選手交代が見事にはまり1-0で4連勝

 先週から風邪を引いたのか、体調が悪い状態がだらだらと続いております。
 ですので、今日は短く手短に…を目標に。


 昨日、今日は比較的涼しく、すごしやすい陽気ではありますが、気温の差が激しいのもちょっと大変ですね。
 選手たちもコンディション調整が難しい時期なんでしょうか。
 プレー面でももう少し、緩急の差が作れればいいんですけどね…(笑)
ダブルトップ下でリズムを作るも…
 フクアリ松本山雅を迎えたジェフが、試合の主導権を握ります。
 前節から右サイドに入った兵働と、谷澤が中盤の高い位置でパスワークに絡む形。
 後方からのボールを受け、反転して前を向き、パスを散らしていく…。
 兵働は右ウイングや右サイドハーフというよりもトップ下のようなポジショニングで、ビルドアップに貢献していました。


 トップ下の2人だけでなく、ケンペスも下がってボールに絡むため、流動的な形になっていました。
 ケンペスは上下だけでなく左右にも動き回るので、トップ下が2人いる状況でも、中央に選手が固まってしまうことは少なかったですね。
 ケンペスが下がった時には、谷澤や兵働がポストを受けることもあり、良い関係が作れていたように思います。
 ケンペスの凄いところは上下左右に動いても、クロスなどを上げる最後のシーンではしっかりとゴール前に走りこんでいることかなと思います。
 もう少し兵働や谷澤も動き回れれば、より前線の流動性も意味あるものになっていくのかもしれませんね。


 兵働が中央寄りでプレーする分、米倉が右サイドをあがっていく感じで。
 その米倉が早いタイミングで上がりすぎて、右に展開したい時にはすでに前線に近い位置にポジショニングしていたことも。
 このあたりはタイミングをしっかりと見定めることと、ボールが来なかったことには一度戻るなど、動きの工夫がもう少し必要かなと感じる部分です。



 松本山雅は3バックだったため、サイドで数的優位を作れて、ジェフは楽にサイドを攻略できる展開になっていきました。
 トップ下の位置からサイドに展開して、攻撃の形を作っていく…。
 しかし、ゴールは遠く、崩しの部分はもう1つでしたね。


 1つにはサイド攻撃をしてもクロスの精度ももう少しのことが多いし、中に高さのある選手がいないこと。
 松本山雅は5バック気味の守備にはなっていませんでしたけど、3バックとボランチは低い位置で守っていましたので、クロスを上げてもゴール前の人数は十分で、しっかりと跳ね返されてしまいました。


 それと、相手DFラインとMFラインの間を取れないこと…。
 ここ数試合のジェフに言えることですけど、最近はDFラインとMFラインの間は警戒されていることが多く、そこで前を向いてボールを持つことができないですね。
 その分、相手ボランチの前のスペースが空きますので、そこでトップ下2人が前を向いてパスを回す形。
 後方からのボールを引出しパスを展開するのでビルドアップまでは作れているのだけど、相手DFラインの手前で前を向けることは少ないので、チャンスメイクや崩しとまでは行かない印象。
 結局クロスを上げる形にせよ、中央からチャンスを作るにせよ、ゴール前の高い位置を攻略できるかどうかが肝心ですから、そこが足りていなかった印象です。
■選手交代が成功し1-0
 ジェフペースで試合は進むものの、なかなか得点が奪えない試合展開。
 CKを含むセットプレーのチャンスはあったものの、ゴールが決まりそうなシーンは少なかったですね。


 後半も開始当初は松本山雅が攻め込んでいきましたが、それ以降は再びジェフペース。
 しかし、60分あたりから一気にジェフの足が止まってしまいます。
 すると70分に選手交代。
 勇人を下げてジャイールを投入し、ジャイールをトップ下の位置において兵働をボランチに下げました。


 この交代は興味深かったですね。
 60分から足の止まってしまったジェフは、ビルドアップが全くうまくいかなくなってしまいました。
 運動量が少ないため、DFラインからのボールをボランチが後ろ向きでさばくことしかできなくなり、CBとボランチ間でパスが行き来するだけの展開になってしまいます。
 そこでボランチに技術力でパスを出せる兵働を起用し、ビルドアップを改善しようということだったのでしょう。


 加えて、前方にジャイールを投入して個人技で打開策を狙うと。
 守備は心配でしたけど、松本山雅も連戦で動きはもう少しでしたし、試合途中からなら守備の不安よりも攻撃面でチャンスを作ることのほうがプラスに働くとみたのでしょうね。


