ジェフ経営情報'13後編 健全化も規模は縮小傾向
来年からJリーグラブライセンス制度が、いよいよ導入されることになります。
Jリーグに参加するクラブに対し細かな施設基準や競技基準などを設けるもので、ライセンスを交付されないクラブはJFL以下へ降格となる可能性もあります。
クラブライセンス制度の中には財務状況に関する項目もあり、3年連続で赤字でないこと、債務超過でないことなどが必須条件として上げられています。
その上で、次の表を見てみましょう。
ジェフは08年から10年まで「当期純利益」で赤字を出してしまっていましたが、その後持ち直した形となります。
前回話した通り、移籍金収入がなくなった割に支出が抑えられず、3年間苦しんだ印象です。
もしこの頃にクラブライセンス制度が導入されていたら、大きな問題になっていた可能性もあるかもしれません。
しかし、J2降格の影響もあってか、その後はコストも減って全体の『営業費用』も減少し、ここ2年間は「広告料収入」に助けられ黒字化に成功しています。
ちなみに10年度から比べてほぼ3億円も「広告料収入」が増加しており、「当期純利益」は11年度で4600万円、12年度で1億3800万円ですから、この増加分がなければ過去2年も赤字を出していた可能性も考えられます
この3億円が親会社からの補填である可能性もあるわけで、『営業費用』を抑えたことは評価されるべきではありますが、『営業収入』などではまだ課題も多いのではないかと思います。
もう1つの条件である債務超過とは、「純資産」が赤字になることを言います。
09年度にはユナイテッドパークの建設もあって、親会社による増資が行われました。
「資本金」に3億9000万円、「資本準備金」にも同額の3億9000万円の増資が行われ、これがなければ債務超過に陥っていました。
こちらでも親会社に助けられたことになります。
もちろん親会社の補填や増資があっても、それだけの価値がクラブにあると評価されれば、それはそれで成り立っているということになるわけですから、一概に悪いことだとは思いません。
スポーツクラブへの協力というのは比較的クリーンなイメージが考えられるように思いますし、税金対策や福利厚生などにも役立てることができるかもしれない。
しかし、その価値が低いものだと評価されれば、親会社への負担・依存度が高ければ高いほど、コロッとクラブ全体が傾いてしまうかもしれません。
だからこそ、自主自立の経営が必要だと思うわけですが、近年のサポコミなどを見るとそちらの方向は諦めているところがあるのでしょうか…。
確かにJR東日本からのサポートは増えているとは思いますが、そこに頼ってばかりでいいのかどうか。
親会社側からのチームへのプレッシャーというのも噂話では毎年のように聞こえていますし、そういった意味でも親が社からの自立というのは大事なものになってくると思うのですが。
それともう1つ気になるのはクラブ規模の問題。
経営情報が公開された05年度と比較しても、過去2年間の『営業費用』、『営業収入』はともに下回っており、クラブ規模は縮小傾向にあるといっていいでしょう。
これはやはりJ2降格の影響が、少なからず影響しているのではないかと思われます。
もちろん、健全経営は前提としてあるべきものだと思いますし、クラブライセンス制度の導入でよりその部分が重要視されてくるとは思います。
しかし、もともと一企業としては非常に小規模な経営となっているわけですし、クラブの財政面をより強固にするためにも、より魅力あるクラブを作っていくためにも、今後は総収入を増やして使える予算も増加させていくことが目標なのかなと思います。
それに加えて、少ない予算でも賢い経営を目指していくと。
賢い経営が出来てくれば、自ずと企業としての利益も増えていくはずだと思いますし、頑張っていってほしいところです。
なお、今回使用したデータ。
画像では見づらい部分も出てきてしまいましたので、Googleドキュメントの方にアップしてみました。
新しい内訳の平均値を打っていなかったり適当なものですが、ブログにアップしていない数値も打っておきましたのでご参考程度に。
こちらからどうぞ。