手に引いてくるチームがあるかどうか…というのは微妙なので、テストとしてはどちらも評価しにくい部分があったように思います。
 まぁ、各地でW杯予選もやっていますから、難しいマッチメイクを求められたんでしょうね。



 グアテマラ戦後に本田が柿谷を絶賛していたという記事が出ていましたが、本田のコメントを読まずとも初めて2人が代表でプレーした時から柿谷が本田のお気に入りだったということは、ピッチ上でもはっきりとわかりました。
 ボールを持った時に必ず柿谷を見ていたし、ポジショニングも近く、守備などでも本田が柿谷をサポートしようとしていたように見えました。
 確かに柿谷のようなゴールを常に狙うFWというのは、最近あまり日本代表では見ないタイプの選手ではありました。
 加えて柿谷が海外のチームやレベルの高い試合でも決定力を発揮できるのであれば、今後の日本にとっては重要な選手になるかもしれません。


 ただ、あまりにも本田が柿谷を見過ぎている、という弊害が出てくる可能性もあるんじゃないかと見ていて感じます。
 今までボランチからのパス供給を受けて相手ゴールの近辺でボールを散らす仕事をこなしていた本田が、柿谷とのコンビだとFWに近い位置でのプレーが増えて、プレー内容もFWのようになっている。
 それによって、高い位置でのパスワークのポイントがなくなってしまったと。


 まぁ、それでもパスワークに関してはチームとしてやり方を変えて他にポイントを作ればいいのかもしれませんが、現状だとチームの中心である本田が柿谷と組むことであまりにも2人+アルファでゴールを狙うプレーが増えてしまって、攻撃が急ぎ過ぎてまうようになっていることの方が心配です。
 もちろん急ぐ場面も必要だとは思いますけど、軸となる選手が少人数で攻撃を作ろうとしている結果、現状だと厚みのない攻撃にもなりかねないのかなと。
 個人能力で2人が相手をかわせればいいのかもしれませんが、柿谷もウルグアイ戦ではフィジカルの強いCBに苦しみ、本田もコンフェデでは体調もあってボールを失うことが多かったですしね。



 あとはチームの方向性としてそれがいいのかどうなのかというところなのですけど、このチームの攻撃というのはタレントたちに任せて作られていった印象もあるので、ある意味で柿谷が入ったことでこうなるのは自然な流れなのかもしれません。
 逆に言うと監督の方向性というのが見えてきていないというか、良くない言い方をすると手綱を締めることが出来ていないというか…。
 まぁ、ナショナルチームですからチームを細かく作り上げるよりも、選手の良さを引き出すチーム作りをやっていくという考えは間違いはないのかもしれませんが、それにしても今回の3バック変更などを含めて何をしたいのか見えてこないというか。


 前にも言いましたけど、柿谷を使うのであれば後方に強い選手を増やして、いっそカウンター方向にした方が良い気もしなくもないですけどね。
 ただ、それをしてしまうと本田を1トップにして、松井や大久保に仕掛けさせた岡田監督の頃と変わらなくなってしまうので、監督としてのプライドが許さないんでしょうか。
 ともかく、柿谷もフィジカルの強いウルグアイには苦しんでいた印象がありましたし、これがW杯で機能するかどうかをチェックするにはより強い相手とやってみないとまだわからない気がします。