 そして、77分。
 ジャイールが右サイドで突破して、谷澤のヘディングシュートをアシスト。
 これが決まって1-0とします。



 この後は松本山雅が点を取りに来て、ジェフが守る流れに。
 こうなると今度は守備に回りたいですから、ボランチとしては守備に不安のある兵働を山口慶に交代。
 守備的なボランチ…どころか、ボランチはベンチに山口慶しかいないですから、当然のチョイスだと思います。


 続いて、田中に代えて青木良太を交代し、良太を右SBとして米倉を前へ。
 これもいつものパターンで、この試合では怪我でもあったのかキムがベンチ入りしておらず、良太が入っていましたので予想通り。
 基本、相手の攻撃の際は右SBの米倉のところを狙われることが多く、寄せの甘い米倉の守備は攻め続けられると怖いですから、試合をクローズさせるために、右SBにキムや良太を入れて守備を締める…というのは、良い策だと思います。
 こういった交代策もあって、ジェフが逃げ切り1-0で勝利となりました。
■安定したサッカーから安定した勝利へ
 交代策で点を取った形ですから、決して快勝とはいい難いと思います。
 どうも監督を批判したい方たちは交代策から始める傾向にある気がするのですけど、理想を言えばスタメンの11人で勝てるに越したことはないですからね。
 そこがチームのベースになるはずですし、そこから足し算や引き算をするから批評もしやすいのかもしれませんけど、それよりも大事なのはベースの部分だと思います。
 無論そこからの監督の試合を読む流れや勝負師的な感を見定めるための選手交代というのも気になるところではありますが、少なくともジェフでの鈴木監督はむしろ交代策では成功していることの方が多いような気がしますね。



 しかし、昨日の試合に関しては、そのベースのところで点を取れず、何とか勝ったという試合だったと思います。
 決していい試合とはいい難い。
 それでも4連勝ということになるわけですが、それも偶然ではないと思います。


 この4連勝でのスコアは2-0、1-0、3-2、1-0と、快勝と言える試合は少なかったと思います。
 むしろ地味な試合が多い。
 けれども、地味でもこれだけ勝ちを続けられるのは、チームが安定してきているからではないかなと思います。


 決して押せ押せの良い時間帯が多いわけではないのだけれど、やることははっきりしてる。
 FWやトップ下が中盤の高い位置で反転して前をいてプレーすることを第一に考え、次にサイドへ展開してクロスを上げるパターン…。
 その軸がしっかりと作られているチームだから、例えちょっとうまくいかないところがあっても、「ダメだから他のことをしよう」ということにはならない。
 そのパターンを丁寧にやり続けることで、チームに安定感が生まれ、辛勝でも勝利が続いているんじゃないでしょうか。


 その分、大勝は少ないですけどね。
 例えば個人能力主体のサッカーだと、「ここで勝てる」というのがわかれば、それをやり続けて大量得点が生まれる可能性も増えるかもしれません。
 深井のドリブルで勝てれば、どんどんそこで突破し、チャンスを作るとか。
 しかし、ひとたびそのドリブルを止められてしまうと次がないから、安定した勝利にはつながらない…。
 まぁ、この試合も最終的にはジャイールの個人技で勝ってしまった試合ではあるわけですけど、それはあくまで最終的な部分であって、ビルドアップの形までは安定していて、特に前半はうまくいっていたと思いますしね。



 より安定したチームになるには…というか、安定したサッカーから、安定した勝利に持ち込むためには。
 崩しの部分ももっと精度を上げていくことも当然大事だと思いますけど、それよりも今欲しいのセットプレーの質の向上ではないかなぁと思います。
 あれだけセットプレーでゴールが決まらないとなると、サイド攻撃で裏を取れても、相手がCKに逃げてしまう。
 現状だとCKへ逃げても、相手はそれで十分OKだと思っているんじゃないでしょうか…(笑)
 実際、見ている方としても、CKに逃げられると得点は厳しいかな…と感じてしまっていましたし。


 CKから得点が決まりだせばそれだけでもプラス材料ですが、サイド攻撃で簡単にCKに逃げられることもなくなり、相手の対処も難しくなってくるはずで。
 CKへ逃げることに対して、ちょっとでも相手がためらえばそこに守備の隙ができるかもしれないし、チャンスが生まれるかもしれない。
 そういった駆け引きも今後は重要になってくるのかなと思います。


 もちろん背の高い選手が多くないジェフですから、簡単ではないのかもしれませんけれども、それにしてもここ数戦はセットプレーからのチャンスがうまく作れていない印象で。
 守備の方も危ないシーンが作られていましたし、攻守において改善・向上を期待したいところですね。



 ん…?
 結局あんまり短くなってない?(笑)