田中、伊藤の活躍で谷澤のポジションは

31日のリラックスゲームでのことだった。試合前日恒例であり、スタッフも含めて明るい雰囲気で行われるこのゲームだが、この日、特に元気だったのは谷澤達也だ。
(中略)
谷澤は突然「翼くん、岬くん、翼くん、岬くん…」とつぶやき出し、ファンの爆笑を誘った。「急に出てきた。特に意味はない」ということのようだが、そこも独特な谷澤らしかった。(BLOGOLA

 8月31日の出来事でチームに勝ち星から遠ざかっていた頃の練習風景となりますが、これを読む限り雰囲気はそこまで悪くなかったようですね。
 「リラックスゲーム」とのことで、本格的な練習ではなかったのでしょうけど。
 まぁ、なかなか一言で"良い雰囲気"といっても、判断の難しいところではありますが。
 緩すぎても駄目だろうし、ピリピリとし過ぎていても良くないのでしょうし。


 何度か話しているとは思いますが、オシム監督の頃の練習はすごかったですね。
 遅れてくるやってくるオシム監督が練習場に顔を出す前に、選手たちは鳥かごでウォームアップ。
 その時は和気藹々とやっているのですけど、オシム監督がピッチに一歩足を踏み入れると、一気にピリッとした引き締まった雰囲気になる。
 まるでアニメでも見ているかのように、ガラッと風景まで変わって見えました(笑)
 選手たちがオシム監督の一挙手一投足に注目し、サッカーに集中するためのスイッチが入るということなんでしょうね。


 それを見てしまうと他の練習は緩く見えてもしまうのですけど、それはそれ。
 オシム監督のカリスマ性を他の方に期待するのも無理な話なのでしょうし、それぞれのチームにおいての"良い雰囲気"というもの築きあげるべきなのかなとも思います。
 ただ、少なくとも上の記事を読む限りでは、険悪な雰囲気ではないのかなと少しホッとしました。



 さて、谷澤に関してですが、前節は出場停止。
 代わりに左サイドに入った田中が運動量豊富に動き回り、右サイドの伊藤もゴールをアシストするなど、チームに貢献しました。
 これまでの試合では左の谷澤が高橋などと細かくパスをつないで狭いエリアへの突破を図るか、パスワークでタメを作って右サイドの米倉に展開する形が見られました。
 そのため、試合前は伊藤が左に入って谷澤のようなパスワークを展開し、右サイドには米倉を攻守にサポートできる田中を起用する方が良いのかなと思っていました。


 しかし、その予想は全く逆で左サイドから思い切ってゴール前に飛び出していく田中が、今までの攻撃においての停滞感を打破する役割となり、右サイドでは伊藤が米倉とチャンスメイクをする。
 この形がうまくはまりそうな可能性を感じました。
 伊藤というパサーが右サイドに入ったことによって、相手の左サイドは伊藤と米倉の両方を警戒しなければいけない。
 ケンペスのゴールをアシストしたクロスを上げたシーンでも、米倉が裏でオーバーラップを仕掛けていましたしね。


 田中のゴール前への飛び出しも、もともと1トップのケンペスだけではクロスやラストパスに対するターゲットとしては物足りない部分があったはずで。
 その役割を田中が見せてくれたと。
 今までは米倉と同サイドだったことが多かったですけど、この日は米倉・伊藤のコンビと逆サイドだったこともあって、動き出しがより効果的に作用した部分もあるように思います。
 ただ、その分左サイドからのパスワークでは課題も見られた気もしますし、足元でのミスも目立ってはいましたが。



 谷澤もゴール前への飛び出しは狙っていたとは思うのですけど、逆サイドにボールがある状況で自らがクロスを呼び込むような思い切りの良いスプリントや、ケンペスを追い抜くような動きというのは少なかったと思います。
 他の2列目の選手同様ですけど、あくまでも機を見て飛び込むような動きで回数もさほど多くなく、中盤でのパスワークが本職であり飛び出す仕事はオプション的なプレーであるということには変わりなかったのかなと。
 それを考えると田中はよりウインガーというか、FWのようなプレーも出来ているのかなと思います。
 他の選手はサイドハーフというか、やはり本職は中盤の選手なのかなと思いますしね。


 そうなってくると、谷澤の立ち位置も難しくなってくる可能性もあるかもしれません。
 パスワークや守備面など総合力を考えれば谷澤の能力は高く、2列目の選手では唯一今季不動のレギュラーとしてプレーしてきました。
 監督からの信頼は厚いだろうと思いますし今後も大事な戦力には変わりないですけど、チームにおいての変化も期待したいところなだけに、田中や伊藤の活躍が谷澤にも良い影響を与えて欲しいところかなと思います。