タイヤ問題が色濃く出たスペインGP

 あまりこういった形容をF1レベルですることはないのですけど、酷いレースでしたね(笑)
 決勝レースで何しろピレリタイヤが持たない。
 多くのドライバーが4ストップを選択するという凄いレースでした。


 これまでのレースでも、4ストップを選択することもなくはなかったわけですけど、ほとんどが奇策であり、タイヤが持たないというよりは新品タイヤの速さを活用するための狙いが多かったと思います。
 しかし、このレースでは本当にタイヤが持たなくて、短いスティントで変えざるを得ないという消極的な理由で4ストップが主流となっていきました。
 タイヤのバーストなども多く、その原因もタイヤの耐久力の問題が大きかったはずではないかと思います。



 そのレースの中でも、なんとかタイヤをうまく持たせたフェラーリフェルナンド・アロンソが優勝。
 2位にロータスキミ・ライコネンが続き、3位にはフェラーリフェリペ・マッサという純でした。
 これまではロータスのマシンがタイヤにやさしいイメージがありましたが、フェラーリもうまくタイヤを使ってきました。
 今後のレースもタイヤマネジメントはカギになっていくでしょうから、フェラーリの今後も楽しみになってきますね。


 一方で予選で1-2だったメルセデス勢はともに、レースタイムが非常に悪く、ハードタイヤに切り替えてからはずるずると下がっていく展開に。
 マシンに異常をきたしたのではないかと見間違えるほどで、あそこまで状態が悪くなるというのはちょっと驚きでした。


 一部ではF1において、タイヤマネジメントばかりで勝敗が決まってしまうことを残念に思う声もありまして。
 ピレリはこれを受けてカナダ以降のタイヤを見直すと話していますけど、どこまで改善されるのかどうか…。
 ピレリはタイヤ供給当初からあえてピットストップを多くして、レースを楽しくしたい、それをFIAから言われているんだという話をしており、今回もその言い訳をしております。
 しかし、ささくればかりが出来て、一気にタイヤの状態が劣化する現状では、混乱しか生まないというか。
 タイヤ供給当初はそれでも我慢してもられていましたけど、さすがに今は納得できない関係者のほうが多いのではないでしょうか。


 ピットストップの回数を増やしてほしいという流れは、それまでのタイヤメーカーである日本のブリヂストンがあまりにも安定感のあるタイヤを供給し続けていたということもあるのでしょう(笑)
 ミシュランとの対決の頃はブリヂストンもいろいろと策を練っていましたが、ワンメイクになってからは落ち着いたタイヤを作っていましたし。
 かといって、タイヤ戦争を再び起こしてしまうと、タイヤメーカーだけで決着がついてしまうこともあるし、予算的なタイヤメーカーへの負担も非常に大きくなってしまう。
 そのためピレリにピットストップの回数が多い、タイヤを作ってほしいというオーダーが出たという経緯があります。
 しかし、あまりにも持たない…というよりは、脆いといっていいタイヤを高速レースで使用するのは危険性も伴いますし、レースとしてもチープな印象を受けてしまいます。
 ピレリ社の宣伝という意味でもよくないと思いますし、だから来期のタイヤメーカーにハンコックの名前も出てきたのでしょうけど、そちらもうまくいくかどうかはわからないわけですし、ぜひピレリには改善を期待したいところです。